NewJeans×WOWOW特集|東京ドーム公演バンドメンバーに聞く舞台裏と5人の魅力 (2/2)

メンバーの意見も反映したソロステージ

──東京ドームはトピックが盛りだくさんな公演でしたが、特にソロパフォーマンスは日本のワイドショーでもたくさん取り上げられましたし、HANNIさんがカバーした「青い珊瑚礁」は韓国のチャートでもランキングが急上昇したそうです。カバーの選曲を聞いたときどんな印象を受けましたか?

磯貝 最初は「え?」ってびっくりした感じだったよね。誰が選んだんだろうって。東京ドームでやるのは意外だったけど、メンバーのキャラクターに合った選曲だった。

HANNIのソロステージの様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

HANNIのソロステージの様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

Soy うんうん。ソロ曲のアレンジに関してはメンバー本人から音楽的なフィードバックもあって驚いた記憶があります。それだけ思い入れがある選曲だったんじゃないかなと。NewJeansの曲は普段から音源で聴いててみんな好きだからアレンジをしながら楽しめたんですけど、ソロ曲はボーカルデータがなかったので、本人と一緒にやるまではなかなかイメージがつかめず、試行錯誤したんですよ。

新井 MINJIさんが歌った「踊り子」って、原曲はベースラインがずっと同じで動かないんですよ。でも今回はMINJIさんが躍動する最後の大サビを、ギターとベースで華やかにしてほしいというリクエストがADORチームからあって。リハーサルでMINJIさんが走り出したのを見て、ぴったりなアレンジだなと思いましたね。

MINJIのソロステージの様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

MINJIのソロステージの様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

Soy 「プラスティック・ラブ」と「青い珊瑚礁」は、当時のスタジオミュージシャンが演奏しているものをまず再現して、本人たちの歌が乗ったタイミングでまたちょっと変えてという感じでアレンジを詰めました。本人たちの歌の抑揚が映えるようにドラムの強弱を付けたり、ソロ曲に関しては本番直前までこだわって調整していきました。

磯貝 「青い珊瑚礁」のギターなんかは、普段僕があまり弾かないパターンのギターだったので、たくさん練習しました。かなり忠実に再現できていると思います。

──初披露だったHANNIさんとDANIELLEさんのユニット曲「Hold It Down」は今までのNewJeansにないテイストの楽曲ですし、DANIELLEさんのソロ曲「Butterflies(With U)」もあとからMCで自作曲だと明かされた際には、そのクオリティの高さに客席からどよめきが起こりました。

大樋 HANNIさんとDANIELLEさんの曲は僕らが演奏してないのでリハで初めて聴かせてもらって、素直にカッコいいなと思いましたね。DANIELLEさん本人がソロ曲を作ったと聞いたときは純粋にすごいなと思いました。

HANNIとDANIELLEのソロステージの様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

HANNIとDANIELLEのソロステージの様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

磯貝 曲自体はソウルとかR&Bっぽい感じだったけど、ダンスはまたちょっと違った雰囲気で、あれもよかったよね。

──ちょっとコンテンポラリーな要素もあるダンスでしたね。

磯貝 そうそう。

Soy  DANIELLEさん、あの曲が書けるならシンガーソングライターとしても活動できるよね。

DANIELLEのソロステージの様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

DANIELLEのソロステージの様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

大樋 ね。これからもっと羽ばたいていくんやろうなと思いました。

Soy HAERINさんのソロパフォーマンスがダンスだったじゃないですか。あれもめちゃくちゃカッコよかったですよね。いつものふわっとした雰囲気じゃなくてパキッとされてて。メンバーたちがMCで「HAERINさん、お姉さんネコみたいだった」って言ってましたけど、まさにその通りで新鮮に感じられてよかったです。

HAERINのソロステージの様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

HAERINのソロステージの様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

プロフェッショナルってこういうこと

──そのほか、演奏していて楽しかった曲はありますか?

Soy 「Bubble Gum」はシンプルにいい曲だよね。いつ演奏しても感動する。

磯貝 めちゃめちゃいい曲だよね。NewJeansの曲ってループしているものが多いんですけど、いい曲ってループでもまったく飽きないんですよ。むしろ最高。楽曲が本当にいいんですよね。あとまた違うベクトルの楽しさなんですけど、「Super Shy」はすごかった(笑)。

大樋 大勢のダンサーさんが踊っていたので、その振動で僕らのステージがめちゃくちゃ揺れて(笑)。ローディーさんたちが一生懸命アンプを押さえてくれる中で演奏してました。

Soy 「Super Shy」と言えば、今、五つ打ちが流行ってるじゃないですか。「ETA」もなんですけど、五つ打ちを生バンドでやるのは死ぬほど難しいんですよ。それを簡単そうにやっているのがこのバンドのポイントです。ぜひ放送で生演奏のそのすごさを実感してほしいです。

──WOWOWでは2日分のライブから寄りすぐりの映像がまとめてオンエアされます。2日目のメンバーが涙していたMCも字幕付きで放送されるので、改めて彼女たちの思いを噛み締めることができそうです。

磯貝 あれは感動したな……。

大樋 うん、ヤバかった。

磯貝 HYEINさんがケガして悔しかったって泣いちゃったじゃん。その直後の「Ditto」はヤバかったね。

HYEINのソロステージの様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

HYEINのソロステージの様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

「Ditto」を披露するNewJeans。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

「Ditto」を披露するNewJeans。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

Soy ヤバかった! あとそういえばさ、1日目でMINJIさんが体調悪かったってSNSで見て驚いたんだよね。一緒にステージに立っていてもまったくそんなふうに見えなかった。

大樋 え、そうだったの?

新井 知らなかった。

Soy 終わってからそのことを知って、プロフェッショナルってこういうことなんだなと思ったんだよね。現場に疲れが見え始めても、本人たちはずっとキャッキャしてるの。つらそうな表情なんて一度も見たことがない。彼女たちががんばるなら僕らもがんばろうって思えるよね。NewJeansの現場にいる人たちのやりがいはすべてあの子たちに詰まっているっていう感じがする。

「NewJeans Fan Meeting 'Bunnies Camp 2024 Tokyo Dome'」の様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

「NewJeans Fan Meeting 'Bunnies Camp 2024 Tokyo Dome'」の様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

NewJeansバンドでありBunniesでもある

──いちミュージシャンとして、皆さんにとってNewJeansはどんな存在ですか?

新井 ミン・ヒジンさんがNewJeansのプロデュースについて「宝箱のような物を作りたい」って話されていて。まさにそういうものだと思うんですよね。観ている人、関わる人がみんな幸せになるような存在というか。あえてこう言いますが、「How Sweet」や「Supernatural」が顕著ですけど、わかりやすく90年代のリバイバルをやっているところが、ほかのK-POPアーティストとは違うところかなと思います。これはミン・ヒジンさんの思惑通りなのかもしれませんが、立ち位置やたたずまいから「NewJeansってこういうものだよね」っていう共通認識が自然とみんなの中に生まれる。これがいわゆるNewJeansっていうジャンルになっているという感覚なんじゃないかなと。

──確かにそうですね。NewJeansらしさを構成する要素の1つに「等身大」というものがあると思うんですが、東京ドーム公演は、韓国語、英語、日本語を織り交ぜた通訳なしのMCが印象的で、そこでもまた彼女たちのナチュラルな姿をたくさん見れたような気がしました。

新井 観ている人がそう感じるのは、すべてにおいて嘘がないチームだからだと思います。裏でも本当にあのまんまで、彼女たちにはただ若いだけじゃない、みんなを引っ張っていくパワーがあるんです。台風の目みたいに周りを巻き込んでいく力が。ステージの上の姿とステージから降りた姿がシームレスなんですよね。それが東京ドームの空気感にも現れていた気がします。

Soy K-POPアイドルってもっと神秘的なもので、遠い存在だからこそファンが応援してのめり込んでいくみたいなイメージが僕にはあったんです。NewJeansはそういう部分もありながらも、すごく身近に感じるというか、なんだか友達っぽい雰囲気があるんですよね。それが親しみやすさにつながっているのかなと思います。少し関わったらもう昔から知っていた友達みたいな。そんな空気感があります。あと音楽に関しては、どの国のどのジャンルの音楽にもリスペクトを感じます。

大樋 そうそう。いろいろ混ざってNewJeansの音楽になってると思います。

Soy 今のK-POPに新しい風を吹かせたのがNewJeansだと思うんだよね。そういう方たちと一緒にやれるのは光栄極まりないことです。僕ら、NewJeansのサポートバンドをやっているのに、ステージを降りると「え、僕らNewJeansとやってるんだ!?」っていまだに思いますからね。

新井 俺らは半分ファンというか、NewJeansバンドでありBunniesでもあるよね。

大樋 本当にそう。東京ドームが終わってしっかりNewJeansロスになりましたし(笑)。あの日から1カ月経ったのに昨日のことのように感じるし、ほかのことをしていても「あの日は楽しかったな」ってふと思い返しちゃう。

磯貝 NewJeansの現場って終わって帰るときまでハッピーなのがいいよね。毎回「めっちゃ最高だったね」って話しながら帰ってる。

新井 そう思わせるのは本人たちのパワーだと思いますね。

Soy これからも引き続きNewJeansチームといい関係を続けられたらいいなと思っています。

「NewJeans Fan Meeting 'Bunnies Camp 2024 Tokyo Dome'」の様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

「NewJeans Fan Meeting 'Bunnies Camp 2024 Tokyo Dome'」の様子。©2024 ADOR. All Rights Reserved.

プロフィール

NewJeans(ニュージーンズ)

ADOR所属のMINJI、HANNI、DANIELLE、HAERIN、HYEINで構成される5人組グループ。「毎日つい手に取ってしまい、いつ履いても飽きない」ジーンズ(Jeans)のような時代のアイコンになるという抱負と、「New Genes」になるという意気込みがグループ名に込められている。ミン・ヒジン総括プロデューサーによる差別化されたプロデュース戦略のもと、2022年7月にデビュー。同年8月に1st EP「New Jeans」、2023年7月に2nd EP「Get Up」をリリースした。2024年6月には日本デビューシングル「Supernatural」を発表し、東京・東京ドームで単独公演「NewJeans Fan Meeting 'Bunnies Camp 2024 Tokyo Dome'」を開催。2日間合計で9万1200人を動員した。

大樋祐大(オオヒユウダイ)

SANABAGUN.のキーボード担当。NewJeansのバックバンドに2回参加し、いずれもバンドマスターを務めた。そのほか、さまざまなアーティストのサポートも手がけており、Awich、アイナ・ジ・エンド、木村カエラ、Creepy Nutsらの作品やライブにも参加している。

磯貝一樹(イソガイカズキ)

SANABAGUN.のギター担当。NewJeansをはじめ、Creepy NutsやDef Techらさまざまなアーティストのサポートを務めている。2022年9月にイギリスの音楽プロデューサーThe edblとの共作アルバム「The edbl × Kazuki Isogai Sessions」をリリース。2023年5月にはギターソロアルバム「diary」を発表した。

新井和輝(アライカズキ)

King Gnu、MILLENNIUM PARADEのベース担当。King Gnuとしては、2024年1月より東京・東京ドーム公演を含む5大ドームツアー、アジアツアーを開催し、成功に収めた。MILLENNIUM PARADEは11月に世界9都市を巡る初のツアー「WHO AND HOW TOUR 2024」を予定している。

Soy(ソイ)

ドラマー。NewJeansのほか、AIや三浦大知、BE:FIRST、BoA、テヨン(少女時代)のサポートを務める。ミュージカル「RENT」の演奏にも参加した。