ナタリー PowerPush - WEAVER
“3人の音”にこだわった セルフプロデュース作「Handmade」
曲が一番いい形になるものを目指す
──新しいサウンドという意味では、「Free will」も意表を突かれました。冒頭からゴスペルのようなハーモニーが入っていますよね。
杉本 はい、あれはスタッフさんたちにも協力してもらって。「Free will」は曲のスケール感的にも、WEAVERの次のステップというものを見せられた曲かなって。実は次のアルバムに入れようかなという考えもあったんですけど、もう1、2曲アルバムの世界観を広げられる曲が欲しいと思って。
──あと今回は全体的にストリンスグスも多いですよね。この辺はインタビューの最初の答えにもつながると思うんですが、3人以外の音という部分の抵抗はもうないんですか?
杉本 そうですね。最初は3人のセルフプロデュース作だし、そうすると3人だけの楽器でやったほうがいいのかなっていう迷いもあったんです。でも結局はそうじゃなくて、3人の意思をしっかり出していく覚悟があれば、曲が一番いい形になるものを目指すのがベストなんじゃないかなって。3人で作っていけばそれは自分たちの音になるんじゃないかって発想を切り替えられたんです。
──アルバムのタイトル「Handmade」も、3人の試行錯誤や手作り感が伝わってくるようなぴったりのネーミングですね。
河邉 「Handmade」という言葉自体は、2011年にアルバム「ジュビレーション」を出した後くらいから僕の中にあって。いつか使いたいとは思っていたんですが、今回のような「自分たちで作った」ということを表現したいタイミングにぴったりな言葉だなって。みんなにもすぐ賛成してもらえたので、これに決まりましたね。
音楽的な部分はまだまだ浸透してない
──早いもので2013年はデビュー4年目を迎えますね。今年の抱負は?
杉本 繰り返しになりますが、2012年は本当に「3人でもっとできることがあるやん!」って気付かされた1年だったんです。今回のアルバムを作って改めて3人でやる覚悟や土台みたいなものができたと思うので、今後はそこを固めて広げていく作業をがんばりたいなって思ってます。
河邉 3月から始まるツアータイトルが「WEAVER Handmade TOUR 2013『Piano Trio Performance』」なんですけど、そのタイトルどおり、ピアノトリオとしていろんなことに挑戦しながらパフォーマンスしていけたらいいなって思ってます。
──ところでデビューから現在までの成果みたいなものはどう捉えていますか? またそれを踏まえて、今後のWEAVERをどうしていきたいと考えていますか?
杉本 正直、音楽的な部分はまだまだ浸透してないなって思います。だからもっともっと歌だけじゃなく音に乗せてるメッセージとか、音でこんなことやってるんだよっていうのを知らない人に伝えたいし。そのためにはやっぱりこうして音源を外にも伝わる形で作っていかなきゃいけないなって。
──突っ込んだ話になりますが、WEAVERはレコード会社の宣伝もかなり力を入れられてると思いますが、そのへんのプレッシャーみたいなものっていかがでしょう?
杉本 実はこの1年はすごく自由にさせてもらったというか。「もう一度自分たちのやりたいことを自分たちで探してみたら?」という感じでスタッフさんも言ってくれてたんです。今回はその時間をちゃんと曲として昇華できた手応えもあるので、そこに不安や抵抗はないんですよね。きっといい流れで今後もやっていけると思います。
──ちなみにもっとギラギラしたもの……例えば「この会場でライブをやってやる!」みたいな野望ってありますか?
奥野 具体的に挙げるなら、やっぱり日本武道館は目指したいですね。デビュー直後、レーベルの先輩にあたるflumpoolのオープニングアクトで一度立たせてもらってて、その光景やイメージが明確に持てるので余計に思いは強くなりますね。
杉本 でもまずはツアーファイナルのZepp DiverCity TOKYO(4月21日に開催)かな。やっぱりZeppはすごく憧れの場所だし、まだ立ったことのない大きなステージにはきっと素敵な景色があるんだろうなと思うので。これからもそういうものを着実に目指しつつ、その時々の自分たちの意思をちゃんと伝えられるものを作っていけたらなと思ってます。
- ニューアルバム「Handmade」 / 2013年1月16日発売 / A-Sketch
- 初回限定盤[CD+DVD] / 3300円 / AZZS-14
- 通常盤[CD] / 2800円 / AZCS-1022
CD収録曲
- Performance
- Shall we dance
- 風の船 ~Bug's ship~
- Reach out
- blue bird
- アーティスト
- 君がいた夏の空
- ふたりは雪のように
- 偽善者の声
- Free will
- The sun and clouds
初回限定盤DVD収録内容
- Hard to say I love you(MTV Unplugged ライブ)
- つよがりバンビ(MTV Unplugged ライブ)
- 管制塔(MTV Unplugged ライブ)
- トキドキセカイ(MTV Unplugged ライブ)
- 僕らの永遠~何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから~(MTV Unplugged ライブ)
- WEAVERの2012年に行われたライブハウスツアー、レコーディングなどの活動に密着したドキュメンタリー映像
WEAVER (うぃーばー)
杉本雄治(Vo, Piano)、奥野翔太(B)、河邉徹(Dr)の3人からなる神戸出身のスリーピースピアノバンド。2004年に高校の同級生同士で結成され、2007年に現在の編成に。メンバーの卓越した演奏テクニックと、ピアノの音色が印象的なメロディアスな楽曲を特徴とする。2009年10月に配信限定シングル「白朝夢」でメジャーデビューを果たし、デビュー翌日にはflumpoolの日本武道館公演でフロントアクトを務める。2010年2月にメジャー1stミニアルバム「Tapestry」を、同年8月に亀田誠治をサウンドプロデューサーに迎え、au LISMO CMソング「僕らの永遠~何度生まれ変わっても手を繋ぎたいだけの愛だから~」などを収録したアルバム「新世界創造記」をリリースする。その後もコンスタントにリリースとライブを重ね、2011年8月に杉本のピアノ独奏を含むアルバム「ジュビレーション」を発表する。2012年3~5月にメンバー3人だけで全国各地を回るライブハウスツアー「WEAVER Live House TOUR 2012『Piano Trio Philosophy~do YOU ride on No.66~』」を敢行し成功に収めた。2013年1月にセルフプロデュースアルバム「Handmade」を発表。