ZIGGY「ROCK SHOW」 / sads「FALLING Ultimate Edition」 PR

森重樹一(ZIGGY)×清春(sads)|五十代、終わりなきロックンロールライフ

森重さんがモダンヘヴィをやるのを、ファンはたぶん聴きたくない

清春 アルバムの話に戻るんですけど、森重さんが今やられていることは、僕らとは対極とも言えるものだと思うんですよね。バンドかソロかにこだわってないって僕らは言ってますけど、森重さんが1人でZIGGYをやっているのを自分に当てはめるとすれば、僕が1人で黒夢をやることに近いと思うんですよ。それってやっぱりアンチを増やすようなやり方だろうと思うし、僕はまだそういうのを気にしてしまってる段階にある。ファンの人は許さないだろうな、とか思うしね。森重さんをはじめいろいろな先輩方を見ていると、バンドの名前を掲げてやっている人ってそれを背負っている人なんですよね。そしてその十字架の背負い方に説得力があると言うか。僕はまだそこには行けてないかな。ちなみに今回の「FALLING」は僕にとって四十代最後のアルバムということになるんです。そういった意味では、この歳でsadsの最終作を作るというのは憶えやすいですよね。人生の節目なので。年表を自分で振り返ったときに「ああ、そうだったな」と思えると言うか。

──森重さんは「FALLING」をどう聴きましたか?

森重 音像の変化は、やっぱり感じました。かなりひさしぶりにsadsの音源を聴かせてもらったというのもあるので。だけど基本的には清春くんの美意識を象徴したものだな、とすごく思うんですよ。ロックという画の中に、明らかに好みのタッチがあって。清春くんの好みのタッチは、初めてお会いしたときからなんら変わらず美意識としてしっかりそこにあるわけですよ。ただ、それをどうパッケージングするのか、どういうコンセプトで相手に伝えれば一番明確にわかってもらえるかってことを、清春くんは常に意識してると思う。つまりプロデュースをすごくしっかりやっているな、と思えるんですよね。音楽を表現するときには、必要なファクターをキーワードとしてちゃんとそろえていかないと、わかりづらい不親切なものになっちゃうところがあると思う。そこで言えば、清春くんはどんな時代でもすごくユーザーに対して親切で、常に作品をわかりやすく表示してくれる人だなと思う。それに対して俺は不親切だからね(笑)。

清春 いえいえ。今回のZIGGYは、言わば“ハードロックンロール”ですよね。メジャーのコードでガーンとリフ中心に行く森重さんと、ちょっとメロウな森重さんがいて、その両方が好きな人もいれば、どちらかがより好きという人もいると思うんですけど、その両方があるから、どちらの曲もアルバムの中で際立つんですよ。僕は切ない森重さんが大好きなんですけど、今回もそういう曲がいくつかあるじゃないですか。アルバム自体のキーワードはL.A.メタルなのかもしれないけど、僕が高校生の頃に聴いていた“森重さん節”が必ず何カ所かあって、そこで当時に引き戻されるんですよ。“節”というのは出さないでおこうと思っても出ちゃったりするものですよね(笑)。それを自由にコントロールできるのもベテランならではなんですけど、聴いてる人が好きな“節”と、そのときの自分が思ってる「これが自分だな」というイメージの間に、ちょっとズレが生じることもあって。

森重 そうだね。高校時代に軽音部が講堂を使ってちっちゃい音で練習するじゃない? あの空気感を、俺は音楽の基本としてとても素敵なものだと感じていて。あれを自分なりにビルドアップしていったものを、自分なりに解釈したロックンロールというフィルターに通して出したいな、という思いが年々強くなってる。自分の中で突然「L.A.メタルがヤベえ!」みたいな気分になっちゃったりすると、どうしてもやりたくてたまらなくなって、うずうずしてくるんですよ(笑)。

──世の中でのトレンドとかとは無関係なところでの、自分の中での瞬間風速を大事にしたいということでもあるわけですね?

森重樹一(ZIGGY)

森重 そこで時代を読むとかさ、そういうのができるともっとビジネス的にうまくいってたんだろうけど、俺の場合は突然あさっての方向を志向して「こっちに来ちゃったよ」となっちゃうことが多々あるので(笑)。だから俺はあんまりユーザーに優しくないなと思うんですよ。

清春 例えば森重さんが今作のsadsのようなモダンヘヴィをやるのを、森重さんのファンはたぶん聴きたくないだろうと思うんですよ。僕らからすると、ZIGGYは80年代のバッドボーイズロックの流れを象徴していたバンドで。あの頃、RED WARRIORSとかG.D.FLICKERSとか。それまでメタルをやってた人が一気にそっちになってきて。

森重 覚えてる、覚えてる(笑)。

清春 ZIGGYはそういうシーンの代表格ってイメージが僕の中にいまだにあるんです。森重さんと僕が決定的に違うのは、僕らがいたヴィジュアル系というのは、ロックンロールとかバッドボーイズとかブルースのような音楽ジャンルではなかったということ。例えばBUCK-TICKって、キャッチーになったり、ゴスになったり、インダストリアルになったりと、時代によっていろいろ変遷があったじゃないですか。僕らはその流れから出てきたバンドなので、何をしてもいいと見られてると思うんです。でも森重さんは「なんでもやってほしい」とは思われてないんですよ。もちろんそれによる、僕らとは違う葛藤もあるはずだし、ちょっと違うことをやりたいと思ったときに「それは森重さんがやることじゃないでしょ?」みたいな反応もあるかもしれない。

森重 ああ。

清春 僕はヴィジュアル系から出てきたんですけど、あるときそこから離れたくなったんですよ。ずっとガラス細工のお人形さんみたいな感じでいるんじゃなくて、ちょっとは血も流れ汗もかくアーティストでいたいなと。だから森重さんの歌が好きなんです。ヴィジュアル系から出てきた人間でそっち側に行こうとする人って僕のほかにはあまりいないと思うんですよね。

森重 確かにそうかもしれないね。

テレビを観てると孤独を感じる

──そういう意味ではお互いの出発点もここまでの経過も違うわけですけど、ここから先に続いていく道はさほどかけ離れていないのかもしれませんね。

森重 そうかもしれない。まあでも、この仕事は長距離走みたいなものだから、同業者の数は減っていくし、俺だってやっぱり「もうこのへんでいいのかな」と思ったことがなかったわけじゃないよ。「この年齢でこれをやるのはアリなのか」と自問することがなかったわけじゃない。でも辞めなかった結果、あるとき「これを続けられるってすごくラッキーなことだよね」ってことに気付いたのさ。別にこれは義務でもなんでもないし、本当に辞めたくなったらいつでも辞めればいいこと。やれるところまで好きなものをやろうっていうだけのことだからさ。逆に言えば別に年齢制限があるわけじゃない。定年退職もないしね(笑)。

清春(sads)

清春 僕、「日本にも『ロックの殿堂』があるべきだ」ってよく言ってるんです。野球で言うところの名球会みたいな。どれだけの年数活動してるかとか、何ステージやってきて何人集めたのかとか、どんな名曲を作ったのかみたいな基準を作って。そういうことを考えたら、もう森重さんは完全に殿堂入りですよね。実際にあれば目指せると思うんですよ、人生を通じて。

森重 俺が今、シルバーパスの取得を目指してるみたいに?

──それは目標じゃないでしょう。

森重 ははは(笑)、確かに。

清春 だから結局、続けるしかないんですよね。我々にはゴールがないので。

森重 どんなアーティストでも「仕事だから仕方ないのかもしれないけど、これをやるのはどうだろう?」っていう葛藤がないわけではない。「やりたいことだけで突っ走ります。あとのことは全部任せた」みたいな生き方は……カッコいいようでやっぱり大人げないじゃん。まあ俺が大人げないなんて言葉を使うのが正しいことかどうかはわからないけど(笑)。でも同じところにずっといたい人ってそんなにいないわけよ。「自分にはこういう一面もあるってアピールしたい」と思うことは自然体だと思う。だから清春くんがここでsadsに1回終止符を打って、次に行こうというのもよくわかる。

清春 人生の残り時間が少なくなってきているわけじゃないですか。同じ時代を生きてる同じ世代の人たちの中で、ロックをやってる人は減っていってますし。ロックシーンの中にいると「デビュー20周年です。長くやってるんですよ」とか言えちゃうんですけど、テレビとか観てると「ああ、俺、ずんの飯尾(和樹)さんと一緒の歳なんだ」と思ったりするわけです(笑)。そういう孤独を感じることってないですか?

森重 「あれっ、俺しかいなくね?」みたいな?(笑)

清春 そうです。森重さんもたぶん、どこかでツッパりながら「貫いてやるしかない」と思ってるところがあるはずで。自分がやりたいからやっているというのもあるけど、ファンの人たちが楽しみにしてるし、そういう人たちへの責任もある程度ある。だけど、ごはんを食べに行ったときにふと考えて、ものすごく孤独感に苛まれることがある。なんかもう、辞めてもいいのかなって。

森重 わかるわかる。世間が思ってる“アーティスト清春”というイメージを演じきることができるからこそ、そういう気分になるわけだよね。俺もそこでスイッチをオフにしてウルトラセブンからモロボシ・ダンに戻ったときに(笑)、「うーん、どうなんだ?」となることはあるわけですよ。うちの場合、下の子が6歳だしね。「こいつが成人する頃には70歳に手が届くのか……70歳で金髪?」とか思うわけさ(笑)。それは孤独というよりもむしろ……不安(笑)。そのとき私はこの世に存在してるのか、とも思うしね。

清春 その年齢まで生きてないかもしれないですもんね、お互い。

森重 俺は二十代の頃に「酒飲まねえで70歳まで生きるんだったら、酒飲んで50歳で死んでもいい」とか本気で言ってたからね。だから70歳なんて想像もできないよ。

清春 森重さん、ここ数年ずっと金髪じゃないですか。僕の髪色は最近ちょっと落ち着いてるんですけど、またそういう色にするときが来るかもしれない。でもけっこう、勇気がいるんですよね。「どうでもいいや、人からどう見られるかなんて」と思いつつ、「子供がどこかに一緒に行くことを恥ずかしがる」っていうのが心配だったりして(笑)。うちの子はもう来年20歳なんですよ。

森重 すごいよね、「父親が清春」って。だけど、まあいい時代でもあるのかなとは思う。清春くんもそういうことを全然隠蔽しないで普通に事実をオープンにしていて、なのに生活感を漂わせずにロックミュージシャンをやれている。俺も俺で、曲がりなりにもこういうロックを嗜好していながら、ベンツで子供の送り迎えとかするわけだから(笑)。昔はロックをやって家が建つなんてあり得ない話だったし、レコード会社だって本気でそれに向き合ってはいなかったはずだけど、そういう現実が今あるっていうのは、1つの実例として素晴らしいんじゃないかな。

清春 ちょっと外タレに近付いてきましたよね、そういう部分では(笑)。

左から森重樹一(ZIGGY)、清春(sads)。
ZIGGY ツアー情報
ZIGGY TOUR2018「ROCK SHOW」
  • 2018年11月1日(木) 神奈川県 新横浜 NEW SIDE BEACH!!
  • 2018年11月3日(土・祝) 静岡県 Sunash
  • 2018年11月4日(日) 三重県 CLUB ROOTS
  • 2018年11月9日(金) 高知県 X-pt.
  • 2018年11月10日(土) 兵庫県 神戸VARIT.
  • 2018年11月15日(木) 北海道 札幌KRAPS HALL
  • 2018年11月17日(土) 北海道 函館club COCOA
  • 2018年11月24日(土) 東京都 TSUTAYA O-EAST
  • 2018年11月30日(金) 愛知県 SPADE BOX
  • 2018年12月2日(日) 石川県 金沢GOLD CREEK
  • 2018年12月6日(木) 大阪府 BIGCAT
  • 2018年12月7日(金) 広島県 広島セカンド・クラッチ
  • 2018年12月14日(金) 栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2018年12月15日(土) 宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
  • 2018年12月22日(土) 熊本県 熊本B.9 V2
  • 2018年12月23日(日・祝) 福岡県 DRUM Be-1
sads ツアー情報
The reproduction 7th anniversary TOUR「FALLING」chapter 3 TOKYO 7DAYS
  • 2018年11月6日(火) 東京都 WWW X
  • 2018年11月14日(水) 東京都 新宿LOFT
  • 2018年11月15日(木) 東京都 新宿LOFT
  • 2018年11月20日(火) 東京都 UNIT
  • 2018年11月21日(水) 東京都 UNIT
  • 2018年11月27日(火) 東京都 下北沢GARDEN
  • 2018年11月30日(金) 東京都 ステラボール