ナタリー PowerPush - THE WAYBARK

初期衝動を詰め込んだ これぞロックンロールバンドの1stアルバム

「夏の魔物」があったからバンドが成長できた

──「夏の魔物」に毎年出演していることは、バンドにどんな影響を与えてるんですか?

んー、以前は出ることに負い目もあったんですよ。

──「主催者だから出られるんだろう」みたいな声もあるだろうし、そういうのって精神的にはキツい部分もあったと思うんですけど。

成田大致

他人の声は、俺は全く気にしたことないですけどね(笑)。信念があるので。でも自分が思い描いてた理想のバンド像があるとしたら、昔はやっぱ技術面も楽曲も全然納得いってなくて。だから必然的にああいうステージングになったんです。高いところから飛んだりとか。それしかほかのバンドに勝つ要素がなかったから。若さと勢いだけでやってきて、でもやっぱそうじゃねえだろって気持ちが芽生えてきた。「夏の魔物」があったからTHE WAYBARKは成長できたと思うんですよね。

──あえてキツい状況に置くことで、自分を成長させていった?

THE WAYBARKはそういうバンドなんです。そもそも高校のとき、「夏の魔物」やるずっと前でしたけど、ニューロティカと対バン決まったとき、何カ月も週7で練習してましたもん。そういう高い壁を常に乗り越えて成長していくバンドだったんですよ。今までしょっぱいライブもたくさん経験してきたし。客が1人だろうと機材環境が悪かろうと、バンドワゴンで全国いろんなところをツアーで周ってきて。 4人で銭湯入って、4人でメシ食って、4人で車中泊して……。ロックンロールの先輩方がやっていたことをそのまんまやって。それを積み重ねてきたおかげで、今やっとバンドがちゃんと固まってきたっていうか。

目標は紅白歌合戦出場です

──THE WAYBARKの今後の目標について教えてください。

やっぱデカいところでドカンとやれるようになりたいですよね。フジロックのグリーンステージとか武道館とか。あと紅白に出たいです。

──紅白、いいですね(笑)。

成田大致

俺が好きなバンドって、テレビでも通用して、デカいフェスでも小さいライブハウスでもちゃんといいライブができるっていう、足腰の強いバンドなんですよ。THE WAYBARKもそういうバンドになりたいです。

──あとやっぱりロックキッズに向けての……。

そうですね、入り口になりたいっていうのはありますよね。常に意識してるのは「高校のときの自分が聴いてどう思うか」ってことで。そんときの自分に恥ずかしくないっていうか、ブレてないのがいいなって。周りにブレてる人多いんで。

──あいかわらず一言多いですよね(笑)。あとひとつ気になったんですけど「ANGRY MAMA」みたいなストレートなラブソングって、“優しさロック”みたいなぬるい音楽と混同されがちだと思うんです。そこは大丈夫ですか?

そういう感じに捉えられたら危険だなっていうのは思ってました。だからタイトルも最初は「アイデン&ティティ」の続編で「マリッジ」だったんですが、ひとひねりして「ANGRY MAMA」にしたし。白井(幹夫)さんもレコーディングのときに「最近のロックは優しさの大安売りのラブソングばっかりだ!」って言ってて、そうなったらまずいなって。

──そこを意識してるなら、こういう誤解されがちなラブソングは歌わないという選択肢もあると思うんですけど。

いや、でもやっぱ熱くなるのってラブソングじゃないですか!俺も思春期に聴いて好きだったのはラブソングが多いなと思ってて。誰しもが経験することだと思うんで。(忌野)清志郎さんやトータス(松本)さんに負けない、本気の愛と魂がこもったラブソングがやりたかったんですよ。 今の自分ならそれが歌えるだろうなあ、と。

──誤解されてもいい、歌いたいから歌うと。

うん、あとカラオケで歌ってほしいです。それがまず念頭にあって。

──「カラオケで歌ってほしい」って言うロックバンドも珍しいですよ(笑)。

でも実際カラオケ行って最近のバンドの曲を入れると歌えない曲が多いんですよ。難しくて口ずさめない。いい歌詞なんだけど歌いづらい。だから誰でも口ずさめるっていうか、それこそ結婚式の余興で歌えるような曲を作りたかったんですよね。難解な要素ゼロです(笑)。

──なるほど。では最後にリスナーへのメッセージがあれば聞かせてください。

論より証拠を地で行くバンドなんで(笑)、なんかいろんな前評判はあると思うんですけど、このアルバムを聴いてライブ観れば印象変わるって思ってます。「THE WAYBARKはもっと歌モノのポップなバンドだと思ってました」ってお客さんも対バンもみんな言うんですよ。俺たちは何年もずっと超肉食系でゴリゴリな音を出し続けてるのに。ナメられてるところからスタートしてるバンドなんですけど、ナメられっぱなしなのは腹立つんで(笑)、まずはとにかくこのアルバムを聴いてほしいですね。

1stアルバム「THE WAYBARK」 / 2011年9月7日発売 / 2500円(税込) / GARURU RECORDS / GRRC-30001

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CD収録曲
  1. さらばライトマン
  2. 太陽を忘れた男
  3. I don't know
  4. 笑えよマリー
  5. 恋の暴走列車
  6. ライムキャバレー
  7. ジュノ・サマー・ローラ
  8. 思い出のハイ・フィデリティ
  9. happy happy ~僕らの町の冬~
  10. アイデン&ティティ(69Ver.)
  11. ANGRY MAMA
  12. Rock to the Future
THE WAYBARK(うぇいばー)

2002年6月9日結成。だいち69(Vo)、Johnny(G, Vo)、おっくん(B)、ブラック斎藤(Dr)の4名からなるロックンロールバンド。「猪木イズムの継承者」「明るい青少年のロックンロールバンド」をキャッチフレーズに掲げ活動を続ける。2008年3月には毛皮のマリーズ、THE BOHEMIANS、Mr. Freddie & The Mercury devilと東北サーキットを決行。ボーカルのだいち69は青森唯一のロックフェス「AOMORI ROCK FESTIVAL 夏の魔物」を主催。THE WAYBARKも毎年出演を果たしている。2010年7月に自主制作アルバム「マイ・ジェネレイション」、2011年9月には1stアルバム「THE WAYBARK」をリリース。