ナタリー PowerPush - 吉木りさ

あなたに伝えたいメッセージ「世界は教室だけじゃない」

「変な声」が長所に変わった

──歌詞に「ギムキョーイクなんていうけれど あんなことされるのも 義務なの?」とありますが、「あんなこと」というのは、ストレートに言えば暗黒時代に受けた「いじめ」のことを指すのでしょうか。

吉木りさ

聴いてくださる方には、恐らくそういうふうに捉えられるとは思います。ただ、こういうテーマって本当に説教くさくなってしまったり、押し付けがましくなってしまったりする傾向があるので、それだけはなんとしても避けよう!という思いもあったんです。なのでヒャダインさんには、曲調をすっごく明るい王道のロックテイストにして、ライブでも「いいじゃんいいじゃん!」ってみんなで盛り上がれて、でも実はメッセージ性がすごく強い、っていうギャップがある曲にしていただきました。

──歌詞の言い回しには、かなり配慮されたのでは?

よく読むと、結構直接的なことを書いてくださっているんですよね。賛否両論出る場合もあるだろうな、とも思いますが、それでもいいかな、というお話をヒャダインさんとしました。実際深刻に悩んでいる方ってたくさんいらっしゃると思うので、そういった方々にはぜひじっくり聴いていただければな、と。

──書かれてあるのは、どれも吉木さんのこと?

そうですね。「友達ゼロ」「超人見知り」「変な声してる」「ダサい走り方」、全部私のことです。特に「変な声してる」という部分は、小さい頃から本当に声がすごく高くて、中学に入ってから「なんで吉木さんってあんな声高いの? 作ってるんじゃないの?」みたいなことを言われて。「これって変な声なんだ!」って感じてから、話すのが億劫になっちゃったりもしました。でも、それをなんでもないかのように装って(笑)、すごく明るく歌ってるのがこの曲なんです。

──そういったコンプレックスは、今では解消されましたか?

これまでコンプレックスだと思ってきたことが、今の私の長所になってるんですよ。声が高いからこそバラエティ番組でも覚えてもらいやすいし、声優業にもチャレンジさせていただけた。今は自分の声が大好きなんです! だから「あなたにはコンプレックスだったり、変だよって言われているものがあるかもしれないけど、そういったものに自分でどんどん針をさしてトゲトゲになっちゃう前に、温めてあげていいんだよ、そういう個性をなでなでしていいんだよ」という気持ちを、この歌にはたっぷり込めています。

吉木りさ

──お話を伺っていると、言い方が適切かどうかわかりませんが「誰かに奉仕したい」みたいな優しさが、心の底からにじみ出ているような気がします。

ファンの方から「笑顔を見てると元気になれます」というお手紙やメッセージをいただくと、ものすごい喜びがウエーブのように私のもとへやって来るんですよね。こんなにろくでもない自分が、芸能界でだんだん存在意義を認めてもらえるようになって、自分を欲してもらえて、人の役に立てるなんて、今までの人生では考えられなかった。なので「奉仕」というような表現や、義務的なことではなく、私にとっては今の活動がすごくうれしくて、快感なんです。ひょっとすると幼少時代からの鬱憤が蓄積されて、その反動で「よっしゃ行くぞー!」みたいなすごいテンションになってるのかもしれませんけど(笑)。

私にとってこの歌はマジ

──実際にこの歌をレコーディングした感想は?

最初から最後までフルの全速力で歌っているようなイメージなんです。そのぶん、気持ちがウワーッ!と伝わるようなテイストになってるかな、とは思います。特に大サビの「今になっても チクチクする」からの部分は、キーも高いし、歌詞も「過去(あの日)のトゲ」とか「癒せない傷」とか歌ってるし、楽曲的に最高のピークに達するところなんですよ。

──この部分は確かに、吉木さんのハイトーンなボーカルと痛切な歌詞が呼応して、とてつもない高揚感があるな、と思いました。

吉木りさ

最初のレコーディングでは、この部分はあまりにも高音すぎるので、裏声で通していたんです。でも裏声だとせっかくのいい歌詞が伝わりづらくなってしまう。そんなとき、ヒャダインさんからは「声をつぶしそうになったら止めていいから、ちょっと1回、地声で歌ってみない?」って提案されたんですね。私も無理だろうなー、と思いつつも「わかりました!」って挑戦して、いざ始まると負けず嫌いなので気合を入れて歌ってみたら、地声で高い音がポーンって出たので「あ、出たー♪」みたいな(笑)。よりメッセージが伝わりやすくなったかな、と思いますね。

──このストレートなメッセージソングを全力で歌うにあたって、どこかに「照れ」や「恥ずかしさ」のような気持ちはありませんでしたか?

あー! 言われてみれば、この歌詞って照れちゃったり言いづらかったり、って側面もあると思います。でも、私の場合はこれが「マジ」というか。実際の人生の中で起こった経験を明るくお伝えしているだけなので、照れというよりは「こんな自分でも大丈夫なんだよー!」っていう正直な気持ちのほうが強いですね。

──カップリング曲も充実しています。聴きどころを教えていただければ。

はい、ぜひ! まず「Over the rainbow!」は、「世界は教室だけじゃない」と対比させようという狙いを込めた楽曲なんです。暗黒時代の私にも好きな人はいて、当時の自分を支えてくれた甘酸っぱい初恋の記憶を歌ってます。「ナビゲーション」は「自分自身が選んだ道を信じて少しずつでも進んでいけば、絶対に何かしらにたどり着くから、諦めないでがんばっていこうね!」っていうメッセージ性がある楽曲です。「A Risa In WonderLand」は「妄想の中の吉木りさ」っていうイメージで、女の子がキュンキュンときめくような楽曲。どれも宝物です!

ニューシングル「世界は教室だけじゃない」 / 2012年12月5日発売 / 日本コロムビア
ニューシングル「世界は教室だけじゃない」CD+DVD盤 / 1600円 / COZA-737~8
ニューシングル「世界は教室だけじゃない」CD盤 / 1260円 / COCC-16673
CD+DVD盤収録曲
  1. 世界は教室だけじゃない
  2. Over the rainbow!
  3. ナビゲーション
  4. 世界は教室だけじゃない(Instrumental)
  5. Over the rainbow!(Instrumental)
  6. ナビゲーション(Instrumental)
CD盤収録曲
  1. 世界は教室だけじゃない
  2. Over the rainbow!
  3. A Risa In WonderLand
  4. 世界は教室だけじゃない(Instrumental)
  5. Over the rainbow!(Instrumental)
  6. A Risa In WonderLand(Instrumental)
DVD収録内容
  • 「世界は教室だけじゃない」Music Video
吉木りさ (よしきりさ)

1987年千葉県生まれ。小学4年から高校3年まで日本民謡を習う。2008年に坂本冬美のカバー「夜桜お七」でCDデビュー。2009年よりフジテレビ系深夜番組「キャンパスナイトフジ」にレギュラー出演して注目を集め、写真集やイメージDVDをコンスタントに発売する。以降、さまざまな雑誌の表紙やグラビアページを飾るほか、ドラマや映画、バラエティ番組など多方面で活躍。2011年3月には「yoshiki*lisa」名義でテレビ東京系アニメ「GOSICK-ゴシック-」のオープニングテーマ「Destin Histoire」をリリースし、2012年3月に1stアルバム「Poche」を発表する。8月には前山田健一(ヒャダイン)プロデュースのシングル「ボカロがライバル☆」を発売。12月5日、前山田プロデュース第2弾の新曲「世界は教室だけじゃない」をリリースした。