YouNique「Self Party Night」インタビュー|運命的な出会いを果たした4人が鳴らす“ネオポップ”

“ネオポップ”バンドと称して昨年2月に結成されたYouNique。ボーカルユニット・まるりとりゅうがとしてメジャーデビューの経験があるRyuga(G)を中心に、ボーカルユニットScarFaceやシンガーソングライターとして活動する荒木一仁(Vo)、アメリカのバークリー音楽大学を卒業したMasaaki Saito(B)、高校在学中よりスタジオミュージシャンとして活動している直井弦太(Dr)という、豊富な経歴を持つ4人が集結するバンドだ。

彼らは結成後より精力的にリリースを重ね、昨年は「チャーミング」「最後の合図」「すばる」「恋模様」の4曲を配信。そして今年の2月に新曲「Self Party Night」を配信した。音楽ナタリーでは、最新曲のリリースにあわせてメンバー4人にインタビュー。バンド結成の経緯から制作スタイル、新曲「Self Party Night」のイメージ、今後の活動ビジョンまで話を聞いた。

取材・文 / 森朋之撮影 / 大川晋児

こいつしかいないな

──YouNiqueはRyugaさんがメンバーを集めて結成したバンドだそうですね。

Ryuga(G) はい。以前はボーカルユニットで活動していたんですが、機能性発声障害のため歌えなくなったんです。そのときは「自分は曲を作る人になるのかな」とか「アーティストのお手伝いをする感じなのかな」と思っていたんですが、だんだんと「皆さんの前に立って音楽をやりたい」という気持ちが強くなってきて。で、バンドをやろうと思い、メンバーを集めることにしたんです。最初に会ったのは、ベースのMasaaki。彼が僕のインスタをフォローしてくれていたので、こっちもフォローしたら「フォローバックありがとう」と連絡が来て。「アメリカから4年ぶりに帰国したから、何か一緒にやれたらいいね」ということだったので、「バンドを組もうと思ってるんだよね」とメッセージを送ったら、「興味ある。やろう」と返事がきてすぐに決まりました。

Ryuga(G)

Ryuga(G)

Masaaki Saito(B) アメリカには5、6年いて。ちょうど日本に戻ってきたばかりの頃にRyugaとやりとりしたんです。サポートミュージシャンとしてだけではなくて、自分で音楽を作って活動したいと思っていたんです。

Ryuga 僕とMasaが同い年だったから、「ドラムはどうする? できれば同い年がいいね」と話してたんですけど、2人で会ってるときに「いいやつがいるから、今電話してみる」ってMasaが弦太に連絡してくれたんです。それで「バンドをやろうと思ってるんだけど」と言ったら、「やりたい」と即決してくれて。

直井弦太(Dr) 電話がかかってきたときは、居酒屋にいました(笑)。僕もちょうど同世代と音楽をやりたいと思ってたんですよ。普段は年上の人と一緒の現場が多いし、短い時間で形にしなくちゃいけないこともあって。同い年くらいのミュージシャンと時間をかけていいものを作ることもやっていきたいなと。

Ryuga 僕とMasaはバンド未経験だったんですけど、弦太は以前もバンドを組んでいたことがあったので、力になってくれるだろうなと。ボーカルは僕が責任を持って探そうと思って、TikTokとかをチェックしまくって。そこで一仁を見つけたんです。しかも同い年だったんですよ! ちょうど新宿で路上ライブをやってたから、その場に行ってナンパしました(笑)。

荒木一仁(Vo) 僕は即決ではなかったんですけどね。それまでもいろんな音楽をやってきて、Ryugaに声をかけてもらったときは、3人組のボーカルユニットで活動してたんですよ。なので「ちょっと考えさせてほしい」と。

荒木一仁(Vo)

荒木一仁(Vo)

Ryuga 「僕らと一緒にバンドをやると、こんなこともできるよ」「すごいメンバーだから、絶対ヤバいことになるよ」ってプレゼンしました。僕にとって一仁の歌は「こんなふうに歌えたらいいだろうな」という憧れで、自分の好みにドンピシャだったんですよ。僕は普段からいろんなボーカリストの曲を聴いていて、「この人にはこういう曲が合うだろうな」みたいなことを考えているんですけど、一仁は完全に自分の好きなボーカリスト像だし、路上ライブを観たときも「こいつしかいないな」と。その時点で一仁は、まだ上京して2カ月くらいだったんですよ。でも、僕が今まで経験したことを共有することで、もっと進化するだろうなって。

──Ryugaさんにとって一仁さんは理想のボーカリストだった、と。そもそもギタリストとしてバンドをやろうと思ったのは、どうしてなんですか?

Ryuga ユニットをやっていたときは、オケで歌うことが多かったんです。番組収録でアコギを弾くときも当て振りだったり、ライブでも2人でステージに立つことがほとんど。大きいライブでサポートミュージシャンに参加してもらうたびに「やっぱり生音は最高だな」とめちゃくちゃ感動してたんですよね。ただ、歌えなくなって活動を休止したときは、ギタリストとしての技量もなかったし、さっき言ったように曲を作ったり、アーティストのお手伝いをしようと。「バンドをやりたい」という気持ちはあったんですけど、メンバーがスムーズに集まらなかったら、違う方向に行ってたかもしれないです。全員が同い年というのもそうだし、どこにも所属してなくてフリーだったのも運命的だなって。そこからですね、エレキギターが声の代わりになるかもしれないと思い始めたのは。

このメンバーだったら、どんな音楽でもやれる

──皆さんの音楽的なルーツは近いんですか?

Ryuga だいぶ違いますね。僕はまったくロックを通ってなくて。「バンド=ロック」という勝手なイメージがあって、「こういう曲は歌えないな」と思ってたんです。

──自分が歌えるかどうかが基準?

Ryuga そうですね。流行ってる曲を誰よりも早くカバーして、1番だけ覚えてSNSにアップすることを繰り返していたので。なので1つのバンド、1人のアーティストを深堀りしたことがないんですよ。

Masaaki 僕もロックはほとんど聴いてなくて。ずっとジャズをやっていて、それが土台になってますね。大学くらいからポップスに触れる機会が増えて、そっちにシフトしました。

Masaaki Saito(B)

Masaaki Saito(B)

荒木 僕は入り口がロックだったんですよ。でも、自分で作る曲はピアノバラードとかが多くて。

Ryuga 弦太は子供の頃からドラムをやっているんです。

直井 初めてライブをやったのはたぶん5歳のときですね。最初はジャズで、高校の吹奏楽部もジャズに特化していたんだけど、だんだんロックやポップスに寄っていった感じなんです。

──YouNiqueを結成するにあたって、音楽的な方向性は話し合ったんですか?

Ryuga そういう話はなかったですね。このメンバーでやることが決まってから、「オリジナル曲を作んなきゃね。どんな感じにする?」って。

Masaaki みんなで話し合ってやっていけばいいよね、と。「このメンバーだったら、どんな音楽でもやれる」とも思ったし。

直井 うん。YouNiqueは“ネオポップス”というコピーを掲げているんですけど、中心にあるのは一仁の歌とRyugaの楽曲なので。「こういうジャンルをやろう」というのはまったくないんですよね。

直井弦太(Dr)

直井弦太(Dr)

──とにかく「この4人でバンドをやる」ということが先だった?

Ryuga そうですね。さっきも言いましたけど、僕はこれまでバンドの曲をあまり聴いてこなくて、この4人がそろったときに初めて僕の中で“バンド”が始まったんです。「こういう青春を送りたかった」というのを今やってる感じです(笑)。

──YouNiqueというバンド名はどこから生まれたんですか?

Ryuga この4人で初めて会ったときに考えました。

Masaaki その場のノリでしたね(笑)。

Ryuga 渋谷のカフェに集まったんですけど、店に置いてあったタバコの広告に“ユニーク”という言葉が書いてあって。「これがいいんじゃない? メンバーも個性的だし」って。全然深くないんです(笑)。

一仁の声が生きる曲を作りたい

──楽曲制作はどんな形で進めているんですか?

Ryuga 僕が作詞作曲をしてるんですけど、自分では歌えないから、一仁を家に呼んで、その場で歌ってもらうんです。2人でデモ音源を作って、それをMasaに送って、編曲してもらって。そこに弦太のビートが加わるという順番ですね。その順番で作ると、どんな曲もYouNiqueの音楽になるんですよ。自分たちだけで楽曲を完成させるのは初めてだし、ギターをレコーディングするのもこのバンドが初めてで。ずっとワクワクしています。

──最初にリリースされた楽曲「チャーミング」(2022年7月配信)も、そのプロセスで作ったんですか?

直井 いや、実はその曲だけ作り方が特殊だったんですよ。

Ryuga そうだった。メンバーに「Ryugaが弾くリフが目立つ曲があったほうがいいんじゃない?」と言われて、よし、リフものを作ろうと。まずデモを作ったんだけど、ちょうどMasaが体調を崩していて、弦太に送ったんですよ。

直井 ドラムを打ち込んで、後日、Masaに編曲してもらって。なので普段とは順番が違ったんです。

──男性の切ない恋心を描いた歌詞も印象的でした。

荒木 歌詞の中に「きゅん」という言葉があるんですけど、最初に見たときは「これ大丈夫? かわいすぎん?」と思いました(笑)。でもメロディに乗せて歌ってみたら、「あれ? めちゃくちゃいいじゃん」って。自分が作る曲とは180°違うし、歌っていて楽しいですね。

Ryuga よかった。一仁の声が生きる曲を作りたい、というのが自分の中では一番大きいんです。だんだん作る曲のキーが高くなってきて、歌うのも難しいと思うけど、最終的にはちゃんと歌いこなしてくれるんですよ。

荒木 今まで歌ったことがないジャンルの曲ばかりなので、自分としても幅が広がってる感覚があって。歌唱力も上がってきた気がします。

Masaaki 表現力もね。

直井 レコーディングのたびに歌がうまくなってるんですよ。

荒木 Ryugaがいろんな意見を言ってくれて。「こういう歌い方もありなんだ」という発見も多いですね。

直井  Ryugaはけっこうスパルタなんですけどね。Aメロ、Bメロ、サビを順番に歌って、「今声が出てるから、Aメロを歌い直してみようか」とか(笑)。

Ryuga なのでどうしても時間がかかっちゃうんですよね(笑)。やっぱり元ボーカルだから、「ベストな声を残したい」という気持ちがあって。一仁にもあとから音源を聴いたときに「もっとやれたな」と思ってほしくないんです。