ヤングスキニーの挑戦が詰まったメジャー2nd EP「不器用な私だから」全5曲をキャッチコピー付きで解説 (2/2)

04. 精神ロック

パワーパッションファイヤー by しおん

しおん 気持ちいいですよね。演奏も歌も歌詞も、それ以外に説明することがないくらい。それがすべて。

──読んで字のごとく、ロックバンドによるロックについての曲です。

かやゆー そういう歌にしたくて複雑なことは考えずに1、2時間で仕上げました。

──皆さんの中で“ロック”はどういうイメージですか?

かやゆー 歌詞にも書いてるんですけど、芯を貫くこと、嘘をつかないことがロックだと思います。中学生の頃に、生徒会が作ったスローガンが「一生懸命が一番カッコいい」だったんです。当時はありきたりでしょうもないと思ってたんですけど、そこが原点なのかなと。その人がやりたいことを一生懸命にやってるんだったら、それがロックだし、一番カッコいいと思います。

しおん 反骨心とか、そういうことじゃないですかね。怒りとか、そういう負の要素が入ってるのがロックだと思う。見返してやる、みたいな。

ヤングスキニー

ヤングスキニー

──しおんさんの中にもそういったダークなモチベーションはありますか?

しおん あるっすね。そういう気持ちのほうが、演奏に乗っかるんですよ。何も考えないでさらっとやるよりも、黒い気持ちがあるときのほうが周りに及ぼす影響が大きい気がします。いい意味でも悪い意味でも、人に伝わる。

ゴンザレス 2人とだいたい一緒ですけど、自分の本能に従うことですね。歌詞でも言ってますけど、ロックの定義を押しつけることは違うと思うし。正解も間違いもないじゃないですか。人それぞれなんで。

──この曲は、ギターソロから没頭して弾いている感じが伝わってきます。

ゴンザレス もう余計なことは考えないで作ったんで。勢いで、背伸びせずって感じです。自分を出せました。

──りょうとさんはロックにどんなイメージがありますか?

りょうと 自分のやりたいようにやるのがロックなんじゃないですかね。誰かにああしろこうしろって言われるんじゃなくて、自分の思ったようにやるのが。

りょうと(B)

りょうと(B)

かやゆー りょとくんが一番人の意見になびくじゃん。

りょうと 人の意見も取り入れつつ、好きなようにやるっていう。社会で生きるっていうことは、そういうことです。

かやゆー そんなには人の話も聞いてないよ(笑)。

しおん この段階で二転三転してるし、貫いてない(笑)。

りょうと まあ、自分がよければそれでいいです。

──ちなみに、歌詞には酒を飲みながらロックを語る先輩が出てきますが、モデルはいるんですか?

かやゆー bokula.のふじい(しゅんすけ)さんです。「俺が好きな奴は心がロックだ」みたいな、歌詞に書いたことと同じニュアンスのことを言ってて、大切なことだったから歌にしたいなと思いました。だから、Bメロから曲ができたんです。

05. 別れ話(2024 ver.)

ヤングスキニーの苦悩と成長を描いた2024年バージョン by ゴンザレス

ゴンザレス ほかのバンドが昔の曲をリアレンジして収録すると「方向性が変わっちゃって前のほうが好き」みたいなこともあると思うんですけど、この曲に関しては聴いた人全員が「成長したな」と思うはずです。根っこの部分は変えずに個々がパワーアップして帰ってきた感じとか、この3年の濃さが、前の録音と聴き比べるだけでわかってもらえるだろうし。そういうのが全部まとめてエモいっすね。

かやゆー 1st(ミニアルバム「嘘だらけの日常の中で」)の曲は全部録り直したいと思ってた中、この曲は今できそうだなと。再録してない曲があと2つ(「ワンナイト」「テレビの中だけ」)あるんで、それもいつかリリースするつもりです。

──バンド演奏の強度が本当に全然違いますよね。

しおん あのときのドラムはまだ僕じゃないですし。

ゴンザレス 僕はマルチエフェクターの使い方が20%くらいしかわかってなかった。そういうこともあってゴチャゴチャだったんで、今回は音楽的な知識や技術、遊び心が増えながらも芯の部分は変わってないよということを体現できたんじゃないかと思います。

ヤングスキニー

ヤングスキニー

ヤングスキニー

ヤングスキニー

無観客公演でスタートしたヤングスキニーのライブの向き合い方

──現在全国ツアー「“老いてもヤングスキニーツアー vol.3” 2度あることは3度ある編」の真っ最中です。コロナ禍の結成で無観客ライブから活動が始まったヤングスキニーですが、ライブに対する向き合い方は変化していますか?

かやゆー 変わんないですね。会場がでかくなっても緊張しないですし。僕自身がライブハウスに通ってた人間じゃないので。初めてライブハウスに行ったのは自分のライブでしたから。思い入れもないんで、自己顕示欲を満たせる場ぐらいにしか思ってないです。

しおん 僕は逆に通い詰めたんで、やっと見慣れたライブハウスの光景が戻ってきたなという感じです。よく、ファン同士が「横のやつが歌っててうるさい」とか「ほかの人に触れたくない」とか言い合うのをSNSで目にするんですけど、「どうでもいいじゃん」って思っちゃう。でも、ヤングスキニーのお客さんはライブハウスに慣れていない人が多いのかな。

──「ヤングスキニーのライブが人生初ライブ」という人も多いでしょうね。

しおん だからファンを育てるというか、そんな偉そうなことを言うわけじゃないけど、バンドとしてうまく盛り上げるべきなんだろうなと思います。

かやゆー 好きに音楽やりたいだけなのに、なんでそんなこと考えなくちゃいけないんだって日々イライラしてますけどね。Xとかでヤングスキニーの名前出して、なんで勝手なこと言い合ってんだって。毎日うぜえと思ってます。

しおん 僕たちは思ったことをやるだけなんで、それをお客さんがどう受け止めて対応してくれるかなってだけで。離れていくならそれまでだし。そういう意味でも楽しみなツアーですね。どういう感じになっていくのか。

しおん(Dr)

しおん(Dr)

──「こういうふうにライブを観ろ!」と押しつけるのも無理がありますもんね。

しおん 自由でいいと思うんですよね。僕が観に行ってたときは、暴れたければ前に行って暴れるし、落ち着いて聴きたければ後ろに行ってたし。その人の価値観で、棒立ちでも酔ってても踊ってても、好きなように遊べるのがライブハウスだし、音楽だと思うので。モラルとかマナーがない行動は問題外だけど。

かやゆー 最前の人がただ俺に触りたくて押し合ってるのとか、気持ちはよくないです。

──そういった点も含めて、今回のツアーはターニングポイントになりそうですね。

かやゆー 僕らにとってかなり大きな壁というか。対バンのときはいろんなバンドと一緒に演奏するから、毎回違った刺激があってマンネリ化せずにやれたんですけど、今回は自分たちしかいないんで。お客さんも自分たちのことが好きな人しかいないし、ライブが何本もあるツアーをちゃんと「全部よかったな」と思えるようにやりきれるかどうかが大事なのかなと。

しおん 今までのライブハウスはわりとコンパクトでギュっとしてたから、熱量でなんとかなったけど、Zeppとかでそれをやっちゃうと前の3列くらいにしか伝わらないと思うんですよね。言いたいこともやりたいことも全部ちゃんと伝えて、かつ僕らも楽しんでやるには、メンバーみんなが思ってることを意見して進めないと成長しないし、変わらないままファイナルを迎えちゃうと思う。

ゴンザレス 1回1回のライブを振り返っていかないと、なんとなく終わっちゃいそうだし、その感じでズルズル2024年が過ぎていくとかなりまずいなと思ってます。リリースした音源はサブスクでもちゃんと回ってくれてるし、お客さんに「またライブを観たい」と思わせるような演奏して、2024年の後半につなげたいです。

りょうと 会場はどんどん大きくなっていくんで、1人ひとりにヤングスキニーの今のあり方が伝わればいいなと思います。

ヤングスキニー

ヤングスキニー

ライブ情報

“老いてもヤングスキニーツアー vol.3” 2度あることは3度ある編

  • 2024年3月16日(土)宮城県 SENDAI GIGS
  • 2024年3月21日(木)神奈川県 KT Zepp Yokohama
  • 2024年3月30日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2024年3月31日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2024年4月3日(水)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2024年4月4日(木)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2024年4月7日(日)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2024年4月13日(土)香川県 高松festhalle
  • 2024年4月14日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2024年4月19日(金)北海道 Zepp Sapporo
  • 2024年4月26日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)

ヤンスキ春の野音祭り

  • 2024年5月6日(月・祝)東京都 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)
  • 2024年5月25日(土)大阪府 大阪城音楽堂

プロフィール

ヤングスキニー

かやゆー(G, Vo)、ゴンザレス(G)、りょうと(B)、しおん(Dr)からなる4ピースバンド。シンガーソングライターとして活動していたかやゆーがSNSでバンドメンバーを募集し、2020年8月に結成された。2021年2月に初のミュージックビデオとして「世界が僕を嫌いになっても」のMVを公開すると、SNSを中心に大きな反響を呼んだ。同年12月には初の全国流通となるミニアルバム「演じるくらいなら、ありのままでいいけどね」をリリース。2022年10月にリリースした配信シングル「本当はね、」はストリーミング累計再生数1億回を突破した。2023年2月にリリースした配信シングル「らしく」でビクターエンタテインメント内レーベル・SPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビュー。最新作は2024年3月リリースのEP「不器用な私だから」。4月までワンマンツアー「“老いてもヤングスキニーツアー vol.3” 2度あることは3度ある編」を行っている。