ワタナベコメディスクール ハナコ インタビュー|養成所で出会いキングオブコント王者になるまで

ボロ負けからの決意

──ハナコとして初めて「キングオブコント」に挑戦したのは2015年でした。ここでは2回戦まで勝ち進んだそうですね。

岡部 初めての「キングオブコント」の1回戦でいきなりめちゃめちゃウケました。菊田が舞台袖に戻ったときに「よっしゃ! 受かった! よしよしよし!」って言ってたんですけど、周りがピリピリしてるから変な空気になってました(笑)。

秋山 でも2回戦で大失敗しちゃって。初めて大きな舞台に立ったらすごく緊張して、縮こまったまま終わりました。

菊田竜大

菊田 袖でスタンバイしている時点で「今年は終わったな」って諦めたのを覚えてます。いつもだったら僕が出る前からウケてるんですけど、そのときはかなりスベってました。「出るまでもない」ってこのことを言うんだなって(笑)。

──しかし、その次の「キングオブコント2016」ではいきなり準決勝まで進みました。

岡部 「おもしろ荘」でも披露した「おじさん虫」というネタがその頃の鉄板で、調子よく勝ち上がりました。準決勝は攻めようと思って「おじさん虫」ではなく、そのときの隠しネタをやってまた大失敗。

秋山 今度は初めての赤坂BLITZに飲まれちゃいました。新しい会場にめっぽう弱いんです(笑)。僕らのネタは出捌けが多いのでストロークが長くなると、体験したことのない間のズレが生まれるんですよ。

──なるほど。その翌年は準々決勝で敗退するものの、2018年にはとうとう決勝進出しました。このときはすでに「ワタナベお笑いNo.1決定戦2018」「あなたが選ぶ!お笑いハーベスト大賞2018」で立て続けに優勝して勢いに乗っていて、「今年の賞レースを全部獲る」と宣言していましたよね(参照:ハナコ「めちゃくちゃウケた」ハーベスト大賞、次の賞金稼ぎはKOCで)。この目標を掲げたのはなぜだったんですか?

岡部大

岡部 2017年の年末に「平成29年度 NHK新人お笑い大賞」の決勝でボロ負けして、あまりにも悔しかったから「来年は絶対に全部の賞レースを獲る!」って誓ったんです。

菊田 大阪から帰ってきて、品川駅で岡部が「来年は全部獲る」ってボソッと言ったあのシーン、すごく記憶に残ってます。いいシーンでした。

秋山 そこから菊田が何かをがんばることはなかったんですけどね。

菊田 ははははは!(笑)

──実際に「キングオブコント」の決勝進出が決まったときはどんな気持ちでしたか?

菊田 名前を呼ばれた瞬間は覚えてないです。舞台裏に行ったときくらいから記憶が戻ってますね。2人の肩を抱いて「よかったよかった」って。

秋山 いけるかどうか全然わからなかったから驚きが強かったです。

岡部 2日にわたって行われる準決勝の1日目が調子よくウケていたので「いけるかな」と思ったら、2日目が微妙なウケで一気に不安になりました。ちょうど当落線上かなと思っていました。でも、ずっと期待しちゃうんですよね。結果発表のときも全部のカメラが僕らを抜いてるように感じちゃって(笑)。

秋山 席順も指定されるので、「あれ? ここは(発表のときに)立ちやすい場所か?」みたいな(笑)。

「優勝しなくていいや」とすら思えたバナナマン設楽の賛辞

──準決勝と決勝では、岡部さん扮する犬が人間の言葉で気持ちを表現する「犬」と、ひたすら追いかけ合うカップルを描いた「捕まえて」の2本を披露していました。これらのネタはどのように生まれたんですか?

秋山 「犬」は、犬好きの岡部が思い付いたネタ。アイデアを説明してもらった時点で「絶対面白いじゃん」って思いました。

岡部 単独ライブの準備中、「あと1本変わったやつをやりたいけどどうしようかな」って思っていたときに生まれました。

ハナコ

菊田 「犬」の台本ができたとき、岡部と秋山が2人でネタ合わせしてるのを傍から見てたんですけど「とんでもないネタができたな!」って震えました。とにかく衝撃だったんです。シンプルなのに奥深さがあって。周囲のみんなに「とんでもないことになる! この世がひっくり返るネタができた!」と言い回ってました。

秋山 そんなにハードル上げるのはできればやめてほしかったです(笑)。

岡部 先輩たちから「お前らヤバいネタできたらしいな」って言われて(笑)。

菊田 いくらハードル上げても大丈夫なネタだと思ったのよ!

岡部 「捕まえて」は2017年の年末に完成しました。僕と秋山とキサラギ富樫は、たまに3人で集まって各自が出したネタのアイデアを広げ合う作業をしていて、そこで富樫が「カップルの片方が逃げまくる」というアイデアを出したのが最初です。それを聞いたときに、僕の頭の中で構成が一気に思い浮かんできて「うわ! これはさらに膨らませたらヤバいものができる!」と思って、帰りに「実はあのネタ、俺たち3人でやりたいんだけど、よかったらくれませんか?」ってLINEして。そしたら富樫は「お前がそんなこと言うの初めてだから」って快諾してくれたんです。だから富樫には感謝しかありません。

──何かお礼しないとですね。

岡部 おごりました(笑)。まだおごってますし。本当に(恩を)返し足りないです。

──この「捕まえて」はバナナマン設楽さんに「相当ヤバい」と絶賛されていましたよね。設楽さんがあそこまで言うのはかなり珍しいように感じました。

岡部 あの瞬間は本当にたまらなかったです。うれしすぎて「もう優勝しなくていいや」とすら思いました。あとCMに入ってから浜田さんが「よかったで」って僕らの背中を叩いてくれたのがうれしくて、ホクホクで裏に戻りました。

菊田 優しかったなあ。

岡部 その優しさのせいで菊田が伸び伸びしすぎちゃったような気もしますけど(笑)。

──菊田さんが自分のことを「めちゃ楽ポジション」って言っているのは笑ってしまいました。さまぁ~ず大竹さんが冗談で「菊田くんはいらないんじゃない?」と言ったときに、「大竹さん、それ正解!」と返したのもすごいですよね。

菊田竜大

菊田 ははははは!(笑) この間、「M-1グランプリ」を観てるときに「俺みたいな人が1人もいないじゃん」って思いましたからね。「キングオブコント」でヤバいことをやっちゃったんだなって気付きました。

──(笑)。優勝後、特にうれしかった出来事は?

岡部 養成所に戻ったら「ハナコおめでとう」ってすごく大きく貼りだしてくれていたのがうれしかったです。

秋山 僕はネットでたまたま見かけた高校生オーディションのバナーに「キングオブコント」王者として僕たちの写真と名前が載ってたこと。自分がワタナベに入るきっかけになったオーディションの広告だったので感慨深かったです。

──それは確かに感動しそうです。

秋山 やっぱり養成所で菊田と岡部に出会えたことが最大の幸運だなと思います。何を学ぶかというのはもちろん重要ですけど、誰と出会うかも大切。

菊田 そう。自分の運命を信じるしかないんですよ。

岡部 いい感じのこと言おうとするな!(笑)

ワタナベコメディスクール

2019年 第30期 4月生申込受付中

締切:2019年3月中旬
※定員が埋まり次第、締め切り。

資料請求・問合せ

0120-30-0151
10:00~21:00(年末年始を除く)

詳しくはこちらから

ハナコ
ハナコ
左 / 菊田竜大(キクタタツヒロ)
1987年6月12日生まれ。千葉県出身。
中央 / 秋山寛貴(アキヤマヒロキ)
1991年9月20日生まれ。岡山県出身。
右 / 岡部大(オカベダイ)
1989年5月30日生まれ。秋田県出身。