音楽ナタリー PowerPush - 渡辺美里×WEAVER
世代を超えた“きらめき”対談
来年デビュー30周年を迎える渡辺美里。今年4月にはアニバーサリーイヤーを飾るメモリアルシングル第1弾として大江千里に楽曲提供を受けた「ここから」を発表したが、それに続く第2弾シングル「夢ってどんな色してるの」が完成し、10月29日にリリースされた。本作では3ピースピアノロックバンドWEAVERとのコラボが実現。ボーカル&ピアノの杉本雄治が作曲を、ドラムの河邉徹が作詞を手がけ、メンバー3人がレコーディングにも参加している。
デビュー30周年の渡辺美里とデビュー5周年のWEAVERという世代を超えたコラボレーションはいかにして行われたのか? 2組の対談で紐解いていく。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 藤木裕之
シャイな者同士の出会い
──今回のコラボは、昨夏に開催された野外フェス「情熱大陸 SPECIAL LIVE SUMMER TIME BONANZA '13」での出会いがきっかけだったそうですね。
渡辺美里 はい。私もWEAVERさんも出演していて。
杉本雄治 会場ではご挨拶させていただく程度だったんですけどね。
奥野翔太 憧れの人だから恐縮してて(笑)。ただ、イベント後に打ち上げでゆっくりお話させていただくことができたんですよ。
杉本 うん。打ち上げのとき、美里さんがすぐ横にいらっしゃったんで、これは行くしかないだろうっていうことで。
渡辺 私はね、WEAVERさんたちよりも長いことプロの世界にいるんですけど、そういう打ち上げの場がほんとに不得意で。自分のグラスを持ってシャッシャッといろんな人のところを渡り歩ける方もいますけど、私は最初に与えられた席にずっといるタイプなんです。そんな私のところに勇気ある青年たちが来てくれたんですよ(笑)。
杉本 僕らもそういう場が苦手だから、基本的にはなかなか自分たちから話しかけにいったりはできないんですよ。でも、僕らとしては美里さんとしゃべりたくてしょうがなかったから、緊張しながら「横に座っていいですか?」って(笑)。
渡辺 そんな行動が私の心を開かせてくれたんです。「WEAVERさんって、ええ人やん!」みたいな(笑)。で、そこからはシャイな者同士、探り探りいろんな話をしたんですけど。もちろん「イエーイ!」って感じではなく、ゆったりしたテンションで(笑)。
お互いのライブを観て共感
──フェスの当日、お互いのライブはご覧になったんですか?
渡辺 私は楽屋裏のモニタで観させていただきました。そのときに彼らが自分たちの曲の間奏に私の曲のフレーズを混ぜて演奏してくれていたんですよ。その段階ではまだ挨拶くらいしかしてなかったし、私がライブを観てるかどうかもわからないのに、ですよ。それがすごくうれしかったんですよね。「オシャレなことしてくれるじゃないの!」って(笑)。
奥野 僕らなりにリスペクトの思いを楽曲で表したいなって思ったんです。まさか聴いていただけてるとは思ってなかったので、後で「聴いてたよ」って言われて僕らもすごくうれしかったんですけど。
渡辺 それにね、WEAVERさんが持っているきらめきのある世界観と、私が今までやってきた歌うたびに心がスカッとする空気感みたいなものに、どこか共通項があるような気がしたんですよ。年代は違いますけど、音楽で響き合う部分があったというか。だからすごく心地よく観させていただけて。
杉本 ああ、うれしいです。僕らももちろんライブを観させていただきました。美里さんの音楽は自分の母が好きだったこともあって、僕もちっちゃい頃からずっと聴いてきていて。
渡辺 “母”という言葉が出てきちゃいましたね(笑)。デビュー30周年ってなると、そういうことにもなるんだろうな、とは思うんですけど。だってみんなまだ生まれてないですよね?
河邉徹 そうですね。1988年生まれなので、美里さんがデビューされたちょっと後ですね。
渡辺 恐ろしや!(笑)
杉本 あははは(笑)。で、そのときのライブを観ても思ったんですけど、美里さんの曲にはポップスとしてのエバーグリーンな魅力があるんですよね。僕らもポップソングをものすごく愛しているし、いつまでも色あせない楽曲を作りたいなと思いながら活動しているので、そういう部分には強く共感するところがやっぱりあって。なので、いつかこんな素敵な方に自分たちも楽曲を提供できたらいいなって思ったりしてたんですよ。
渡辺 え! ライブを観ながら、そんなことを思っててくれたんですか?
杉本 思ってました。美里さんに歌ってもらうことが夢になったというか。まさかこんなに早く叶うとは思ってなかったんですけど。
次のページ » 音楽の感受性に年齢は関係ない
- ニューシングル「夢ってどんな色してるの」 / 2014年10月29日発売 / EPICレコードジャパン
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1500円 / ESCL-4303~4
- 通常盤 [CD] / 1000円 / ESCL-4305
CD収録曲
- 夢ってどんな色してるの
- どこにいても
初回限定盤DVD収録内容
- 「夢ってどんな色してるの」ミュージックビデオ
渡辺美里(ワタナベミサト)
1985年5月にシングル「I'm free」でデビュー。翌1986年1月にリリースした4thシングル「My Revolution」が大ヒットを記録する。同年8月には西武ライオンズ球場でのコンサートを実施。女性ソロシンガーとして日本初のスタジアム公演を成功させ、以降20年連続公演を達成した。2006年からは「美里祭り」と題して山中湖や横浜港、熊本城など全国各地で野外コンサートを開催している。2014年4月にデビュー30周年に向けた記念シングル第1弾として、大江千里とコラボしたシングル「ここから」を発表。10月29日にはWEAVERとコラボした「夢ってどんな色してるの」をリリース。2015年5月より、全国47都道府県ライブツアーを実施する。
WEAVER(ウィーバー)
杉本雄治(Vo, Piano)、奥野翔太(B)、河邉徹(Dr)の3人からなる神戸出身のスリーピースピアノバンド。2004年に高校の同級生同士で結成され、2007年に現在の編成に。2009年10月に配信限定シングル「白朝夢」でメジャーデビュー。2010年2月にメジャー1stミニアルバム「Tapestry」を、同年8月と9月に亀田誠治をプロデューサーに迎えたアルバム「新世界創造記」を前編と後編に分けて発表した。その後もコンスタントにリリースとライブを重ねる中、3人とも2014年1月末から半年間のロンドン留学を経験する。6月には初のベストアルバム「ID」をリリースし、9月から10月にかけて、「ID」を引っ提げたツアーを開催した。2015年にライブハウスツアーの開催と、シングルをリリースすることが決定している。