お笑いナタリー PowerPush - トレンディエンジェルインタビュー NSC・YCC・YOEC特集

NSC時代の財産は「相方や同期との出会い」

吉本総合芸能学院(NSC)、よしもとクリエイティブカレッジ(YCC)、よしもと沖縄エンターテイメントカレッジ(YOEC)が2016年4月の入学生を募集している。これに伴いお笑いナタリーでは、NSC東京校10期生で「M-1グランプリ2015」王者のトレンディエンジェルに話を聞いた。記者の手元には、NSC東京校の現役生(21期生)から2人への質問が資料として事前に提供されており、その質問は本稿にも反映されている。「M-1」で最高の結果を残した2人の話は、芸人志望者にとって有意義なものとなるはずだ。

取材・文 / 成田邦洋 撮影 / 辺見真也

NSC・YCC・YOECとは?

NSCNSCは「ニュー・スター・クリエイション」の略称。1982年に大阪校が開校して以降、ダウンタウン、ナインティナインなど数多くのスターを生み出してきた。半年間の基礎・応用レッスンのあと、夢を叶えるための実践的な授業が実施される。各種新人オーディションやイベントといった芸人としての実力を試すチャンスも豊富。成績優秀者は在学中から、よしもと所属のタレントとして舞台やテレビなどで仕事の現場に立つ。

YCCYCCは「よしもとクリエイティブカレッジ」の略称。2008年度にNSCの姉妹校として誕生した。各種番組やイベント、ライブなどに携わるスタッフや、クリエイター、構成作家の養成を目的としている。

YOECYOECは「よしもと沖縄エンターテイメントカレッジ」の略称。2011年4月、沖縄に開校した新しい養成所だ。「沖縄から世界に発信するコンテンツを」という志から、タレントやスタッフ志望者に、よしもと流のノウハウを教えている。タレント、スタッフとしての基礎・応用授業を踏まえ、沖縄国際映画祭をはじめとする県内各所で行われるイベントにて、実践する機会を多く持つ。

敗者復活戦のお客さんに応援されて「行けるぞこれ!」

──「M-1グランプリ2015」優勝おめでとうございます。

トレンディエンジェル

トレンディエンジェル斎藤 やってしまいました! NSC東京校の卒業生で「M-1」を獲ったのは僕らが初めてなんですよ。これは我ながらけっこうな快挙だなと。最終的には大統領を目指そうかなと思っています(笑)。

トレンディエンジェルたかし じゃあ僕は秘書をやります。

──当日は敗者復活戦を勝ち上がってすぐに決勝の舞台へ立たれていましたが、ネタ合わせの時間はほとんどなかったのでは?

斎藤 そもそも決勝では、準決勝のネタをやろうと思っていたんですけど、テレビだとカットしなきゃいけない部分があってネタの中身を半分変えたんですよ。それがようやく形になったのが決勝前日の夜で、トンファーの山西を急遽招集して、ようやくできたんです。

──山西さんはNSC東京校の11期生で、お2人にとっては1期下の後輩ですね。山西さんを呼んだのは、なぜでしょうか?

斎藤 「THE MANZAI」の決勝でも披露した「のど黒飴」の替え歌を最初に作ってくれたのが彼で、そのボケに救われたところがあるんです。そこで今回も山西を呼んだところ、1時間半くらいでネタが完成しました。采配が見事当たりましたね。

たかし 彼ならやってくれるんじゃないかと思ったんですよ。

斎藤 決勝前日にできたネタなので、要はお客さんの前で決勝1本目のネタを一度も試していなかったんです。だからといって敗者復活の空き時間に練習するのも、やらしいじゃないですか? 「あいつら決勝に行こうとしている」って。

たかし 「このウケ具合で決勝に行く気満々なの?」って思われちゃう。

斎藤 決勝を観ていると、馬鹿よ貴方はさんみたいな玄人好みの深いボケでもウケてくれるお客さんだったので、「僕らのネタは安いかな? 甘いかな?」と思って。途中からは決勝に行きたくない気持ちも少しあったんですよ。決勝に行ってスベるくらいなら行かないほうが、毛がない……いや、ケガがない(笑)。それでも1位だと発表されて「やばい! 来ちゃった!」と。

たかし 「もっと練習しておけばよかった」と。

トレンディエンジェル斎藤

斎藤 ただ、僕らは敗者復活を観ていたお客さんの間を通り抜けてテレ朝のスタジオに行ったじゃないですか。そのときけっこうみんな笑っていて、「行け行け!」ってすごく応援してくれて。それで一気にアドレナリンが出て、「行けるぞこれ!」と思ってテンション上がりましたね。あの演出がすべてです。

たかし お客さんの間を通っていなかったら、と思うと怖いですね。

斎藤 あとはスタジオに入って2回くらい合わせて、バッと舞台に出された感じです。あんなことは2度とないだろうなあ。

たかし 敗者復活で上がって30分後に優勝ですから。30分で1千万稼ぐ。

──夢がありますよね。

斎藤 夢、ありましたね。金がすべてじゃないですけど。「M-1」のあとは3日後くらいにやっと家に帰れて、オンエアの映像を観て、そのとき「このセットでやってたんだ」って初めて実感しました。あのずっと憧れていた出囃子の音楽も噛み締められなくて、あんまり細かい記憶がないですね。

漫才はお客さんと3人でやるもの

──NSC生からも「『M-1』決勝戦の空気感を教えてください」という質問が寄せられています。記憶がないということですが、どんな空気感でしたか?

斎藤 昔の「M-1」とは、いい意味で違う雰囲気だったんじゃないですかね。

たかし もっとお堅いイメージがありましたよね。

斎藤 審査員をやっていただいた先輩方も普段一緒になる機会が多いし、優しく感じました。スタジオのお客さんもめっちゃ温かかったです。

──決勝1本目のネタについては先ほどお聞きしましたが、2本目のネタ選びに関しては何かポイントがありますか?

斎藤 1本目は絶対に誰よりもウケなきゃいけないし、インパクトがないと勝ち上がれないんです。2本目は逆に安定感が重要なので、絶対にやり慣れた鉄板ネタをやろうと。2本目はハードルがめちゃくちゃ上がりますけど、そのハードルを超えるんじゃなくて、くぐるのが正解なんです。

トレンディエンジェル

たかし 鉄板ネタをやるのが正解だというのは、「THE MANZAI」でハマカーンが優勝したときに気が付きました。

──斎藤さんは「かかってこいよ」みたいにお客さんを挑発する仕草を「M-1」でも連発されていましたが、どういう狙いがあるのでしょうか?

斎藤 「ツギクルもん」(フジテレビ)の収録で、ちょっと自信のないネタをするときに、とにかくテンションをめちゃくちゃぶちあげようと思って、「よっしゃ! かかってこいよ!」って入れまくっていたんですよ。あれをやると、お客さんのテンションもすごく上がるんです。ギャグじゃないですけど、それに気付いてから入れるようになりました。やっぱり漫才はお客さんと自分たちの3人でやるものですから。

スクール案内

2016年4月入学生募集中

吉本総合芸能学院(NSC)
第2回募集締め切り:2015年12月末日(到着分まで)
第3回募集締め切り:2016年2月末日(到着分まで)
第4回募集締め切り:2016年3月末日(到着分まで)
よしもとクリエイティブカレッジ(YCC)
第2次募集締め切り:2015年12月末日(消印有効)
第3次募集締め切り:2016年1月末日(消印有効)
第4次募集締め切り:2016年3月末日(消印有効)
よしもと沖縄エンターテイメントカレッジ(YOEC)
願書受付締め切り:2016年3月31日(消印有効)
トレンディエンジェル

トレンディエンジェル

NSC東京校10期生。2005年4月にコンビ結成。

左 / たかし
1986年1月30日生まれ。東京都出身。

右 / 斎藤司(サイトウツカサ)
1979年2月15日生まれ。神奈川県出身。