WEST.のオリジナルライブ特番「WOWOW presents WEST. 10th Anniversary Live "W"」が10月26日19:00よりWOWOWプライムで放送、WOWOWオンデマンドで配信される。
この番組では、CDデビュー10周年を迎えたWEST.が代表曲の1つ「証拠」やライブ初披露の楽曲「コンビニ行くけどなんかいる?」など全19曲をパフォーマンス。映像作家の丹修一演出のもと、メンバーが色気や野性味といった大人っぽい一面を表現し、パブリックイメージである明るく元気な姿とはひと味違った魅力を打ち出している。
音楽ナタリーでは体調不良で欠席した桐山照史を除くメンバー6人にインタビュー。今や関西勢を牽引するグループの1つとなったWEST.にライブの注目ポイントはもちろん、後輩たちへの思いを語ってもらった。グループや活動に対する思いを熱弁する中、隙あらばボケる──そんな予想のつかないトークを楽しんでほしい。
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取材・文 / 真貝聡撮影(ライブ写真を除く) / YURIE PEPE
メンバーがライブの見どころを語る中、濵田と小瀧は
──WEST.にとって初めての試みとなるオリジナルライブ「WOWOW presents WEST. 10th Anniversary Live "W"」が10月26日に放送・配信されます(参照:WEST.×WOWOWライブ特番放送、バンドとストリングスバックに19曲披露)。監督と演出を務められたのは、エレファントカシマシ、THE YELLOW MONKEY、GLAY、サザンオールスターズ、Mr.Childrenなど、名だたるアーティストのミュージックビデオを手がけている映像作家の丹修一さんです。撮影を終えて、ライブの手応えはいかがですか?
重岡大毅 誰かにライブの演出をすべてお任せすることがなかったから、そこが面白かったですね。丹さん自身、アイドルを演出されるのは初めてだそうなんですよ。丹さんが考えてくださった演出もそうやし、セットリストも俺たちでは思いつかないアイデアばかり。企画の始まりから「ここに乗っかってもいいんだ」と思わせてくれる丹さんの器量も含め、普段のライブとは全然違いましたね。まさに初の試みでした。
中間淳太 丹さんが「大人なWEST.を見せたい」とおっしゃっていたこともあり、今回は意外な曲でスタートする特別なセットリストになっていて。普段のライブにはない始まり方だから、最初は想像がつかなかったんですよ。ただ「この楽曲のこの場面は、WEST.のこんな一面を見せたい」など具体的なイメージを伝えてくださったので、めちゃくちゃワクワクしました。CDデビューから10年が経って、年齢を重ねた7人だからこそできる演出もたくさんあったと思います。僕らを長年応援してくださっているファンの方からすれば、そこも大きな見どころになると思いますね。
藤井流星 新しい曲だけでなく、かなり前の楽曲も今のWEST.のカラーに合わせてリアレンジされている分、パフォーマンスの厚みも、成熟した感じも如実に感じられる。昔歌っていた大人っぽい曲を、実際に大人になった僕らが披露するので、ぜひ楽しみにしてほしいですね。
神山智洋 丹さんは、生バンドに強いこだわりを持っていて。流星が言ったようにリアレンジされたことで、リリース当時と今で僕ら自身の楽曲に対する捉え方も全然変わりました。WEST.の持ってる音楽性の幅を、すごく引き出していただけたと思います。僕たちでセットリストを組んでいたらこうはなっていなかったので、提案していただけてよかった。WEST.の魅力を最大限に引き出していただきました。
濵田崇裕 えっと……ぱっと見は普通のメガネなんですけど、紫外線を浴びるとサングラスに変わるものがありまして──。
小瀧望 違うよ! そんなこと聞かれてないから。
濵田 ここ最近で一番よかった買い物じゃなくて?
小瀧 そんな質問はされてないから(笑)。
中間 それを言おうと、自分の番が来るのを待ってたやろ。
濵田 5人目になると、だいぶ言われんねん。
重岡 ハハハ、そうやな。
濵田 大事なことはほぼ言われたから、最近買ってよかったものを言おうかなと思ったんですけど、ちょっと質問の方向と変わりすぎてます?
──ちょっとじゃなくて、根本的に違いますね。
濵田 ですよね(笑)。僕らでは考えつかないセットリストを提案していただいたんです。淳太が言ったように、丹さんが「こういう世界観でいきたい」と事前に共有してくれて「あとは皆さんの好きように表現してください」と委ねてくださるスタンスが非常にやりやすかったですね。みんな、めっちゃいい表情をしているんですよ! いつもはお客さんのほうを向いて歌うんですけど、バンドコーナーとかは全員が輪になって歌って。「みんな、こんな表情をしてたんや」と気付きを得られたのも含めて、素晴らしい演出やと思いました。
小瀧 えーっと……温度を設定できるポットがあって。70℃、80℃、90℃って選べるんですよ。それが最近買ったものの中ではめっちゃよかったです。
濵田 それちゃうねん!
小瀧 そっかそっか。とても“まっすぐなライブ”だな、という印象があって。
重岡 よう、そこから普通にしゃべれんな(笑)。
小瀧 ハハハ。今回、僕らっぽいちょけている曲は「コンビニ行くけどなんかいる?」ぐらいで、あとはストレートなメッセージソングが多くて。しかも、僕らのライブはけっこうテンポ感を意識してワンハーフでやることが多いんですけど、今回はフルサイズでたっぷりと楽曲のよさを伝えられたのも新鮮でしたね。
目線を合わせたり、カメラを見たりするのはNG
──今回の経験を通して、得たものや今後の活動に生かせると思ったことはありますか?
藤井 放送をご覧になった皆さんの反応を見たうえで変わってくると思うんですけど、今回のライブのセットリストや演出は、有観客のライブでも反映できるところはあるかもしれないですね。僕らは今、10周年を記念したドームツアー「WEST. DOME TOUR AWARD ~10th Anniversary~」を開催してまして(参照:WEST.東京ドームでファンに問う「俺たちの10年どうだった?」10年ぶり松竹座公演も発表)。「この曲ってこんなに反響があるんだ」と驚く場面もあって。自分たちが想像していた以上に盛り上がる楽曲が、今回のセットリストの中にも入っているんじゃないかなと思うので、リアクションが楽しみですし、セットリストを決めるうえで参考にしたいなと思います。
重岡 撮影が終わって、丹さんやスタッフさんが「またWEST.で映像を撮りたい」と言ってくださったんです。もうね、それがすべてやなと思います。第三者が考えたアイデアに乗っかってもなお、今の自分たちは120%の力で応えられると思えているし、実際に「また撮りたい」と言っていただけている。これに尽きますね。最近思っていたことなんですけど、今の俺たちは音楽を通してファンの方々とコミュニケーションを図れるようになってきた感覚があるんですよ。だからこそ音楽で伝えたいこともたくさんあるし、まだ見せられる世界がある。今回のライブを通して、よりガソリンが注入されましたね。
──ちなみに、ライブのセットリストのうち「ハート」「コンビニ行くけどなんかいる?」「証拠」「King of Chance」の4曲のみが事前に発表されています。この中で特に印象に残っている楽曲はどれでしょうか?
神山 個人的にすごくよかったのは「ハート」ですね。「WEST.が夢追い人を応援する」というコンセプトの演出になっていまして。夢追い人役を務めてくれたのは、我々の後輩である関西ジュニアの伯井太陽くん。伯井くんのパッション、度胸、スキルがすごいので僕らの歌だけでなく、伯井くんの魅力もいろいろな方に知っていただくきっかけにもなる。何より「ハート」はパフォーマンスの世界観が本当にいいんですよ。リハーサルの段階からメンバー全員熱が入っていたし、本番は衣装と照明や演出も加わって、素晴らしい映像になっています。あと、EDM調の「コンビニ行くけどなんかいる?」はこのライブが初パフォーマンスで。画面の前で皆さんも一緒に踊れるキャッチーな振付と、ポップな衣装でにぎやかな世界観になっていると思います。
──丹さんの演出で印象的だったことはなんでしょうか?
小瀧 最初の楽曲から興味深かったですね。高級な照明を使った素敵なライティングの中で「それぞれが目線を合わせたりとか、カメラ見たりとかはむしろしないでほしい」と。「1人の男がたたずんでいるような、各々の世界観の中で歌ってほしい」というオーダーだったんです。7人で自由にパフォーマンスしていたら、ああはなっていなかったので印象的な演出でした。
重岡 WEST.のライブをご覧になっている方はわかると思うんですけど、普段はワンハーフで楽曲を披露することが多いんです。中々フルサイズでやる機会がない。でもほかのバンドさんとかアーティストの方って、むしろフルサイズが基本なんですよ。どちらかというと、俺らのほうが少数派。丹さんは日頃からバンドさんとお仕事をされているから、普通に「フルでやるでしょ?」と言ってくださったんですけど、「いや、俺らはいつもワンハーフでやってるんです」というところから話し合いが始まったので、お互いに新鮮やったんじゃないですかね。企画のスタートから面白かったです。
中間 生演奏なので音源と歌い方が違ったりもして。そこも大きな魅力やと思いますね。
神山 めっちゃわかる。やっぱりね、オケと生演奏では感情の乗り方が全然違うんですよ。生だと演奏に対して僕らも歌や動きを合わせるし、逆に僕らのパフォーマンスに即興で音を合わせてもらうこともあるから、その場で生まれる特別なグルーヴ感がありましたね。
理想の人生をWEST.で体現できている
──改めてCDデビュー10周年を迎えたタイミングで、映像を通してライブを届ける意義をどのように捉えていますか?
重岡 ほかの映像コンテンツでも、俺らの姿を観てもらってきたんですけど、今回はまた違った魅力がありますからね。力の入った最高の映像を撮っていただいたし、現場に入った時点でみんなが察したんですよ。「あ、すごいスタッフさんの数がいる。これはヤバいことになるぞ」って(笑)。何よりWOWOWさんで扱っていただくことで、これまでWEST.の音楽に触れたことがない人にも届く気がしていて、それが本当にうれしいです。なおかつ自分たちが新しい試みに対してスパークもできているし、やりたいことをやらせていただいている。今回、映像でライブを届ける意義に関しては、メンバーもそうですし、俺たちに長年携わってくれているスタッフの皆さんも、みんながチーム一丸となり、それぞれがいろいろな思いで臨んでいる。そこに大きな価値があるんですよね。
──今後ほかにも挑戦したいことはありますか?
濵田 先ほど丹さんとしゃべっていたんですけど、もう一度ご一緒させていただけるなら、ライブで設けているアコースティックコーナーにトライしたいです。あの空気感を味わえるのはライブしかなくて、音楽番組ではなかなかできないので、それを今回のライブとはまた違う映像で届けたい。あと「円になって楽器同士も向き合った形でパフォーマンスしてみたいです」というのも丹さんにお願いしました。
小瀧 リハでもやったことないもんな。確かにやってみたい!
濵田 リハの場合は、鏡に向かって1列に並んで練習するんですよ。全員の歌っている表情をアコースティックで観てみたい。本番は映像を観ながら歌っているんですけど、実際に向き合ってやるとテンポが速なったりゆっくりになったり、アドリブも入ったりして。その場でしか生まれない“生っぽさ”が出るやろうなと思いました。
中間 アコースティックだからこそ、いつもよりみんなで音を作っている実感が得られそうやな。
──ぜひお聞きしたいのですが、皆さんが音楽面で誇れるところや、武器だと思うところはどこでしょうか?
中間 WEST.の曲って、お客さんだけじゃなく自分たちに向かって歌っているフシもあって。歌いながら心に染みるんですよね。熱い曲がWEST.のイメージとして皆さんに定着しているのは、そこが強みやからかなって。僕らはデビュー当時から、それぞれ葛藤もあったと思う。だからこそ「ハート」や「証拠」のような、熱い歌詞がダイレクトに届けられているのかなと思います。メンバーが歌っている姿を横で見ていると、ホンマに勇気をもらえますもん。今回で言うと、「証拠」は伯井に向かってパフォーマンスをしているんですけど、伯井に対してまっすぐ応援してる表情とか「ウォウウォウ」言ってるところとか、そこにもちゃんと熱がこもっている。自然に拳を突き上げているメンバーもいて、そういう熱量が強みだと思います。
小瀧 「ウォウウォウ」はモーニング娘。さんやから。
中間 今は「LOVEマシーン」を拾わんでええねん(笑)。
重岡 俺たちは誰も楽器を背負っていないけど“バンド”だと思っていて、7人全員がボーカルなんですよ。あと、最近思うのが、フェスとかイベントに出てもちゃんと手応えを感じられるし、自分たちの強みもはっきりとわかるし、なんやったらよそに負けてないなとも思う。それこそ“熱量のあるバンド”と言われたら、たくさん思い浮かぶじゃないですか? 俺らが違うのは“笑いも届けられる”と言ったら偉そうですけど、皆さんを笑顔にできるというか。熱量と笑顔を両方届けられるのはWEST.の魅力でもあるし、俺がWEST.を好きなところなんですよね。ふざけている中にも熱さがある。それって、曲中でもそうなんですよ。バーッと歌っているやつがいたら、今みたいに急にふざけて笑顔が生まれて、また熱いメッセージを届ける。うまく言えないけど、俺が音楽で表現したいのは人生そのものやから。熱いときもあれば笑うときもあるし、落ち込むときだってある。全部まるごとステージに詰め込みたいと思っているから、そういう意味で自分の送りたい理想の人生を今WEST.で体現できていますね。
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濵ちゃんと照史にたどり着くぞ