こうなりゃもう…連日稽古に励むのさ！

取材・文 / 狩野有理

稽古初日、ターリーターキー玉さん編

開口一番、「夏が来ましたね！」と扉を開けた玉さん。梅雨真っ盛りの中、“世界で一番熱い夏”の訪れを予感させてくれるその笑顔で稽古場が一気に華やぎます。稽古初日は、溜口さんが昨年のものから今年用にアップデートしてくれた台本を手に、読み合わせからスタート。すでにベースが固まっていることから、溜口さんは「実験してみてもいい？」と前回にはなかった演出を加えて完成度を高めていきます。一通り終えると、早くも「ばっちり！」の声が上がりました。

幸運のカギは「ドリームショー」キーホルダー

ラブレターズ溜口　どうだった？ この1年。玉ちゃんは「THE W」のファイナリストになるっていう輝かしい成果を挙げて。

ターリーターキー玉　「ドリームショー」にお土産持ってこられました！ 去年一緒に稽古していた（ザ・ギース）高佐さんが「キングオブコント2020」のファイナリストになったじゃないですか。それを見て、私もがんばろうって思って。

溜口　そうなんだ！ いい連鎖が起きてるね。

玉　この「ドリームショー」ってなんだか縁起がいいですよね？ 私も高佐さんからバトンもらって大舞台に立てましたから。

タッカーノ　え、でも俺「R-1グランプリ2021」1回戦敗退だったよ？

玉　あ、だから、今日そのバトンを渡したいなと思ってました！

タッカーノ　まだバトンもらってなかったのか！ 頼むよー。

溜口　玉ちゃんが持ったままだったんだ（笑）。

玉　そうです、そうです。今渡しました。すみません（笑）。私、今年は絶対「ドリームショー」をやれると思っていたので、グッズのキーホルダーを家の鍵に付けていたんですよ。

溜口　おお。そのご利益もあるのかもね。これさ、俺が鳥に掴まれている絵なんだけど、次のステージに引き上げてくれているってことなんじゃない？

玉　そうかもしれません！

溜口　付けてなかった？

タッカーノ　付けてなかったですね。

溜口　俺もだよ。だから「キングオブコント2020」準々決勝で落ちたんだ。

タッカーノ　でも今年の「キングオブコント」前に気づけてよかったですね。

溜口　よかったよかった。危ないところだったよ。

どんな結果でも「ファイナリストになった人生」

溜口　実際どうだった？ 賞レースの決勝は。

玉　リザーバーからの繰り上げ合格で、1週間前に知らされたんです。私たちは落ちてるものだと思っていたので、ライブでもう新ネタをやっていて。急に「決勝です」って言われててんやわんやでしたね。結果はボロ負けでしたけど、みなさんマジで優しかったです。あ、でも、私ルームシェアしていて、みんなが家で観てくれていたんですよ。本番では7-0で負けたんですけど、家帰ったら8-0になってました。家の1票が入って（笑）。

溜口・タッカーノ　あはははは！（笑）

溜口　ひどいなあ。でもラブレターズも94対7で負けてるからね。

※編集部注：「キングオブコント2014」の1stステージは対戦方式で、ラブレターズは犬の心に94対7で敗れた。

タッカーノ　僕ら（当時はリンゴスター）のあとにラブレターズさんだったんですけど、あまりに大差すぎて手叩いて笑っちゃいました（笑）。

玉　見事な惨敗だと笑っちゃいますよね。私、まだ夢に出ますもん。「紅しょうが、紅しょうが、紅しょうが、紅しょうが……」って全票対戦相手の紅しょうがさんに入る光景が。

溜口　いや、でもその経験でたくましくなったと思うよ。

玉　終わったあと、優勝された吉住さんと一緒にテレビ局を出たんですけど、吉住さんは朝から生放送があるから泊まりで、私たちはそのまま帰ったんですよ。これが優勝者との違いかーって実感しました（笑）。

溜口　ただのファイナリストと優勝者の違いね。

玉　でも溜口さんに今日言っていただいたことあるじゃないですか。「ファイナリストになれない人生より、ファイナリストになった人生のほうがいいからね」って。

溜口　え、そんなこと言った!?

玉　だいぶ刻まれましたよ！ タトゥー彫れるんやったら彫りたいです。

タッカーノ　僕も深くうなずいちゃいました。

玉　「どんな結果であれね」って言ってくださって。救われました。

溜口　みんなファイナリスト経験者だからね。またここに集まってくれてうれしいよ。

タッカーノ　このためにちゃんとスケジュール空けてますから。

溜口　みんなのスケジュール確認したら、玉ちゃんとかギガちゃんはちょいちょい×の日があるんだよ。高野くん（＝タッカーノ）だけ全部◎で、「全部行けます」って。

タッカーノ　いやあ、僕も初めてです。マネージャーと「スケジュール空きすぎててどうしよう」っていう相談したの。

溜口・玉　あはははは！（笑）

溜口　いやいや、心強いよ。高野くんが支えてくれている部分が多いから。

高佐さんとの距離詰め作戦、密かに始動

溜口　今回は、去年ちゃんと稽古した貯金があるからスムーズだよね。

玉　今日、溜口さんが「ちょっと実験でやってみていい？」って言った部分あったじゃないですか。実験ってだいたい成功するんやなって。めっちゃ面白くなってました。

溜口　もう地肩が固まってるから、余裕があるならもうちょっといろいろやってみようっていうね。

タッカーノ　台本上は去年のままの部分もあるけど、去年以上のことができそうですよね。言い方とか、細かい部分まで試せるので。去年取れなかった笑いが取れるんだなって思うと楽しみですよ。

溜口　ところでさ、今回2人にお願いがあって。7月から稽古に参加する高佐さんにちょっと仕掛けてほしいんだよ。

タッカーノ・玉　えっ……！

溜口　前回この連載企画で高佐さんと対談したんだけど（参照：こうなりゃもう…高佐さんとの距離詰めるのさ！）、後輩にイジってもらいたいっていう気持ちもあるらしいの。だから、2人にグイッと行ってもらいたいなと思って。

玉　でも、確かにこの稽古期間中に1個目標は欲しいです。「高佐さんにこれ言うぞ！」っていう。

溜口　なんだろうね。

タッカーノ　あだ名で呼んでみるとか。「クニさん」。

※高佐さんの下の名前は「一慈（クニヤス）」。

溜口　いいね！ 高佐さんがこのメンバーで一番先輩だし、きっと気を使ってくれている部分もあると思うんだよ。だからイジってツッコんで、みたいになってもっと砕けることができたら、稽古場の空気がより一層よくなるんじゃないかなあ。

玉　もし私が呼ぶタイミング間違えて、変な空気になったらお二人フォローしてくださいね……？

溜口　「玉ちゃん、そんなこと言うのやめなよ、失礼だよ……。すみません、高佐さん」って言うかもしれない。

玉　ひどい！ 突き放さないでください！（笑） でもちょっとチャレンジしてみます。ライブ終わったあともそのまま「クニさん」呼びできたらいいですよね。

溜口　そうだね。大丈夫そうだったら俺らもそこにダーッとなだれ込んでいくから。

玉　ずっこ！ 私が開拓した道なのに！（笑）