芸人もお客さんも仏さんみたいな顔になる「絶景漫才」
──アキナのお二人は「銀シャリ、和牛、アキナの絶景漫才」と「アキナ牛シュタインと行く!奥会津ふれあいツアー」の2回、奥会津を訪れていますね。プライベートを含めても奥会津は初めてでしたか?
秋山賢太 初めて行かせてもらいました。驚いたんですが、どこを見渡しても本当にツアータイトル通りの“絶景”なんです。都会では味わえない場所でした。「こんなところあんねんな」って知れただけでも十分価値のある旅でした。
山名文和 僕らも初めてでしたし、奥会津を旅行の目的地にする人って少ないと思うんです。でも行ってみたら「なんでこんないいところ知らなかったんや!」って自分に腹立つくらい素晴らしい場所で。
秋山 僕らの中で奥会津は、「国内旅行で行くなら」のランキング1位に躍り出てます。
──どんなところがよかったですか?
山名 僕は田舎出身なので、故郷に帰ったような安心感がありました。雄大で、心が安らぎますね。都会育ちの方も、自然いっぱいの風景を見たいならぜひ行ってみてほしいです。
秋山 只見線に乗っている時間もすごくよくて。窓から見える景色がめちゃくちゃきれいなんです。車両もレトロでかわいらしくて、ちょっと哀愁を感じるというか。運行している区間は片道1時間程度なんですけど、ずっと乗っていたいなっていう気分になります。
山名 ビール飲みながらね。車中では芸人さんとの写真撮影タイムがあるんですが、僕らがウロウロしてるの、お客さんにとっては邪魔やったんちゃうかな?
秋山 あはははは(笑)。お客さんも俺らより絶景を見たいもんな。
──お二人が参加した最初の企画は絶景をバックに漫才を披露するという「絶景漫才」。最初にこの企画について聞いたとき、「絶景×漫才」って斬新な掛け合わせすぎて想像がつきませんでした。
秋山 僕らもまったく一緒です(笑)。「何を言ってるんやろう?」ってちょっと理解できませんでした。
山名 おそらく、読んで字のごとく絶景な場所で漫才をするんやろうとは思ったんですけど、「いや漫才入ってけえへんやろ」っていう(笑)。「ほんまにやるのかな?」って半信半疑で行きましたけど、ほんまにそのままやりましたね。
──実際やってみてどうでしたか?
秋山 僕らがやったところは田子倉湖(田子倉ダムのダム湖)というところで、山々がめっちゃきれいなんです。時期的に紅葉もしかけていて。僕にとってネタをやってるときが一番楽しい瞬間なんですが、それに爽快感もプラスされてほんまに気持ちよかったです。
山名 僕も気持ちよかったですね。気が散って漫才なんか入ってこないって心配していましたけど、お客さんもしっかり聞いてくれていました。こういうのが当たり前になるのは嫌なんですけど、「絶景×漫才」めっちゃアリですね。
秋山 ネタ、10分くらいやってたかな? あと2、3分やってたら、僕らもお客さんもたぶんみんな泣いてたと思います(笑)。
山名 あはははは(笑)。せやな。登場もすごくよかったんです。
秋山 ステージまで100メートルくらいストロークあったよな(笑)。
山名 ダムを眺めながらたそがれたり、秋山さんと昔のことを振り返ったりして(参照:アキナ山名「すごい通り越してエロい」奥会津の絶景を前に秋山と感傷にひたる)。あそこから楽しかったです。
──銀シャリ、和牛の2組は只見川が見下ろせる尾瀬街道みしま宿の特設ステージで漫才を披露しました(参照:銀シャリ&和牛が絶景漫才、アキナの号令で乾杯「最後まで一緒に」)。ご覧になっていましたか?
秋山 見てました。全然いつもと表情がちゃいましたね。
──どういうふうに違いました?
秋山 なんか、仏さんみたいな顔で。
──あはははは(笑)。
秋山 僕らと一緒で、漫才しながらすごい癒やされてるんだと思います。「自分らもこんな顔でやってたのかな」って客観的になってちょっと恥ずかしかったです(笑)。
山名 お客さんも仏さんみたいな顔で見てはりました。この経験で、漫才ってどこでもできるんやなって思いましたね。
守谷日和発熱事件&和牛・水田マジギレ事件
──2回目の「アキナ牛シュタインと行く!奥会津ふれあいツアー」(参照:アキナ牛シュタインがファンをお見送り、山名「家に帰るまでが南無阿弥」)での思い出を教えてください。
秋山 当日はそんなつもりなかったんですけど、1回行ってるっていうことで(バスに同乗した)守谷日和とか初めて奥会津に来た人たちに対してちょっとイキってました。守谷くんが「むっちゃいいっすね、景色!」とか言うてきてくれてんのに、「ああ、そやろ?」みたいな(笑)。
──「俺は奥会津のよさを知ってるぞ」と。
秋山 今思うとめっちゃ恥ずかしいんですけど(笑)。でもイキらせてもらえたっていうか。「俺は知ってる」っていうのを自慢したくなるんです。
山名 わかります、わかります。僕も(和牛・水田)信二が「旅館のご飯ってどんなんなん?」って聞いてきたので、「魚とか土鍋やで」ってイキって答えちゃってました。
秋山 印象的だったのは、やっぱり守谷日和が熱出したことですね。
山名 あはははは!(笑) めっちゃ腹立ったんですよ。みんなで「トランプしよう」って楽しくやってたのに、あいつだけ「しんどいから寝るわ」とかマジのトーンで言い出して。いつも大げさなんです。「なんやねん、やろうや」「いや、しんどい」っていう問答があって、あいつが寝ようとしては「ウィ~」とか言って僕らが布団をはがすっていうノリを何回かやっていたら、急に「やめろって!!」ってキレて。
秋山 あはははは(笑)。
山名 「じゃあ熱があるんなら体温計ってみいや」と。実際計ったらほんまに39度くらいあって(笑)。誰もが「全然ないやん」ってツッコもうと思ってたのに。
秋山 でもほんまに高熱で、守谷くんもホッとした顔してました。
──あはははは(笑)。その夜は守谷さんを隔離して寝たんですか?
秋山 いや、僕が守谷くんと同じ部屋で寝たんですけど、全然うつらなかったです。あいつも翌日ケロッとしてましたしね。
山名 それも腹立つわー(笑)。何事もなかったかのように元気でしたから。あと旅館での出来事で言えば、信二が……。
秋山 ああー(笑)。それは言うとこう。
──なんですか?
山名 みんなで一緒に同じ部屋に寝るって旅館ならではで楽しいじゃないですか。でも、スタッフさんが「3人から4人ずつのお部屋になります」って言った瞬間に、信二が「なんっでやねん! 1人1部屋やろ!」って。
秋山 冗談かなと思ったんですけど、けっこう本気やったんです(笑)。結果、あいつだけほんまに1人で寝たんですよ。
山名 いや僕ね、帰ってから思ったんです。旅館の広ーい畳の和室に1人で泊まるなんて、信二と文豪だけちゃう?って。「信二やなあ」って思いましたけどね。
秋山 寂しい奴なんですよ(笑)。
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同じことを経験してお客さんと距離が近くなる
- アキナ
- 左 / 山名文和(ヤマナフミカズ)
- 1980年7月3日、滋賀県出身。
- 右 / 秋山賢太(アキヤマケンタ)
- 1983年6月24日、兵庫県出身。
- 2012年結成。「第45回NHK上方漫才コンテスト」「第4回NHK新人お笑い大賞」など受賞歴多数。2016年には「M-1グランプリ」で決勝進出を果たし、「キングオブコント」では2014年、2015年、2017年の3度ファイナリストに。「関西発!才能発掘TV マンモスター」(MBS)の司会を務める。「キャスト」(ABC)、「せやねん!」(MBS)、「アキナ・和牛・アインシュタインのバツウケテイナー」(サンテレビ)、「吉本超合金A」(テレビ大阪)などに出演中。単独ライブやユニットライブ「アキナ牛シュタイン」などを定期的に開催している。
- アキナライブ情報
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- 「アキナのネタ提供して貰いました」
- 日時:2018年6月28日(木)18:30開場 19:30開演
- 会場:大阪・なんばグランド花月
- 料金:前売2800円 当日3000円