千葉雄喜さんはたぶん考え方が一緒
──「Venus」の話に戻りますが、2番でラップのリズムが3連になって、そのあとにしゃべりみたいなフロウが出てきて、変化に富んでいますよね。聴いていて楽しいポイントでした。
天才のyonkey先生が作ってくれた通りに歌わせてもらいましたね。
──この難しい展開を作られた通りに歌える技術がすごい。
うれしいです。ありがとうございます。“まねし”なんですよ。子供のときからお姉ちゃんのまねばっかりしてました。
──まねが上手な人は語学も上達が早いそうですよ。
私の家族はダジャレがめっちゃ好きなんですけど、おばあちゃんだけは真面目やったんですよ。子供のとき1回だけ聞いたことがあるんです。「おばあちゃんってダジャレ言わへんけど、子供のとき怒られたことある?」って。そしたら「1回だけある」って言って、「小学校のときにみんなを集めて先生のモノマネして怒られた」「えー!」みたいな(笑)。
──血ですね!
血でした。なんやったらおばあちゃんの血が一番強かった(笑)。ダジャレよりモノマネなんですよね。私のモノマネって、具体的な誰かというよりは、「『コーチェラ』で歌ってるようなアーティストさん」とか「MVめっちゃカッコいい海外アーティストさん」とか、妄想でやってますね。
──ちなみに好きなラッパーはいますか? 日本、海外問わず。
今、一番聴いてるのは千葉雄喜さんです。千葉さんはもう、ホンマにマジで毎日聴いてます。こんなこと言ったらおこがましいですけど、千葉さんとはたぶん考え方がまったく一緒なんですよ。「とにかくやりゃいいやん」みたいな。「俺はやれるって思ってるからやる」とか「子供のときから俺はこうなるってわかってた」とか、「みんなお金使いすぎとか言うけど、仕事してればどんどん入ってくるから好きなだけ使う」とかそういうマインド。「カッコいい! 千葉さんはそんなふうに考えてるんだ。すげえ!」とかじゃなくて、「そうやんな! You know what I'm sayin'?」って感じ。
──憧れというよりも共感ですね。
Wikipediaで調べたら同い年やったんですよ。上品なところも好きです。ホンマにやりたいことをめっちゃピュアに、疑いなくやってはる。そこに共感できます。あー会いたい。1回、DMを送らせてもらって、お返事くださったことがあるんですよ。「はじめまして、千葉さん。私、ゆりやんと言いまして、吉本で芸人やらせてもらってます。よろしくお願いします」みたいに書いたら「一度お会いしてますよ」と返ってきて(笑)。イベント会場か何かでお会いしていたようで、大変失礼なことをしました。おこがましいですけど、ぜひ対談してみたいですね。聞きたいこととか、言いたいこととか、めっちゃあります。
──彼は日本語のまま世界で売れているのがすごいですよね。
いいですよね。私もそのスピリットなんですよ。LAに行ってから、「日本で生まれ育って、日本のみんなにお世話になった芸人としてアメリカで売れないといけない」という気持ちがめっちゃ強く芽生えたんです。この前、yonkeyさんにそうお話ししたら、「僕も同じです。海外の人に聴いてもらうから海外っぽくするんじゃなくて、トラックにも日本的な音色を使って、歌詞もベースは日本語でいきたい」とおっしゃってて。実際、デビュー曲の「YURIYAN TIME」にはカラスの鳴き声を入れてくれてるんですけど、yonkeyさんは「神社のイメージ」と言ってました。イントロのメロディも日本伝統の音階をイメージしてるそうです。
ライブはもうちょっとだけお待ちください
──将来が楽しみですね。最後にどんなことをやってみたいか、どんなアーティストになりたいかもお聞きしたいんですが……。
Grammy Award! Coachella! World Tour! And, uh... Sphere! Las Vegas!
──Sphereはラスベガスにある球体のアリーナですね。キャパは1万8000人以上。
だいぶ持て余しそうな(笑)。でも、ライブしてみたいです。そのときは皆さんにこの記事を読み返してもらって「このときから言ってるー!」とびっくりしていただきたいですね。スフィアでやるときは名前もスフィアン・レトリィバァにします。
──(笑)。Sphereに向けて、ライブもこれから……。
どんどんやっていきたいですね。まだ2曲しかなくて、ゆっくりやっても30分もいかないと思うので(笑)、もうちょっとだけお待ちください。観に来ていただけるようにがんばります!
──継続的なアーティスト活動を期待してよろしいんでしょうか。
はい! ぜひよろしくお願いします。いつかお会いしたときにCDをお渡ししたい……あれ憧れてたんですよ。私は楽屋挨拶に行くとき手ぶらなのに、アーティストの人はCDをプレゼントできていいなあって(笑)。
──吉本には藤井隆さんを筆頭に、カッコいい音楽を作っている方もたくさんいらっしゃいますよね。意識はされますか?
実は藤井隆さんは私が芸人になりたい、吉本に入りたいと思ったきっかけの方の1人なんです。小学生のときに「ナンダカンダ」を大ヒットさせたのを「すごーい!」と思ってました。芸人でありアーティストのパイオニアですよね。憧れのピン芸人で、音楽でも大ヒットを出されて、今もカッコいい音楽をずっと作っていらっしゃる藤井さんにはすごいインスパイアされるというか、「私もがんばろう」と思います。レイザーラモンRGさんとかも歌めっちゃうまいし面白いし、MyM(森三中・大島美幸とガンバレルーヤのユニット)とかチョコレートプラネットさんもすごいなと思ってて、吉本でグラミー賞総なめしてまうやん!って思っちゃいます(笑)。
プロフィール
YURIYAN RETRIEVER(ユリヤンレトリィバァ)
1990年11月1日生まれ、奈良県出身、関西大学文学部卒業のお笑い芸人、ソロアーティスト、女優。大学在学中の2012年に吉本興業NSCに35期生として入学し、「NSC大ライブ2013」で優勝してNSCを首席で卒業する。2017年、「女芸人No.1決定戦 THE W」第1回大会で優勝。2019年にはアメリカのオーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」に挑戦し、大きな注目を浴びる。2021年には「R-1グランプリ」でも優勝。Netflixドラマ「極悪女王」で主演を務めて女優としても高く評価され、トレーニングウェア「YURYUR(ユーユー)」のディレクションを担当するなど幅広く活躍中。2024年に活動拠点をアメリカに移す。2025年7月にはメジャーデビュー作品「YURIYAN TIME」で本格的に音楽活動を始め、9月には2ndシングル「Venus」をリリースした。
YURIYAN RETRIEVER - UNIVERSAL MUSIC JAPAN
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