ワタナベコメディスクール ハナコ インタビュー|養成所で出会いキングオブコント王者になるまで

ワタナベエンターテインメントの芸人養成所・ワタナベコメディスクール(以下WCS)が2019年4月の入学生を募集している。

アンガールズ、ロッチ、ハライチ、サンシャイン池崎、ブルゾンちえみといった人気者が多数所属しているワタナベエンターテインメント。今年はハナコが「キングオブコント2018」「あなたが選ぶ!お笑いハーベスト大賞2018」、ファイヤーサンダーが「第39回ABCお笑いグランプリ」、Gパンパンダが「平成30年度 NHK新人お笑い大賞」で優勝し、賞レースに強い事務所としても認知されるようになった。

お笑いナタリーでは、WCSの12期生であるハナコへのインタビューを実施。養成所入学からキングオブコント優勝までを振り返ってもらい、WCSが賞レースに強い芸人を多数輩出している理由を探ることにした。

取材・文 / 塚越嵩大 撮影 / 須田卓馬

ワタナベコメディスクールとは?

ワタナベコメディスクールは、60年以上の歴史を誇る渡辺プロダクショングループが2004年に開校した芸人養成所。お笑い業界で活躍するためのスキルやテクニックはもちろん、自己プロデュース能力やコミュニケーション能力を伸ばすための授業も展開される。また在学生がライブに出演できる機会が多く用意されているのも特長だ。

お笑い大好き少年の岡部と秋山、芸人の存在を知らなかった菊田

──まずはハナコさんがそれぞれ芸人を目指したきっかけを教えてください。

岡部大

岡部大 お笑い好きだった家族の影響が強いです。寝る前に母と「笑う犬」シリーズや「爆笑オンエアバトル」を観たり、姉が買ってくる雑誌の「お笑いポポロ」を読んだりしているうちにどっぷりハマって、高校時代にはエガラモガラというコンビを組みました。大学に入るときはお笑いをやるかバスケをやるかで迷って、バスケを取るんですけど結局辞めちゃって……。浪人した相方が1年遅れで同じ大学に入ってきて「お前バスケやってねえじゃん。じゃあもう1回やろうよ」ってまた誘ってくれて、そのコンビでプロの道に進むことになりました。

秋山寛貴 僕は「M-1グランプリ」や「笑う犬」シリーズ、「Mr.ビーン」がお笑いに目覚めたきっかけです。特に「Mr.ビーン」はワードよりシチュエーションで笑いをとるハナコのコントに影響を与えています。高校生になると学生向けのお笑いコンクール「M-1甲子園」に出場しました。結果は全然ダメだったんですけど、そこで初めて人前で漫才をする楽しさを知って、進路の選択肢に芸人が加わりました。

菊田竜大 僕は小学生のときから大学生まで周囲からずっと「面白い」と言われ続けるくらいの爆笑王でした。小学校の家庭訪問で先生に「菊田くんは将来芸人さんになるんだよね?」と言われて、そのときに初めて芸人という職業を知ったんです。人を笑わせてお金をもらえる……そんな素敵な職業があるのかと驚いて、そこから意識し始めました。

──芸人という存在を知らないまま、生まれ持ったものだけで周囲を笑わせていたんですね。

菊田 まさにその通りです。

秋山 でも具体的にどうやって笑いをとってたかは覚えてないみたいです(笑)。

菊田 具体的には覚えてないですけど、回して、ボケて、ツッコんで、リアクションもして……全部やってた記憶があります。

ハナコ

岡部 今は何もできなくなっちゃって。

菊田 ははははは!(笑)

──そんなお三方がワタナベコメディスクールを選んだ理由はなんだったんですか?

岡部 ワタナベが「笑学祭」という大学生を対象にしたお笑い大会を開催していて、そこで優勝して特待生になれたのがきっかけです。学生でお金もないので「無料で入れるなら!」ってすぐ決断しました。

──あばれる君さんやハライチさんも特待生で目覚ましい活躍を見せていますよね。

秋山寛貴

秋山 同期の中に1組しかいないエリートです。僕はネットでワタナベがやってる高校生オーディションというものを知って、見学するつもりで応募したら合格をもらったので、大学に行かずに芸人になることを決めました。WCSは高校生オーディションや大喜利オーディションなどいろいろやっていて間口が広いです。

菊田 僕が応募したのは素人限定オーディションでした。ギャグもネタもやらずに、お笑いに対する熱い思いを言うだけでいいんです。いろいろな養成所の資料を請求しているとき、ワタナベの人に「ぜひうちに!」って熱くアピールしていただいたので、「こんな熱い思いをぶつけてくる人なかなかいない! なんかいいな!」と思ってワタナベの素人限定オーディションだけを受けました。

ハナコ誕生

──年齢も出身地もバラバラだった3人がWCSの12期生として出会うのが2010年です。

秋山 岡部とはコースが違うので接点がなかったものの、彼の組んでいたエガラモガラは学校内ライブでいつも上位にいたので、かなり噂になっていました。

岡部 入りたての頃はみんなギラギラしてるので「あいつらが特待生か」「どんなもんじゃい」っていう目で見てきて怖かったです(笑)。菊田も養成所時代は全然笑わなくて、今より目つきが悪かった。

養成所入学時のハナコ。

ワタナベコメディスクール入学時のハナコ。左から菊田竜大、秋山寛貴、岡部大。

菊田 全員敵に見えちゃって(笑)。あるときに敵じゃないんだってわかってからバカ笑いできるようになりました。

──養成所で印象に残っているエピソードはありますか?

秋山 ある作家講師の初回授業では、自分のことを面白いと思っている僕たちの考え方を180度変えさせるような指導が印象的でした。特に自分が一番面白いと思っている連中ほど胸に刺さったんじゃないですかね。今思うとプロの心構えとして当たり前のことなのですが、当時は震え上がるくらいインパクトがありました(笑)。

岡部 僕のクラスは褒めて伸ばすタイプの優しい先生が多かったので、ずっと「面白い」って言ってもらえました。生徒はみんなキャラが濃かったので、授業終わりに相方とファミレスで「今日あいつヤバかったな」って話をするのがめちゃめちゃ楽しかったです。

ハナコ

──養成所時代の教えで今でも思い出すことはありますか?

菊田 「愛される人間になりなさい。そのほうが笑ってもらえるから」という教えは今でも大事だなあと思います。

秋山 僕は「舞台の上でただやるだけじゃなくて、客席に届けるように」っていう心がけです。僕と菊田が組んでいたウエストミンスターというコンビは養成所を卒業した時点でワタナベに所属できなかったので、「STEP!STEP!STEP!ライブ」という所属を目指す人たちのバトルライブに出ていて、そこでも「客席を意識しろ」とずっと言われていました。所属するまでにかかった2年の間に学んだことも相当多いです。

──なるほど。改めて考えると、なかなか事務所に所属できなかったウエストミンスターに、エリート街道まっしぐらの岡部さんが加わるというのは不思議な流れですよね。

岡部 僕がコントをやりたくなって、漫才しかやっていなかったエガラモガラを解散したんです。最初はキサラギの富樫(啓郎)という奴と組みたくて彼がコンビ解散するのを待ってたんですけど、その間に事務所ライブで見ていたウエストミンスターのネタに惹かれたんです。「めっちゃいい設定なのになんでウケないんだろう」「もっと上にいけるくらい面白いよな」って思って、キサラギが解散しないならこの2人だなと考え始めました。

秋山 第2希望です(笑)。

左から菊田竜大、秋山寛貴。

岡部 ウエストミンスターは飄々としたボケと大人しそうなツッコミのコンビだったので、僕みたいな濃い奴が入るポジションが残されているんじゃないかと思っていました。そんなとき、ちょうど菊田から飯に誘われて「誰と組みたいか考えてないの?」って聞かれたので、思い切って「ウエストミンスターに入りたいです」って言ったらめちゃくちゃ嫌な顔されたんです(笑)。ヤバいと思って今度は秋山に電話したら「いいよ、やろう」って即答してくれました。しかも「2人で? 3人で?」って(笑)。

菊田 僕、切り離されるかもしれなかったんです! 本当に危ない!

秋山 なかなか上にいけないウエストミンスターに「おもろいのになあ」って声をかけてくださっていたロッチのコカドさんが、岡部加入時に「完全体になったな」と言ってくださったのを覚えています。

菊田 素晴らしい。よかった。これで切り離されてたら芸人辞めてましたよ。

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ボロ負けからの決意

ワタナベコメディスクール

2019年 第30期 4月生申込受付中

締切:2019年3月中旬
※定員が埋まり次第、締め切り。

資料請求・問合せ

0120-30-0151
10:00~21:00(年末年始を除く)

詳しくはこちらから

ハナコ
ハナコ
左 / 菊田竜大(キクタタツヒロ)
1987年6月12日生まれ。千葉県出身。
中央 / 秋山寛貴(アキヤマヒロキ)
1991年9月20日生まれ。岡山県出身。
右 / 岡部大(オカベダイ)
1989年5月30日生まれ。秋田県出身。