小林由依ソロプロジェクトyousti「Game of Life」特集|大切なのは「Not game over」の精神、1stシングルに込めた人生観 (2/2)

自分の取扱説明書がだんだんわかってきた

──前作では作詞にかなり苦労されていたイメージがあります。今作ではどのようにアイデアを見つけていったのか教えてください。

相変わらずドラマを観るのが好きなのですが、例えば「君には幸せでいてほしい」というセリフがあったら、そこから違う物語を思い浮かべたり、曲のテーマになるか考えたり。自然とそういう思考になっていますね。

──シングル3曲目の「全部、君のせい」はドラマっぽいシチュエーションですね。

この曲は「よくよく聴くと、この人怖くない?」みたいな歌詞にしたかったんですよ。恋愛における現実逃避というか。いっぱい妄想して現実じゃない場所で君といる人の歌。だけど書いているうちに妄想具合がいきすぎてしまって。現実逃避はyoustiのテーマでもあるから「まあいっか」と思っていたけど、さすがに自分でも「この主人公はどんだけ現実じゃないところに行きたいんだろう」と思っちゃうくらいだったので、いろいろと調整して切なさ要素を足しました。ドラマっぽく感じていただいたなら調整成功です(笑)。

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──2曲目の「Shimmering Tide」は、はかない風景を思い描きました。youstiの世界観には夢の中のような、淡い色合いがあると思います。

この曲は私が作詞家さんにテーマとキーワードをお伝えして、言葉にできないイメージは画像を見つけて添付してお送りして書いていただきました。はかない感じとかキラキラした感じは、お送りした画像を言葉にして歌詞に盛り込んでくださったんだと思います。

──どんなことを伝えたんですか?

自分で歌詞を書くようになって、「大丈夫だよ!」「いけるよ!」と言えなくなっていることに気付いたんですよ。希望に満ちあふれた曲を聴いていても「私にこれはもう歌えないな」って。「幼気な少女の無垢な歌 イヤフォンを外した」や「何処へだって 自由に 行けると信じてたのに ねえ いつしか 思うように走れない」という歌詞にはそういう私の今の感情が出ていると思います。

──まっすぐな希望を歌えなくなったのはなぜだと思いますか?

理由はわからないけど、昼間の太陽みたいにキラキラしたものを「まぶしいな」と思う瞬間が増えたんです。やっぱり10代の頃とは違う。未来への希望をまっすぐ見出せないときもあって。20代でこういう感覚を持つのが早いのか遅いのかわからないけど、これが今の私の感覚なんです。きっと誰かは共感してくれるだろうと思って、こういうテーマの曲ができあがりました。

──youstiはいい意味で「がんばりすぎない」等身大のプロジェクトなんですね。

そうですね。どこまでいくとダメになるのか、自分の取扱説明書がだんだんわかってきたことも大きいかもしれないです。

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自分がどうなりたいか、というよりも

──改めて、小林さんの感性の豊さに驚かされます。あと、こうして話をしていると、ご自分の言葉をとても大切にされている印象を受けます。

はい。例えば、「Game of Life」の歌詞にある「信じて進むしかないでしょ」からの4行は最初は全然違っていて。自分の言葉としても、文字としてもどこかしっくりこなかったんです。こういうこだわりが生まれたのはグループ時代に書いていたブログからです。言い回しはもちろん、言葉のリズム感、句読点の置き場所、改行までいろいろこだわっていたので、めちゃくちゃ時間がかかっていましたね。

──なるほど。

会話だと表情や声のトーンで伝わるものがあるけど、文字だとまた違うニュアンスになってしまうじゃないですか。できるだけ正確に届けたかったからすごく慎重になっていたんです。その頃の感覚が今、作詞に生きているのかもしれません。こうして実際に自分で表現することでより自分を知ることができたし、ファンの皆さんにより知ってもらえた部分もある。youstiをやってよかったなと思っています。

──ご自身の活動が新しいステージに進んでいると実感されているようですね。

やっぱり今までの経験を生かしながら、次に行こうという感覚はあります。

──小林さんがyoustiとして理想にしているのはどのような姿ですか?

私自身が今どうなりたいか、どういう存在でいたいかということには、あまり重きを置いてないんです。グループにいたときは「あの人みたいになりたい」という憧れの感覚があったけど、活動していく中で徐々に自分らしさを意識するようになりました。そういう私の活動スタイルに最初から憧れてくれた人はきっといなかったと思う。けど、8年くらいやっていたら、どんどん「その姿に憧れました」と言ってくれる後輩が出てきました。そこでやっと「これでよかったんだな」って思えたんです。だから誰かに何かを思ってもらえるようにyoustiで活動するというよりは、私が私でいることを大事にして、結果として好きになってくれたり、私もこういうことをやってみたいと思ってくれたりする人が出てきたら、理想的ですね。

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──ではyoustiの活動で今後チャレンジしたいことを教えてください。

作曲です。こういう歌詞ならこういうテイストの音楽がついたらいいなと思うことが多いので、それも自分で形にできたら今よりもやりがいを感じるんだろうけど、本当にまったくやったことなくて。

──以前、ギター弾いていませんでしたっけ?

弾いてはいましたけど、コード譜を暗記してそのまま押さえていただけです(笑)。あれでギターをやっていたと言っていいものか。

──youstiの活動としては「常に自分らしく」というスタンスのようですが、お話の中には常にファンの存在も感じます。

グループにいた頃は楽曲の世界観を演じることが重要だったので、あまり小林由依の素を見せたくなかったし、むしろ見ないでほしかったんです。私が完成させた姿をそのまま受け取ってほしくて。でも今は、落ち込んだときはその気持ちをそのままSNSに書ける。なぜかと言えば、youstiの活動を通じて、素の自分を受け入れてくれる人たちがいるとわかったから。ミニアルバム「yousti」の活動期間を経て、youstiというプロジェクトはファンの皆さんと一緒に作っている、という感覚が生まれてきました。

──素晴らしいですね! 最後に今後の活動の予定を言える範囲で教えてください。

まだ全然決まっていませんが、年内にまたyoustiとしての新曲を出せたらいいなと思っています。小林由依としてお芝居の仕事もありますし。……いずれは小林由依とyoustiが作品で交われたらいいなと思っていますね。

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イベント情報

yousti 1st Single「Game of Life」発売記念オンラインミート&グリート

  • 2026年4月5日(日)
  • 2026年4月26日(日)
  • 2026年5月2日(土)

yousti 1st Single「Game of Life」発売記念リアルミート&グリート

  • 2026年4月19日(日)東京都 KANDA SQUARE ROOM

プロフィール

yousti(ユースティー)

2024年に櫻坂46を卒業した小林由依のソロプロジェクト。アーティスト名は由依(yui)と“現実逃避”の意味を持つオーストリッチ(ostrich)をかけ合わせた造語で、「がんばりすぎず、時には逃げて、身を委ねていこう」というメッセージと、「私(i)には、あなた(you)が、最上級(st)だ」というファンへの思いが込められている。2025年8月に1stミニアルバム「yousti」をリリース。2026年3月に1stシングル「Game of Life」を発表した。