もう、泊まっていきます?
──茂木さんと木暮さんは、「CAMP TV」から出演オファーが来たとき、どう思われました?
木暮晋也(ヒックスヴィル) 前のめりで「絶対行きたい!」と。絶対に1日中楽しめると思っていたので。
Bose(スチャダラパー) いろいろと撮るものもありそうだしね。
木暮 そう、最近カメラで写真やムービーを撮影するのが好きで。だから、レジャーでしたね!(笑)
Bose 木暮さんのいい場面、たくさん撮れたよねえ。「木暮さんこんな面白いの!」って。
レキシ 今日、ある意味覚醒したんじゃないですか?
木暮 いやあ、楽しい気持ちが抑えきれなくて(笑)。ホント、めっちゃいい番組ですよ。レギュラー陣がうらやましい!
Bose・レキシ・森山直太朗 あはははは。
木暮 キャンプについても、すごく勉強になったし。皆さんからたくさん影響を受けました。
──茂木さんはいかがでしたか?
茂木欣一(フィッシュマンズ) 大自然の中でみんなと会えるのが本当に楽しみでした。去年はフェスも全然できなかったし、最近は仲間に会えることが楽しみで楽しみでしょうがないんです。だから今日もとことん楽しめたっていうか。最高の時間でしたよ。
森山 もう、泊まっていきます?
一同 あはははは!
茂木 車でここに来るまでの自然もよかったし……何より、みんなで火を囲んだのが最高だったね。
Bose あれ、いいんだよね。
レキシ 火を囲んで見つめるの、ハマってましたもんね。
茂木 ほかに何もいらないっていう気持ちになるね。
Bose しかも、焚き火を最初から自分で作るの、超楽しいから。
レキシ 自分が育て上げた感覚になるんですよね。
茂木 そうなんだね。今回はできなかったから、次は何もないところから場を作るっていう作業をやってみたいなあ。
初めてフィッシュマンズを体感できた感じがして
──収録中にはBoseさんとフィッシュマンズのつながりが語られたりもしましたが、レキシさん、森山さんとフィッシュマンズの関わりと言うと……?
レキシ 僕は、SUPER BUTTER DOGがデビューしたてくらいの頃にイベントに呼んでいただいたのが始まりですね。当時は邦楽を聴いてなかったので、その時点では正直まったく存じ上げず……でも、そのイベントをきっかけにメンバー全員がフィッシュマンズにハマったんです。みんなでミュージックビデオを回し見したりしてたなあ。
茂木 ホント!
レキシ そこからどんどんハマっていって、もう大リスペクトで好きですね。だから本当に……最初にイベントに呼んでいただいたとき、喜びを噛み締めておけばよかったなあと思うんですよ。
茂木 いいんです、いいんです。
森山 僕は、茂木さんのセカンドキャリアはもちろんよく知っているし、フェスの会場でご挨拶したりっていう経験もあるんですけど、フィッシュマンズを生で感じるのは今日が初めてだったんですよ。だから、すっごい不思議な気持ちでした。学生時分から名前はもちろん知っているし、それこそ永積(崇 / ハナレグミ)くんがフィッシュマンズを熱く語っているのを横でいつも聞いている。一方で、氣志團万博ではスカパラの茂木さんと会ったりしていて……それが、初めてこの番組でつながったというか。ましてや「いかれたBaby」を歌わせてもらって、いろんなものがつながって、感動しました、本当に。あの時間って、誰のものでもないと思ったし……それこそがフィッシュマンズの音楽なんだなとも感じて。そう。だから初めてフィッシュマンズを体感できた感じがして、それだけでも貴重な時間でした。
茂木 いやあー。これ、最近出たライブ盤なんだけど……(と言って、「若いながらも歴史あり 96.3.2@新宿LIQUID ROOm」を手渡す)。
レキシ 何、急に!
森山 コメントがいいともらえるんだよ(笑)。
一同 あはははは!
Bose それ、いつのライブ?
茂木 1996年の新宿LIQUIDROOMだね。
Bose ああ、じゃあそれ観てる。いいライブだったんだよね。
茂木 直太朗くんにフィッシュマンズの世界にどっぷり浸かってもらいたい!
森山 ありがとうございます!
佐藤くんの言葉って、みんなの言葉になる
──フィッシュマンズを初めて体感する日にセッションも披露するという経験も、なかなかないのではと思います。
レキシ いやあ、すごいですよね。まず歌っちゃうっていう。
森山 歌っちゃいましたね。その前にコーヒータイムと餃子作りもあったけど。
Bose それはそれですごい(笑)。
木暮 いやあ、直太朗くんの歌、素晴らしかったです。
茂木 感激した!! もう、始まる前から感激するってわかってるんだけどね。
木暮 「ありがたい!」と思ったよね。
茂木 思ったのは、佐藤(伸治)くんの言葉って、みんなの言葉になるんだなって。歌ったら、歌った人の言葉になる感じというか。
森山 そうですね。
茂木 難しい単語とかも、全然使われてないんだよね。
レキシ ホントそうなんすよね。
茂木 だから、直太朗くん目線の「いかれたBaby」を聴かせてもらったなあと、ものすごい感動があってね。
森山 もう1回……何回でもやらせてもらいたいと思いました。曲の中毒性が高いです。
茂木 そうなんだよ。自分はメンバーだけど、フィッシュマンズの曲を毎日聴いても全然飽きないし。
木暮 ハマっちゃうんだよね。メンバーもそうなんですけど、抜けられない。
Bose 特に「空中キャンプ」とかはマジでマスターピースだから、このアルバムって始まったら最後まで聴く、最後まで聴いたらまた最初から聴く……みたいなループが止まらないんだよね。僕ね、車のCDチェンジャーに「空中キャンプ」を入れていたんだけど、もう5年くらいずっと入りっぱなしだった。(1曲目の)「ずっと前」のあのイントロが始まると、もう最後まで行っちゃうのよ。何回来ても新鮮に聴けるし。あれはホントにすごいよ。
お互いに引き寄せられているから、密度の濃い時間に
──これまでもいろんな場所で「いかれたBaby」を演奏されてきたと思うんですが、焚き火を囲みながらというシチュエーションはいかがでしたか?
茂木 さっきもみんなで話してたんですけど、焚き火を前にすると、焚き火の前で演奏するための曲に聞こえるよねって(笑)。
Bose ホントだよね! 意味がだいぶ変わった感じがしました。いつもの「いかれたBaby」のもう少しストイックなイメージとは違って、もっとホワーンとした。そこにいるそれぞれが、火を見て自由に歌っていていい。それぞれの中の「いかれたBaby」でいい、みたいな。あの感じ、超よかった。
茂木 焚き火を前にすると、でっかい音でやってるときとはまた別の……なんて説明すればいいんだろう、あの気持ち。「合唱全然OK!」という気分になるよね。
レキシ やっぱり遠赤外線効果ってことなんじゃないですかね。それが。
木暮 そうかもしれない。
森山 え、そうなの?(笑)
一同 あはははは!
レキシ 温度と色と空気感と音と、いろんなものが相まって。だってさ、歌い出しで一度、焚き火がパンって爆ぜたじゃないですか。
茂木・木暮 そうそう!
レキシ それすらもリズムに感じるくらい、偶然と思えないくらいピッタリのタイミングでしたよね。ホントにビックリした。
木暮 しかし、焚き火の前で演奏している様子を撮るって、なかなかないですよね。
Bose 意外に、ミュージシャンのほうが経験ないかもしれないよね。キャンプをするファンの方なんかは集まってやるかもしれないけど。
森山 ひと昔前のキャンプファイヤーのフォークソングみたいな感覚もありましたよね。
レキシ キャンプファイヤー囲んでフォークソング歌うのもそうだし、それこそ縄文時代に……。
一同 あはははは!
森山 「それこそ」じゃないよ(笑)。
レキシ 縄文時代の人たちが火を囲んで、人間が最初に覚えた娯楽じゃないけど、そういう感覚は今も脈々と受け継がれてると思うんですよ。本能的な。DNAの中に組み込まれた感覚みたいな。
森山 あとさ、単純にマイクを通さない、アンプ通さないっていうのは超いいっすよ。聞こえてくるものに対して従順でいられるというか。普段ライブをしているときよりも、ほかの人の音をしっかり聞こうとしている感覚っていうのが。
レキシ それは確かに大きい。
森山 お互いに引き寄せられているから、ギュッと密度の濃い、ああいう時間になりますよね。
茂木 うん、そうだね。
単純に、外に出ればいいじゃん!って
──収録に参加されて、キャンプへの興味は湧きましたか?
木暮 めっちゃ湧きました!
茂木 うん!
木暮 キャンプ道具も気になるものがたくさんありましたし、自然に触れ合うことって生きていくうえで大事だなと改めて思いました。家の中にずっといてもつまらないですからね。単純に、外に出ればいいじゃん!って思いましたね。
茂木 今日は本当の静寂を感じました。室外機の音もなければエンジン音もない。明かりや火を消しちゃえば、本当に真っ暗だしね。自分は普段生活していると頭の中で常に音が鳴っちゃうんだけど、こういう場所に来ると本当に静かな気持ちになれるんだなあと思って。ソロキャンプしてみたくなった!
レキシ いいっすねえ。
森山 茂木さんの家の犬と一緒にキャンプとかどうですか?
Bose それ最高だと思う。
茂木 話しかけるのは犬、っていいね!
木暮 鳥の鳴き声とかもさ、本当に都会よりも大きくしっかり感じられて。「実際はこれくらいの音量なんだ」とか、発見がありましたよね。
茂木 火の音とかも、すっごくいい音なんだよねえ。
Bose サンプリングしたいとか思っちゃうよね。
茂木 わかる!
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