ナタリー PowerPush - WHITE ASH

「偽者の王様たちにサヨナラを」のび太、大いに語る

邦楽も洋楽もどっちも聴いている自分たちのようなバンドの特権

──ここ数年、洋楽ロックのバックグラウンドをまったく持っていない日本のロックバンドが台頭してきています。その一方で、洋楽ロックに傾倒しているバンドもいて。その二極化が進んでいると思うんですけど、そういう状況をどのように見てますか?

僕自身は邦楽も洋楽も同じくらい好きなんですよ。邦楽のAメロ、Bメロがあってサビでバーンと開けていく感じとか大好きだし。洋楽は洋楽で、カッコいいギターのリフを1つ思いついたら、その勢いで1曲作っちゃうみたいなノリも大好きだし。その両方をミックスさせたような音楽、リフにもパンチがあって、でもサビも盛り上がるみたいな、そういうバランスを探してるし。それができるのは、日本にいて邦楽も洋楽もどっちも聴いている自分たちのようなバンドの特権だと思っているから。自分たちにしかできない音楽を考えたときに、その両方の要素は絶対に必要だし、そうじゃなければ存在する意味がないって思うんですよね。僕らがバンドを始めたきっかけはArctic Monkeysだったけど、それっぽいことをやるだけだったら、Arctic Monkeysを聴いたほうが絶対いいわけですからね。そうではないものをちゃんと打ち出しているという自負はあります。

──そこには、今の日本のロックシーンへの目配りというのもあるということですよね。

このアルバムでやりたかったことの1つは、今ライブハウスとかで支配的な、4つ打ちのダンスロックに対するカウンターです。あの一体感っていうのはわかるんだけど、どうしてもそこには画一化、均一化されたノリがあって。もっとロックのノリって自由なものだと思うんですよ。だから、テンポを落としたとしてもちゃんとノレる曲を作りたかった。アルバム2曲目の「Number Ninety Nine」では、あえてその4つ打ちダンスロックのど真ん中のところで最高にカッコいい曲を作って、その気になればやれるってことも証明して。

──念入りですよね。ただカウンターをやるだけじゃなくて、ちゃんと見本も代替案も用意してる。

1曲目の「Casablanca」なんて3拍子ですからね。それで今のシーンでも有効なロックのノリを生み出したかった。僕は、ライバルに負けたくないという思いよりも、ライバルのいないところに行きたいという思いが強いんです。

「何かが気になる」ってところがバンドにとって重要

──なるほどね。それにしても、アルバムラストのクリスマスソング「Xmas Present For My Sweetheart」には驚きました。ここまでベタな曲もやっちゃうんだって。

こういう曲ができるようになったのも、これまでの作品で、日本語でやってもWHITE ASHになるし、ラブソングを歌ってもWHITE ASHになるし、この4人でやったらちゃんとWHITE ASHになるんだって自信を持つことができたからですね。あと、最後にこういう新機軸の曲があると、聴いている人が「えっ?」って思ってくれるんじゃないかなって。

──最後に、次につながる謎のフックを残すってことですね。「アベンジャーズ」シリーズの映画みたいだ(笑)。

ただシンプルでカッコいいだけじゃなくて、その「何かが気になる」ってところがバンドにとって重要だと思うんですよね。僕は、このアルバムをWHITE ASHの最高傑作であると同時に入門編にもしたかったので。「WHITE ASHはこういうバンドだ!」ってことを明確に提示すると同時に、「この次はどうなるんだろう?」とか「また1曲目から聴き返したい」とか思ってもらうためにはどうしたらいいのか、そこはすごく考えましたね。どういうバンドなのかつかんでほしいけど、完全につかまれたくはないっていう。

──今日はすべての疑問に完璧に答えてもらった気がします(笑)。最後に、このバンドの目標としているところを教えてください。

シンプルかつカッコいいってところを突き詰めた先に、最終的には、僕らじゃない音楽を聴いたときや、あるいは音楽じゃなくて、何かの絵とか写真とかを見たときにも、「これってWHITE ASHっぽくない?」みたいな、そういう言葉が普通に通じるようなところにまでいきたいですね。そこまでのことを狙っていかないと、これからの時代のバンドは残っていけないと思うから。年末ということもあって、最近よく「来年新たに挑戦してみたいことはありますか?」って聞かれるんですけど、別に新たに挑戦してみたいことなんてなくて、今やってることをさらに突き詰めていってどこまで行けるかってことにしか興味がないんです。

WHITE ASH
WHITE ASH ニューアルバム「Ciao, Fake Kings」/ 2013年12月11日発売 / VAP / VPCC-81784
WHITE ASH「Ciao, Fake Kings」ジャケット
収録曲
  1. Casablanca
  2. Number Ninety Nine
  3. Zodiac Syndrome
  4. Vain Promises
  5. Long Time No See
  6. Bacardi Avenue
  7. Delayed
  8. Extreme
  9. Under The Lightless
  10. (Y)our Song
  11. Xmas Present For My Sweetheart
WHITE ASH(ほわいとあっしゅ)

のび太(Vo, G)、山さん(G)、彩(B)、剛(Dr)からなるロックバンド。2010年に音楽コンテスト「RO69JACK 2010」で優勝を果たし、同年夏に開催された「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2010」に出演した。同年9月には初のミニアルバム「On The Other Hand, The Russia Is…」をリリース。以降も数々の作品を発表しつつ、「SUMMER SONIC 2011」「COUNTDOWN JAPAN 11/12」などのロックフェスに出演し、着実に人気を高めていった。2013年5月にはシングル「Velocity」でメジャーデビュー。同年8月にはテレビアニメ「ガッチャマン クラウズ」の主題歌「Crowds」をシングルリリースした。そして12月11日に全曲新曲からなる2ndフルアルバム「Ciao, Fake Kings」を発売。翌2014年2月からは全国9都市を回るライブツアー「WHITE ASH One Man Tour "Lilium"」をスタートさせる。