ナタリー PowerPush - THE WAYBARK

初期衝動を詰め込んだ これぞロックンロールバンドの1stアルバム

嫁さんにDISられた悔しさで曲を書き始めた

──音楽に対する姿勢が変わったきっかけは何かあったんですか?

きっかけは……やっぱライブ中に飛び降りて複雑骨折したことかな(笑)。

──それで自分を見つめ直した?(笑)

成田大致

あと、俺結婚してるんですけど、それもデカかったですかね。

──あ、あの「ANGRY MAMA」のPVに映ってるのは……?

リアル家族ですよ。自宅だし俺の部屋ですよ、あれ。

──じゃあPVに出てくる子供も、あれは大致くんの子供?

そうなんですよ。

──結婚したり子供ができたりして、音楽に対する考え方も変化した?

やっぱ価値的は全然変わってきましたよね。それまでやってた曲も「これじゃだめだな」って思うようになって、伝えたいことっていうかメッセージ性っていうものが自然と出てきた。

──なるほど。

あと嫁さんがTHE WAYBARKのことを強烈にDISるんですよね(笑)。そもそも4年くらい前、俺がまだ曲を書いてなかった時期に知り合ったんですが、「お前のバンドはお前らしさも、お前の良さも悪さもなんにも全く出ていない。お前は良い歌や良いバンドをたくさん知っているのに、どうしてこうなんだ? それで良いと思ってるの?」みたいな感じに言われて(笑)。それで悔しくて書いたのが「アイデン&ティティ」だったんですよ。で、曲を書き始めて。そっからバンドもだいぶ変わり始めて。なので、家族の存在は何よりもデカいですね。

──バンドにとってはいい影響を与えてくれましたね。

ある意味自我が芽生えたというか。

──でもTHE WAYBARKってもう結成9年目ですよね?(笑)

うん、だから今まであんまり真剣にやってなかったのかもって思いますよね(笑)。今は4人全員が同じ歩幅で歩いて、向いてる方向がみんな一緒で、全員がコンディションも良くて。9年やっててこんなの初めてなんですよ。追い風が吹いてきてるんじゃないかな(笑)。

このアルバムに高校生の俺が求めてたものが全部詰まってる

──今回のアルバムは、ジャケットもすごくカッコいいですよね。

「スーパーストリートファイターIV」とか「THE KING OF FIGHTERS」シリーズの絵を描いてるヒロアキさんが描いてくれて、ロゴもSNK作品のロゴデザインを手がけていたNAO.Q(山口直久)さんがやってくれたんです。今回は少年ウケっていうか、野郎のことしか考えてないですからね。それにアルバムという、ひとつの作品が俺は作りたかったんです。ジャケとかそういったものすべてを含めてひとつの作品なので。曲単位で聴くんじゃなくて、アルバム単位で聴いてほしくて。音、曲順の起承転結、ジャケット、盤面、歌詞カード、帯、ケース、外貼りのコメントシール……。何から何までとにかくこだわり妥協せず作りました。このアルバムに高校生の俺が求めてたものが全部詰まってる。

──少年だった頃の自分に向けて作ったということ?

成田大致

今のロックシーンって野郎が少ないじゃないですか。ファンも女の子中心で、アイドル崩れの若いバンドみたいなのにキャーキャー言って。だからTHE WAYBARKが悪く言われるのも当然だなって思うんだけど(笑)。でもこのアルバムにだったら、少年たちはどんどん食いついてきてくれそうじゃないですか?

──大致くんがずっと言ってる「少年がロックを好きになる入り口になりたい」っていう姿勢はこのアルバムでも徹底してますよね。わかりやすいストレートなロックしか入ってない。大致くん自身はいろんな音楽を幅広く聴いてるんだし、例えばもっとハードなものや、エッジの効いたものもやろうと思えばできるはずなのに。

あー、そこがやっぱ誤解されやすいところですよね。もちろんやろうと思えば簡単にできますよ。もっとアバンギャルドなものとかも。でも誰よりも何よりもロックンロールが大好きで愛しているからこそ、あえてこの道を選んでるんですよ。バンドをやる以上、自分がキッズの頃に熱狂してたようなそういうロックンロールをやりたいし、こんな時代だからこそ、少年たちが俺たちみたいなロックンロールバンドを必要としてる気がします。

──でもちょっとはひねったことをやったほうが「すごい」って思われるんじゃ? ダンスミュージックとの融合とか、音響系へのアプローチとか。

そういうのもいいけど、それは俺がやることじゃないって思ってますね。THE WAYBARKが4人で鳴らす音はこれだと思う。“THE WAYBARKっぽい“音というか、4人が超がつくほどの大バカなんだっていうのが音に出てるし、この突き抜けた感じっていうのはほかのバンドに出せないんじゃないかな。それに今回は俺たちの世代の本当なリアルな音、”今“のロックンロールを鳴らしたくて。高校のときからリアルタイムで聴いてきた洋楽……THE HIVESとかMANDO DIAOとか、いわゆるロックンロールリバイバルと呼ばれていたバンドたちみたいな、かっ飛んだジェット感あふれるサウンドを目指したんですよ。

1stアルバム「THE WAYBARK」 / 2011年9月7日発売 / 2500円(税込) / GARURU RECORDS / GRRC-30001

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CD収録曲
  1. さらばライトマン
  2. 太陽を忘れた男
  3. I don't know
  4. 笑えよマリー
  5. 恋の暴走列車
  6. ライムキャバレー
  7. ジュノ・サマー・ローラ
  8. 思い出のハイ・フィデリティ
  9. happy happy ~僕らの町の冬~
  10. アイデン&ティティ(69Ver.)
  11. ANGRY MAMA
  12. Rock to the Future
THE WAYBARK(うぇいばー)

2002年6月9日結成。だいち69(Vo)、Johnny(G, Vo)、おっくん(B)、ブラック斎藤(Dr)の4名からなるロックンロールバンド。「猪木イズムの継承者」「明るい青少年のロックンロールバンド」をキャッチフレーズに掲げ活動を続ける。2008年3月には毛皮のマリーズ、THE BOHEMIANS、Mr. Freddie & The Mercury devilと東北サーキットを決行。ボーカルのだいち69は青森唯一のロックフェス「AOMORI ROCK FESTIVAL 夏の魔物」を主催。THE WAYBARKも毎年出演を果たしている。2010年7月に自主制作アルバム「マイ・ジェネレイション」、2011年9月には1stアルバム「THE WAYBARK」をリリース。