ナタリー PowerPush - yucat

痛みや悲しみを吐き出したデビュー作で示した「終わりと始まり」

光のある方向に進んでいきたい

──ジャケットやPVなどのアートワークにイラストを使用しているのはどうしてなんですか?

私の心の中から出てくる映像をもとに曲を作っているので、それを実写化するのは基本的に不可能なんですよ。「何億かかるんだこれ!?」みたいな(笑)。

──ハリウッド映画レベルの予算が必要だと(笑)。

そうそう。なので、私が観てる映像をみんなと共有するためには、イラストのほうがより鮮明に伝わるだろうなって気がしたんです。そう思ったときに、私のイメージに近い絵を描いている妖さんというイラストレーターさんをたまたま見つけたので、私が直接メールしてお願いしたんです。

──確かに妖さんが描くゴシック風味のイラストはyucatの音楽世界にもピッタリですし、楽曲の内容がよりリアルに伝わってきますよね。

「Mr.Perfect Pain」イメージイラスト

もうこのまんまの映像が見えてますからね。こういう映像が見えて、だからこういう歌詞になって、こういうメロディになったんだっていうことをワーッと伝えて、それをそのまんまイラストにしてもらっているので。

──音とビジュアルが融合する完成された世界観を持って動き出したyucatというプロジェクトは、この先どんな展開を見せていくんでしょうね?

根本的には、私は幸せになっていきたいし、光のある方向に進んでいきたいとは思ってるんですね。それはもう楽曲にも表れていることだと思うし。だからそれが私とyucatとしてのストーリーだとは思うんです。でも、じゃあ自分の中の闇がすべてなくなって、yucatという存在が浄化されて消えてしまうことがいいことなのかっていうと、それはまだわからないんですよね。

──どっちもが自分であるし、陰と陽があってこそバランスが取れているとおっしゃっていましたもんね。

そうなんです。だから、この先のことはまだわからないですけど、今は心の中にあるものを吐き出して、幸せを求めていくことがまずは大切なことなのかなって思いますね。それに人間の中の闇って生きている限りなくならない気もしますし。そういう意味では永遠に続いていくストーリーの入り口に今はいるのかもしれないですね。ここからさらに深いところに入っていくので、そこを楽しみにしていてほしいです(笑)。

バランスを取るために加藤有加利としての活動も

──3月にはyucatとしてのライブも予定されています。人前に出るのがまだ無理とおっしゃってましたが、大丈夫そう?

「暴走マシーン」イメージイラスト

お披露目ですからね。ちょっと怖いですけど、たぶん大丈夫だと思います。ライブなのに本人が出てこないんじゃないかとか、アニメーションが動くライブになるんじゃないかとか、いろんな疑惑が飛び交っているみたいですけど(笑)、私が出ないと始まらないし、そうじゃないと伝わるものも伝わらないですからね。ライブという部分でも新しいイメージを確立したいと思ってます。

──加藤有加利さんとしての活動は考えてはいないですか?

今はyucatとしての活動が主になってきているので、そのバランスを取るために加藤有加利としても歌の活動をしていこうかなとは思ってます。私、ニコ動とかボカロがすごく好きなので、“歌ってみた”を始めようかなって(笑)。で、そっち方面でのライブもやってみたいなって思ってるんですよね。

──ご自身で作った曲を歌ったりはしないんですか?

そうなってくるとまたちょっと違うのかなって思うんですよね。カバー曲を歌ったりっていうのが今の加藤有加利らしいのかなって。楽曲提供させてもらった曲をセルフカバーするのはアリかもしれないですけどね。まあなんにせよ、yucatとはまたまったく違った世界観になるとは思いますね。聴いてくださる方は、もちろん両方聴いてもらってもいいし、今はこっちのモードだからyucatを聴こうとか、そうやって選んでくれればいいのかなって。結局はどっちも私ではあるので、そういうものとして楽しんでくれたらうれしいです。

yucat(ゆきゃっと)

元RYTHEMの加藤有加利が2011年からスタートさせたソロプロジェクト。「yucat」とは加藤の心の中に存在するもう1つの現実世界、すなわちパラレルワールドに住んでいるもう1人の自分のこと。加藤が喜び、幸せ、愛、楽しさ、安心、笑顔、光の部分を担っているのに対し、yucatは悲しみ、苦しみ、悩み、痛み、寂しさ、傷、涙、闇の部分を持っているという。楽曲のデジタル配信やYouTubeでの動画公開を経て、2013年1月に1stミニアルバム「PARALLEL WORLD~終ワリノ始マリ~」をリリースした。