11月1日、必ずみんなをハッピーにする! WOWOW「生中継!AI 20周年記念TOUR “IT'S ALL ME” FINAL ~AI Birthday Special~」

昨年デビュー20周年を迎えたAIが、アニバーサリーツアー「20周年記念TOUR "IT'S ALL ME"」のファイナル公演を11月1日に東京・東京国際フォーラム ホールAにて開催。その模様がWOWOWライブで生中継およびWOWOWオンデマンドで生配信される。

音楽ナタリーではこの公演を控えたAI本人にインタビュー。新型コロナウイルス感染拡大の影響で多数の公演が中止または延期になりながらも全国を駆け抜けた今回のツアーを振り返るとともに、ファイナルに向けた意気込みを語ってもらった。

取材・文 / もりひでゆき撮影 / 岩澤高雄

あそこで泣くとは思わなかった

──「20周年記念TOUR "IT'S ALL ME"」は本来であれば昨年9月にスタートする予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止または延期の公演が相次ぎ、結果として今年2月の東京公演から改めて幕を開けることになりました。20周年ということも含め、AIさんにとっては感慨深いツアーになったのではないですか?

本当にそうですね。当初はライブをすること自体どうなんだろうというムードもあったし、開催することのリスクに関しては、今もまだいろいろ思うところはあって。ただ、コロナ禍がいつ終わるかわからない状況の中で、ずっとライブをやらないという選択を取るのも違うかなという気持ちはあったんですよ。ファンのみんなからは、「AIちゃん、ライブやらないの?」「ライブが観れないと生きていけないよ」みたいな言葉をいただくことも多かったし。で、時間が経つ中で、できる限りリスクを減らした状態でライブを観てもらう準備が整ったので、東京公演から改めてスタートすることができて。初日にステージに立ったときは、本当にうれしかったですよ。

──東京公演では1曲目で感極まってしまう瞬間もありましたね。

自分ではあそこで泣くとは思わなかった(笑)。ひさしぶりのライブだったし、感情的になってしまうであろうことはもちろんわかってはいたんですけど、まさか1曲目でね。お客さん全員がマスクをしている光景を見たときに、そんなに防御してまで私のライブを観に来てくれたことが本当にうれしいと思ったんです。しょっぱなはちゃんと歌いたかったんですけど、結果あんなことになっちまいました(笑)。

──お客さんは歓声を上げられない状況ですが、しっかりコミュニケーションを取れていた印象があります。

最初はみんなが声を出せない状況に対して違和感があったんですけど、そこも公演を重ねるごとに慣れていきましたね。逆にその状況に面白さを感じられるようになってきたというか。いろいろ言葉を書いたスケッチブックを持ってきてくれる人もけっこう多くて。「AIちゃん待ってたよ!」「今日は何食べた?」みたいな。それを私が読んで、1つずつ答えていくのも楽しかったですね。あとはジェスチャーで気持ちを伝えてくれる人も多いかな。手をワーッと大きく上げてくれるのはもちろん、最近はみんなコレ(指ハート)ばっかりやってくる(笑)。そういうやり取りを通してみんなの心の声をちゃんと聞きながらライブができていたと思います。マスクで口元は見えないけど、目を見れば楽しんでくれていることはしっかり伝わってきますしね。MCのとき、みんなの表情から、「あ、そろそろ私のしゃべりを終わらせたほうがいいのかな」みたいなことも読み取りつつ(笑)。そういう部分はコロナ禍のライブならではの楽しみ方のひとつになっていたように思います。

これまでとは真逆のライブスタイル

──今回のツアーではフルバンドにコーラスが2人、さらにストリングスカルテットも参加されていて。非常に豪華な編成ですよね。

ストリングスと一緒にツアーを周るって、なかなかできることじゃないですからね。贅沢だなと思います。毎公演、私自身がストリングスの音に癒されながら歌っている感じです。今回のツアーはみんなでワーッと盛り上がることができないから、ストリングスに入ってもらったことで、その分曲にじっくり聴き入ってもらえる雰囲気を作ろうと意識した部分もありました。今までのライブはみんなで一緒に歌うシーンも多かったし、ステージ上にお客さんを上げてラップの部分を歌ってもらったりとか、とにかくもう飛沫が飛び飛びな状況だったので(笑)、そういうスタイルとは真逆とも言える今回のライブは自分的にもけっこう新鮮ではあります。

──セットリストも20周年にふさわしいものだと思います。

そうですね。古い曲ももちろんありますけど、みんなが知ってくれているであろうシングル曲やCMソングをできるだけ盛り込むように意識したところもあって。しかも、いつものライブは原型がなくなるくらいアレンジすることが多いんですけど、今回はけっこう原曲のままでやっているんですよ。そういう意味では、コアなファンの方はもちろん、今回のツアーで初めて観てくれた方にもちゃんと楽しんでもらえる内容になっていると思いますね。

──公演を重ねることで、バンドとの一体感もより強まってきているんじゃないですか?

そうですね。コロナ禍という部分も含め、みんなでいろんなことを乗り越えてきたツアーなので、ライブをすればするほど絆が深まっていく感じで。ホントにいい状態でひとつになれていると思います。メンバーのキャラもより深くわかってきたから、うまくイジれるようにもなってきましたしね(笑)。ただ、そうやってバンドの関係がいいものになってくると、それを伝えたくてMCでつい私のしゃべりが長くなっちゃうところもあって。今回は感染拡大防止の一環で絶対に時間通りにライブを終えないといけない会場が多かったので、そこがけっこう毎回大変でしたね。セットリストはもう決まっているわけだから、時間通りにやろうとすると私のしゃべりを削るしかないという。ファイナル公演でもそこは意識しなきゃですけど、やっぱりみんなにたくさん気持ちを伝えたいから、ギリギリまでいっぱいやっちゃおうと思っています(笑)。