ナタリー PowerPush - エレキコミック
精力的にコントを量産し続ける2人が最新DVDをリリース ネタ作りからTwitter生活まで、舞台裏を直撃
DVD「エレキコミック第18回発表会『R』」を発売したばかりのエレキコミック。2009年11月に六本木俳優座にて開催された単独ライブの模様を収録したこのDVDでは、卑屈さをこじらせた女性バイト店員を描いたコントや、言葉の端々に「チン」と「ポコ」を連呼しまくる謎の深夜ラジオDJと、その放送をうっかり聴いてしまった受験生のネタなど、いずれもタイプの異なる7本のコントを見ることができる。
ラーメンズ片桐仁とのユニット「エレ片」としても活躍している彼らは、3月に横浜BLITZにてお笑いと音楽の融合イベント「エレ片フェス2010」を開催。西寺郷太(NONA REEVES)や宇多丸(RHYMESTER)をはじめ、□□□、TKO、バカリズム、キングオブコメディなど、ミュージシャンやお笑い芸人仲間を集めて繰り広げられた祭典は大盛況のうちに幕を閉じた。
今回、お笑いナタリーでは、最新DVDの裏側や日頃のネタ作り、エレ片フェス、Twitter生活といった話題を中心に、2人に近況を語ってもらった。
取材・文/遠藤敏文 撮影/中西求
コントを自分の経験から作るようになった
──まずは、DVD「エレキコミック第18回発表会『R』」の発売おめでとうございます。この単独ライブのタイトルを「R」にした理由は?
やつい 「18番目のアルファベット」って意味です。18回目の発表会だったんで。もう18回もやってると覚えられないんですよ。本当は「18」でも良かったんですけど、それだとちょっとあまりにも深みがないっていうことで。
──最近、ネタ作りで意識的に変えた部分や変わったなと思う部分は何かありますか?
やつい 一番変わったのは、あんまり周りを見なくなったっていうことですかね。最初は、いろんな先輩のネタを憧れて見てたんですけど。
──見なくなった?
やつい シュールが流行ったらシュールをやる。時代を見据えながら、大きい声が流行ったら大きい声を出すっていう。
今立 流行ったらかよ(笑)。
やつい そういう感じじゃなくなりましたね。完全に止まったと考えてます。
今立 あはははは!
やつい ここ何年かは、自分の経験から作るようになりましたね。ニュースを見てそれを元にネタにしたり。
──全体の手ごたえはいかがでしたか?
やつい ライブ芸人ですからね、僕らは。作品芸人ではないと思うんですよ。だからそういう意味ではライブが成功してDVDにもなって良かったと思います。
今立 そうですね、楽しくやらせてもらいました。
やつい 今立に言ったのは、もうなにしろ「言葉に体重を乗せてこい」って。「いい言葉を言うんじゃないよ、思ってること言え」っていうのを伝えました。
今立 だからどんどんリアル路線になってきましたね。
やつい 「ダメだ! おまえセリフで言ってるな!」みたいな、そういうダメ出しです。本当に憎しみを込めて言ってるかどうか、そういうのがもうわかるんですよ。「出してんじゃねーよ、センス。逃げてんじゃねーよ、センスに。どーんと来い!」みたいな(笑)。
──今はアンチセンスですか?
やつい いや、センス大好きですよ。そっちを否定してるわけではないです、全然。自分が声出して笑うことってなんだろうなって思っただけのことで。発想を重視するコントもやってみたいし、そういうのも単独だから何個か入ったりしてるはずですけど、そっちじゃないものもやりたいっていうか。幅広くやりたいなぁとかって。
「エレ片」を始めたのがでかかった
──日頃のネタ作りの進め方は?
やつい ネタは全部僕が作ります。台本書いて、台本ができあがった段階で読み合わせて仕上げていく感じですね。
──コンビを結成してからずっとそういう進め方ですか?
やつい いや、最初は全然違ったんです。最初は「本番で作る」って言ってたけど。
今立 いやいや、ある程度作ってたよ、ちゃんと(笑)。でも、第1回目は朝7時に完成しましたけど。
やつい 完成っていうか、「とりあえず、これでやるしかない」って。
今立 舞台の使い方も照明も全部本番当日に決めて、昼夜2回公演やるっていうね。もうスタッフにも地獄みたいな単独第1回でした。
やつい だんだんちゃんとしてきたのは、「エレ片」を始めたのがでかかったんですよ。片桐くんと一緒にコントをやることになったときに、やっぱりなあなあではいかんなと思って、一字一句全部台本に書いたんですよ。そしたら、すごくうまくいくようになって。「あっ、こうやって進めるとうまくいくぞ」みたいなことを自分らで発見したっていう。
今立 そうなったのは、ここ数回のライブですけどね。
──『爆笑オンエアバトル』(NHK総合)に出ていた頃はどうされていたんですか?
今立 ほぼ台本なしでやってました。まあ2人でしたし。
やつい ウケたっていう経験、あるいはウケなかったっていう経験を積み重ねて(笑)、シチュエーションだけ決めてやってました。
収録内容
2009年11月20日~22日に六本木俳優座で開催された、エレキコミック第18回発表会「R」の模様を収録。
- Racketeer
- オープニング
- Ready
- Raider
- Radio
- Ragtag
- Reason
- Returns
- エンディング
エレキコミック
左/やついいちろう
生年月日:1974年11月15日
出身地:三重県
好きなもの:DJ、温泉、三国志
右/今立進(いまだちすすむ)
生年月日:1975年9月27日
出身地:東京都
好きなもの:ゲーム、マンガ、嵐