お見送り芸人しんいち「僕1人じゃ獲れなかった」R-1優勝会見でサンドにも感謝

本日3月6日に関西テレビ・フジテレビ系で生放送された「R-1グランプリ2022」決勝でお見送り芸人しんいちが優勝し、放送終了後のリモート記者会見に臨んだ。

お見送り芸人しんいちは決勝1stステージで463点を獲得し、吉住、金の国 渡部おにぎりと同点で2位に。審査員5名による投票でFinalステージに勝ち上がると、1stステージで1位だったZAZYとの対決を制した。お見送り芸人しんいちはグレープカンパニー所属。ラストイヤーで第20代王者の称号と優勝賞金500万円を獲得した。

「R-1グランプリ2022」お見送り芸人しんいち 優勝コメント

──優勝おめでとうございます。優勝が決まった瞬間、崩れるように泣かれていましたね。

そのあとちょっと落ち着いたんですけど、さっきお母さんと電話したらまたワーって涙が出ちゃいました。僕1人じゃ本当に獲れなかったので、感謝して、喜んでいます。（母親から）「マネージャーさんにまず感謝しなさい」と言われました。マネージャーには、うちの事務所に拾ってもらいました。クビ寸前だったときも全力で止めてくれました。マネージャーは家族とも付き合いがあります。

──ラストイヤーはどんな心境で挑みましたか？

楽しむことだけを考えていました。（自分にとってはラストイヤーで）最初で最後のピン芸人の大会なので、「7人に点数は負けても一番楽しもう」と。2番手だったので、残り6人には、口悪く言うと「全員スベれ」とは思っちゃっていました（笑）。

──1stステージ、2位がお見送り芸人しんいちさん、吉住さん、金の国 渡部おにぎりさんの3人が同点でヒヤヒヤする展開でした。

吉住と「これどうなるの？」って話したのは覚えてます。吉住もめっちゃ面白かったし、金の国も人気がありますし。（ファイナルに勝ち上がって）「もう1本やれる」という、うれしさのほうが大きかったです。

──優勝への道のりはどんなものでしたか？

「ピン芸人で評価されたい」というのが強かった。「R-1」で優勝するという景色が見たいというより、1回でも出て、グレープカンパニー初の「R-1」ファイナリストになってサンドウィッチマンさんと一緒に営業回れて食えたらいいな、と思っていました。「お見送り芸人しんいち」の名前を付けてくれたのが伊達さんで、「ギターと歌をやれよ。お前の武器なんだぞ。なぜ今まで隠していたんだ？」と言ってくれたのが富澤さんでした。ネタは僕が考えたんですけど、髪型や衣装など、ほかのことは全部いろんな方のおかげです。

──賞金500万円の使い道は？

一旦お母さんとお父さんに預けるかなと。お恥ずかしいのですけど、東京に出たてのときはいっぱい借りましたし、仕送りもしてもらったし、だいぶお金を使わせたので。甥っ子と姪っ子がいっぱいいるので、みんなで分けるみたいです。100万円くらいは戻ってくるかな？

──優勝者の冠特番が6月19日にあります。

歌ネタなので、音楽に関わる番組をしたいです。たとえば、夢が叶うかはわからないけど、親交のあるスキマスイッチさん、山崎まさよしさん、安く出てくれないかな？（笑）

──サンドの2人に伝えたい言葉は？

「あなたたちがいなかったら今はない」って思っています。心から。率直にありがとうございます。あとは小遣いをいっぱいもらいました。正月にお年玉ももらいました。去年、一昨年と靴を買ってもらった。「自分が後輩に払えるようになれよ」と言われたので、がんばって、なります。

──オンエアの最後に「10年以上の先輩にも面白い人がいます」と言っていて、その思いを改めて聞かせていただければ。

いろんな方に今日、このネタをやる前に相談しました。台本を見てもらったり、ネタ見せもしました。その中に、街裏ぴんくさん、石出奈々子ちゃん、キャプテン渡辺さん、わらふぢなるおさん……いっぱいいすぎる。「R-1」に出られなくなった方々の思いが、かなり乗っていた。僕よりも面白い方がいると本当に思っているので、それをずっと言いたかった。この大会は10年以内で素晴らしいんですけど、「上の世代もオモロい」ということもわかっていただければと思います。

──グレープカンパニーで大きい賞レース優勝は「M-1」でのサンドウィッチマン以来。肩を並べたと言っていいでしょうか？

「肩を並べた」はおこがましいです。バイトを今しているんですけど、密着（スタッフ）の方から「王者はバイトをもうやらないでください」と言われたので、王者らしい振る舞いをゆっくり取っていきたいと思います。

──昨年の敗退からこの1年、どういう準備をされてきましたか？

まずは、どんな番組でも自分のネタを知ってもらおうとオーディションをめっちゃがんばりました。「自分に自信を付けよう」「いっぱいテレビに出て、いろんな人にネタを見てもらおう」という1年でした。「好きって言いながらも毒がある」というのは時代に逆らっている、という意見もまわりからはあったんですけど「逆らっても通用するぞ」と。細かいことを言うと、以前まで間の「語り」の部分はなかったんです。そのへんを1個、変化できないかな、と。そこが勝因につながったと思います。

──最後に涙を流して喜ばれていました。どんな思いからの涙でしたか？

いろんな人への感謝など全部入っているんですけど、あとは、しんどかった。きつかった。本当に“ダメピン芸人”で使い物にならなかった。食えないのと、親の反対を押し切って芸人をやっていました。親に迷惑をかけた。あと、実は裏で最後の2人に残れなかったファイナリストが「カッコいい」とか「すげー」とかみんな言ってくれた。「いい大会だった」「楽しかったね」というのも全部入っていました。お父さんとお母さんも浮かびました。ラストなのでどう転ぶにしても楽しもうという感じでした。

──ネタの中で毒を吐きつつも、気をつけていることは？

失敗もいっぱいあるんですけど、一番は、ネタにした方に「おいしい」と思ってもらえたら100点。あと、世論で笑いが多いと思ったら入れちゃえと。逆に、天秤をかけて悲しむほうが多かったら省きます。そこだけ気を付けています。ネタは、ストレートに言うのでは芸がないので、前向きに「好き」と言葉を足せば許されるんじゃないかなと（笑）。

──今後の目標や展望は？

グレープカンパニーに1円でも多くお金を落とすことです（笑）。今、いただいている仕事を全力で、天狗にならず、感謝を込めてやるだけです。仕事がない時期が長すぎたので、いただいたものをずっと頭を下げながらやりたいです。