ずっと何かを作り続ける人になるんだろうな（う大）

──前回の単独ライブ「下品なクチバシ」は「キングオブコント」王者として開催したわけですが、次のキングが決まるまでどんな1年を過ごしましたか？

う大　いろいろテレビに出させてもらったんですが、やっぱり難しかったですね。やりながら「どうも違うんじゃないかなあ、僕の住む世界は」って思ってました。

槙尾　そうなんだ（笑）。いやいや、でもがんばったし、僕はもっと出たいなという気持ちでいました。確かに失敗したこともいっぱいありましたけど、「今日の収録はうまくいった」っていう手応えもあったし。だけど結局は単独ライブやったりナイロン100℃の舞台に客演（2014年9月～11月上演 / 参照：かもめんたるの初本格舞台「社長吸血記」開幕）したり、ドラマ「怪奇恋愛作戦」（テレビ東京 2015年1月～3月放送 / 参照：へんてこりんで面白い、かもめんたる“純粋に”演じたケラ監督ドラマ明日）の撮影が入って、舞台や演技の仕事が増えていった1年でしたね。

う大　バラエティに出演したことによって、僕はたぶん、ずっと何かを作り続ける人になるんだろうなって実感しました。その場を瞬間的に盛り上げて笑いを取って「お疲れ様でしたー！」ってタイプではないんだな、と。もちろんそこへの憧れもありましたけど、神様に「お前はそっちじゃないぞ」って言われ続けた1年だったような気がします。それを「もっとコントをかんばれよ」って言ってもらってると捉えるようにしてました。

──前回の単独ライブは「キングオブコント」でかもめんたるを知った、新しいお客さんからの期待も受けていたと思うのですが。

う大　そうですね。「キングオブコント」獲って一発目だからすごく面白いものを作んなきゃっていう気持ちで短期集中してやりました。今回は現役のチャンピオンじゃなくなったからこそ、「かもめんたるのコントはやっぱり面白いな」って言ってもらえるものを出すのと同時に、今後のかもめんたるの方向性の矢印を示せるようなライブにしたかった。そこで新しい血として上田さんに入ってもらって、目指していたものができたんじゃないかなって思います。

槙尾　前回は忙しい中で準備していたし、新しいお客さんも観に来てくれるっていうのもあってプレッシャーはありました。でも今回は、ちょっとずつよくも悪くも時間ができて、「早く単独やりたい」って気持ちがどんどん高まっていく中で迎えられましたね。それに話題性ではなく、本当にかもめんたるを好きでいてくれる人が来てくれるはずだから、早くそういう人たちに見せたいっていう気持ちもありました。

「劇団かもめんたる」で“輪”を広げたい（槙尾）

──う大さんのお話にあった「今後のかもめんたるの方向性」というのは、具体的にどこを指しているのでしょうか。

槙尾　今後かもめんたるは単独ライブと演劇寄りの公演を交互にやっていこうと思っていて。

──なるほど。それが「劇団かもめんたる」の立ち上げ（参照：劇団かもめんたるキャスト9名決定、ヨーロッパ企画石田剛太も出演）にも繋がっているんですね。

う大　実は劇団かもめんたるも小島よしおの助言なんです。単独ライブを年2回やるより1回はほかのことをやったほうがいいんじゃないかって。さらにちょうど同じ頃、カンニング竹山さんにも言われたんです。「う大、劇団とかやらないの？」って。これまで単独ライブを16回、いろんな手立てを考えてマンネリにならないようにやってきたんですが、もしかしたら人数が多いほうが表現できることもあるんじゃないかっていうこともときどき考えていたんです。それだったらいっそのこと、2人の単独ライブに誰かを出すのではなく劇団として何か面白いことをやろうと。僕の人生を考えたとき、もしかしたら30年後、劇団をやってなかったことなんかありえないって思えるような活動になるかもしれないし。まあとりあえず1回やってみようっていう感じです。

槙尾　そこでいろんな方に出ていただいて、輪がどんどん広がっていけばいいですね。

う大　石田さんとの3人芝居からドラマや舞台と、こんなに活動の幅が広がった。今後どうなっていくんだろうって自分でも楽しみです。