お笑いナタリー Power Push - かもめんたる

「ずっと何かを作り続ける人になるんだろうな」最新単独ライブで示した方向性

かもめんたるが今年1月、東京、愛知、大阪の3会場で「第16回単独ライブ『抜旗根生~ある兄弟の物語~』」を開催。ライブの模様を収めたDVDが発売された。

この単独ライブでかもめんたるは、ヨーロッパ企画の作・演出を務める上田誠と初めてタッグを組んでいる。ライブの構成を依頼した上田との信頼関係、上田を迎え今までとは一味違ったステージを成功させた手応えについて、お笑いナタリーではかもめんたるに話を聞いた。

「キングオブコント2013」優勝から約1年半、ドラマや舞台への出演で活動の幅を広げ、自ら立ち上げた「劇団かもめんたる」の旗揚げ公演を控えている彼らが今、向かおうとしている場所とは。たっぷりと語ってもらったインタビューとともに、かもめんたるが上田に聞きたいこと、そしてそれに対する上田からの回答もあわせて掲載する。

取材・文 / 狩野有理 撮影 / 辺見真也

 
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実体験が含まれているほうがみんなもどこかで共感できる(う大)

左から岩崎う大、槙尾ユウスケ。

──まず一番気になることから聞かせてください。単刀直入に、「抜旗根生(ばっきこんせい)」って何なんですか?

槙尾ユウスケ いや、気になりますよね(笑)。この世に存在しない言葉ですし。

岩崎う大 今回初めて単独ライブのタイトルに副題を付けたんです。「ある兄弟の物語」って。僕には弟がいるのですが、彼とは子供の頃の思い出を今でもよく話すんですよ。「抜旗根生」はその思い出の1つなんです。言葉の意味はネタの中で明かしていることなので、読者の方にはぜひDVDを観ていただければと(笑)。その「抜旗根生」にまつわるエピソードっていうのは、取り立てて人に話すような場面ではないけどなぜか僕たちにとっては面白いことだった。けっこう変わってる兄弟なんですよね。周りは何とも思ってないことなのに2人だけで笑ってる、みたいなこともよくあって。

槙尾 弟さんもすごく面白い人なんです。変わってて、う大さん並に変態っぽさがある。

──槙尾さんはこのタイトルに決まってどう思いましたか?

槙尾 読みづらいし、ケータイで打つにも変換できないし、面倒くさいなーと思ったんですけど、やっぱりう大さんが考えるタイトルはほかの芸人にはない発想で、いいなと思いましたね。蓋を開けてみたらライブの重要なキーワードになっていましたし。

──主人公がタトゥーにして身体に彫り込んでいるくらいですもんね。もう1つ気になることがあって、1本目のコント「トドロキサーカス」で、う大さん演じるキャラクターがインタビューへの受け答え方に迷うシーンがありますよね。これってご本人が常々思っていることなんですか?

岩崎う大

う大 ときどきあります。取材を受けていて変なリズムに乗っちゃってる自分に気づくことが。

槙尾 最初の入りで失敗しちゃったら、もうそのキャラを通すしかないもんね(笑)。

──だから今日もしかしたら悩ませてしまうのではないかな、と……。

う大 今日は大丈夫です(笑)。この感じでいきます。

──今回はほかにも「自分が人からどう見られているか」について葛藤する自意識の強いキャラクターが何人か出てきます。苦悩する様がリアルで、彼らはう大さんそのものなんじゃないかと思ったのですが。

う大 そういう部分もあります。僕がわりと思春期の男の子のように、こんなところまで見られてるんじゃないかって気にしたり、逆に人の細かいところまで見ちゃったりする人間で。うちの弟もまさにそうで、回転寿司で板前さんに直接注文できないんです。「注文したのが旬な魚じゃなかったらどうしよう」って考えちゃって(笑)。そういう人たちってやっぱりこだわりが強いから、キャラクターとしては面白くなりやすいんです。

槙尾 変なところにこだわってる人っていうのは、かもめんたるのコントにはよく出てきますね。

う大 「正しい顔」なんかは僕の小学校のときの実体験です。ドッジボールで外野に行くとき、ある瞬間からふと「どんな顔すればいいんだ?」って気になり出して。悔しがってても嫌だし、かと言って全然気にしてないっていうのも不自然。“ちょうどいい顔”ってなんだろうって。そういうのを気にしない無邪気な奴はすごくいい感じなんですけど、カッコつけてる奴もいて、それはダサいなーとか。だから僕の作るコントは全部フィクションってわけじゃないんです。自分の実体験が含まれているほうが、みんなもどこかで共感できると思う。

──たしかに共感しました。個人的な話ですが、昔トランポリンで遊ぶことになったとき、みんな楽しそうに飛んでるのを見て足がすくんで乗れなくて。

槙尾ユウスケ

槙尾 なんでですか? 普通に乗ればいいじゃないですか(笑)。

う大 トランポリンはけっこうヤバい感じしますねー。自分の意思とは関係なく跳ねるし。トランポリンは危険だ……。

──槙尾さんはこういった自意識過剰で行動が制限されるっていうことはないんですか?

槙尾 もうまったくないですね。何を気にしてるんだって思います。

う大 いや、こいつはむしろカッコつけてるタイプですよ、絶対。

──(笑)。ではこういうネタを渡されたときに意図を理解するのが難しいのでは?

槙尾 う大さんの気持ちはわからないけど、コントの役にはすごく入りやすいです。純粋に「何言ってるの?」っていう、素の自分とまったく同じ気持ちでやれるので。あとキャラの性格が、う大さんの頭の中を読み解くきっかけになるんです。あのときの言動はこういう思考回路でなされていたんだ!っていう答え合わせ(笑)。

DVD「かもめんたる 第16回単独ライブ『抜旗根生~ある兄弟の物語~」/ 2015年7月15日発売 / ポニーキャニオン / 3024円 / PCBP-12264
DVD「かもめんたる 第16回単独ライブ『抜旗根生~ある兄弟の物語~」/ 2015年7月15日発売 / ポニーキャニオン / 3024円 / PCBP-12264
収録内容
  • トドロキサーカス
  • 地獄の元カレ
  • ドリームクラッシャー
  • 正しい顔
  • バルーンアーティスト・ペルの受難
  • オヤジミーツオヤジ
  • やん!
  • 抜旗根生
特典映像
  • 槙尾の失敗とその余波
音声特典
  • かもめんたると上田誠のコメンタリー
かもめんたる
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写真左 / 岩崎う大(イワサキウダイ)
1978年9月18日生まれ。東京都出身。4コママンガ「サモアリナン」を自身のTwitterアカウントにて毎日更新中。

写真右 / 槙尾ユウスケ(マキオユウスケ)
1980年12月5日生まれ。広島県出身。女装ライブや即興コントライブ「ワラインプロ」の主要メンバーとしても活躍。

2007年にコンビ結成。「キングオブコント2013」チャンピオン。2015年秋に公開予定の映画「内村さまぁ~ず THE MOVIE エンジェル」、9月5日より東京、大阪で上演される表現・さわやか 番外恋愛公演「TanPenChu-♡」に出演が決定している。

劇団かもめんたる 第1回公演「Semi-nuida!」

日時:2015年7月24日(金)~26日(日)
会場:東京・新宿シアターモリエール