さらば青春の光インタビュー | 過去最大ツアーで磨いた「八百長」全コント振り返りと今後の展望を聞いた

さらば青春の光が今年5月から9月にかけて開催した単独ライブツアー「八百長」の東京凱旋公演の様子を収めたDVDが12月3日に発売される。

前回から開催地を3都市拡大し、大阪、東京、石川、神奈川、新潟、福岡、京都、愛知、北海道、愛媛、宮城、鳥取の全国12都市で全41公演を実施した同ツアーでは、過去最多となる4万人を動員した。お笑いナタリーではさらばの2人にインタビューを実施し、「八百長」の手応えと「動員数を増やすだけではない」ツアーの今後の展望を聞いた。

取材・文 / 狩野有理撮影 / 入江達也

過去最大ツアー、苦労と引き換えに得た達成感

──今回はタイトルが「八百長」ということもあってか、ライブ全体的にさらば青春の光のダークな部分を凝縮した雰囲気が漂っていたように感じました。

森田哲矢 まあ、それは毎年ですけどね(笑)。

──確かにそうなんですが(笑)、もしかしたらタイトルがネタ作りにも影響するものなのかなと。

森田 影響ないです、ないです。そんなクリエイティブな思考じゃないですよ(笑)。でも、実際に出揃ったネタを眺めてみたら“八百長感”のあるラインナップにはなりましたね。

──どうやってタイトルを決めたんですか?

森田 けっこう早めに決まったんですよ。「8」が付く言葉があんまりなくて。「八方塞がり」とか、僕らもう悪い言葉はタイトルに付けないようにしているので。

さらば青春の光

さらば青春の光

──以前実施した鼎談で、演出担当の家城啓之(マンボウやしろ)さんが2018年の「真っ二つ」の話題のときに「昔よくないタイトルを付けて本当によくないことが起きた」というお話をされていましたね。(参考記事:第2回特集

森田 でも実は「八百長」には“相手に気を使って負けてあげる”というニュアンスもあると聞いて、「じゃあ、八百長でいいんじゃない?」となりました。バイク川崎バイクさんからも「八百長ってどう?」と言われたこともあったので、ということは俺らっぽいってことだろうし。で、一応ブクロにも聞いたらそれを上回る案が出てこなかったので、決定しましたね。

東ブクロ 聞かれた?

森田 聞いたと思う。なんかほかの案も出してはいたけど「なんかあれやな……」って感じやった気がする(笑)。

さらば青春の光

さらば青春の光

──今回のツアーは5月から9月まで、全国12都市を回って4万人動員を達成しました。過去最大のツアーをやり遂げてのお気持ちを改めて聞かせていただけますか?

森田 やっぱり達成感はありましたね。いつもブクロが(公演回数が)多いって文句言ってたんですけど、今回はさすがに僕も多いなって思ってましたから(笑)。途中、モルックの世界大会とかも挟んでますし、長いな~と。でも、41公演を重ねてきたからこそネタはブラッシュアップされたと思います。

東ブクロ 今回は、作家陣も含め「あと何公演」「ここで折り返しや」とかをあんまり考えんようにしないと乗り切れないなという雰囲気が漂っていました。「ちょっとこれは果てしないぞ」と。5月から9月なので、懲役4カ月みたいな気持ちでいたんですけど(笑)、いつもは東京公演からスタートするところを今回は大阪から始まったのも新鮮でしたし、あまり実感はないですが結果4万人という数字には驚きます。相変わらずほんまに多すぎるっていうのもあるし、「なんで米子(鳥取公演)?」というのもありましたけど、来ていただいた方々にはもう感謝しかないです。

森田 感謝はちゃんと伝えんねんや(笑)。

森田哲矢

森田哲矢

森田哲矢

森田哲矢

東ブクロの設定が採用されない=いい設定ができている

──ほかの仕事もやりながらのツアー。「あの部分どうしよう?」とか、期間中は常にネタのことを考えてしまうのでは?

森田 僕は目の前の仕事に向かっているときは単独のことを忘れているタイプなので、終ってから「明日ここ変えようかな」と考えてます。

──東ブクロさんはどうですか?

東ブクロ 僕はネタができ上がってラスト1週間だけが勝負なので、ほかの仕事に影響するっていうのはまったくないです。ツアーが始まってしまえばそんなに大変ではないですよ。

森田 始まってからもわりと練習したよ。

東ブクロ まあそうやけど、最初の、0から覚えなあかんところが一番大変。

さらば青春の光

さらば青春の光

──でも「懲役4カ月」という気分だったということは、常に重圧だったんじゃないですか?

東ブクロ 「どの地方でゴルフ入れられるかな」ぐらいですよ(笑)。

──そのせめぎあいもあったんですね(笑)。前回の単独ライブのインタビューでは、森田さんが過去一番、産みの苦しみがあったとおっしゃっていました。今回のネタ作りは順調にいきましたか?

森田 いつも通り、難産は難産なんですよ。結局どこで「これでいける」と線を引くかなので。去年の「ラッキー7」のときは初日の直前まで「やばい、やばい」と言いながら合わせていたから、それに比べたら今回はまだ余裕がありました。

東ブクロ 作家から「設定案ある?」と聞かれて1回無視したことがあったんですけど、そこからもう聞いてこなかったので、「あ、できてるんや」と思っていました。一応、設定を2、3個くらいは投げたけど結局このラインナップには含まれていないし、特に心配することなく稽古に入りましたね。

森田 前回は「これでいくしかないか」っていう感じでツアーがスタートしたんですが、今回は「これでいけるんじゃない?」くらいの気持ちで臨めました。ただ、初日に全然ウケへんかった「コント『宇宙人カフェ』」についてはツアー中、ずっと悩んでいて。差し替えることも考えました。早い段階で「これでいける」とした分、その油断が生じた感じはあります。やってみたら、「え、これ大丈夫なんか?」ってなりましたから(笑)。

東ブクロ

東ブクロ

東ブクロ

東ブクロ

──東ブクロさんは、設定を出して使われていなかったときに「あれ?」とは思わないんですか? 実際、前回の公演では2つも採用されていましたし。

東ブクロ 全然ないです。逆に使ってほしくないくらい。

森田 こいつはただ出しゃええと思ってますからね(笑)。

東ブクロ もう採用されなかったらそれはそれで御の字というか、僕が考えるよりもいい設定がもちろんあるでしょって思うから。

──むしろ、使われないということは「できたんだな」と安心できる。

東ブクロ そうですね。「頼むぞ、いいの出てくれよ」って思いながら待っているだけです。