音楽ナタリー PowerPush - 渡辺美里×WEAVER
世代を超えた“きらめき”対談
渡辺美里とそのファンを意識した歌詞
渡辺 あとは歌詞の世界観もこの曲はすごくいいんですよ。ドキッとさせられたし、自分にすごくフィットしたんです。
──作詞は河邉さんですね。
河邉 はい。最初は何を書いたらいいのかすごく迷ったんですけど、昔から聴いていた美里さんの曲を改めて聴き直して自分なりに研究しながら、僕らしさを出しつつ、美里さんが歌うからこそ生きるものっていうのを意識して書いていくことにしました。
──タイトルが示すように、“夢”が1つのテーマになっていますよね。
河邉 30年にもわたって、僕らじゃ想像できないような景色をずっと見てきた美里さんは今、どんなものを見ていて、どんな色の夢を持っているのかなっていう興味があったんです。そこに、もし僕らが幸運にも30年音楽を続けていくことができたら、どんなものを見てるのかな?っていう思いも込めながら歌詞を書いていったんですよね。細かい言い回しや、タイトルなんかに関しては、美里さんや佐橋さんにアドバイスをもらったところもあるんですけど、そういったことができたのはすごくいい経験になりましたね。
渡辺 偶然ではあるんですけど、「My Revolution」にも「BELIEVE」にも“夢”という言葉がたくさん出てきて、そこに共感してくださる方々も多いんです。でも、“夢ってどんな色してるの”っていうフレーズを見たときに、すごくハッとしたんですよ。そんなこと考えたことなかったなって。そこで、私の夢はどんな色なのかなって考えると、いわゆる“夢”というものが持っている甘くてふわふわとしたイメージだけじゃなく、ズキンとくる痛みみたいなものも一緒に浮かんできたんですよね。もちろん聴いてくださる方々によっていろんな受け取り方があると思うけど、私はそういう感情を抱かせてくれるこの歌詞が本当に素敵だなって思ったんです。これは絶対に歌いたいって思ったし、だからこそ、そのフレーズをタイトルにしてもらったんですよね。
──美里さんが歩んできた30年という月日の流れもどこか感じられる歌詞になっていますよね。“カセット”というワードが出てくることで、中学生の頃に美里さんの曲をカセットで聴いていた当時の甘酸っぱい記憶が蘇ってきたりもしましたし。
河邉 あ、そういう気持ちになっていただけたのはうれしいですね。この歌詞はいろんな人に向けて書いてはいるんですけど、美里さんのことをデビュー当時からずっと聴いて一緒に大きくなってきた人に対してどんなことが伝えられるかなって考えていたところもあったので。
渡辺 「“カセット”っていう言葉を歌うのがうまい」って佐橋くんには褒められましたけどね。「そんな評価かい!」みたいな(笑)。でも、そうやっていろんな人のことを考えて歌詞を書けるってすごいですよね。私には“カセット”という言葉が似合うっていう判断も含めて、作家としてプロデュース能力があるっていうことなんでしょうね。
47都道府県ツアー開催
──今回のコラボを通して、デビュー5周年を迎えたばかりのWEAVERは自分たちの25年後が具体的に見えたりはしましたか?
河邉 この5年だけでも本当にいろんなことがあったんで、その6倍の30周年となると……想像はしましたけど、まったくわからないですよね(笑)。
杉本 でも希望はすごく持てました。美里さんのように、30年経っても自分の好きなことを好きでいられて、楽しく活動できている人が実際にいるわけですからね。自分たちもそこに到達したいなって。
奥野 うん。今回のように、30年後に僕たちの音楽を聴いて育ちましたっていう若い子たちと一緒にコラボできたりしたら最高ですからね。それが僕らの未来の1つの大きな夢になりました。
渡辺 そんなふうに言ってもらえると、ほんのちょっと先を行く先輩としてはうれしいですよね。こんな大人にはなりたくないって言われるのは、人に楽しんでいただく仕事をしている人間としては絶対にNGだと思うから。ちょっとは役に立ててるのかな(笑)。
──シングルのカップリングには川村結花さんが詞曲を手がけた「どこにいても」というナンバーも収録されていますね。
渡辺 川村さんもとても才能がある方で、渡辺美里が歌うことをすごく意識した曲を書いてくださるんですよね。愛にあふれた、すごく温かい曲です。WEAVERさんが作ってくれた「夢ってどんな色してるの」も胸がキュンとする曲なんだけど、この曲も違った感じで胸がキュンとするんですよね。なので30周年メモリアルの第2弾はキュンキュンしっぱなしのシングルになりました(笑)。たくさんの人に聴いていただいて、普遍的な2曲になっていったらいいなと思いますね。
──来年5月2日のデビュー記念日まで、アニバーサリーイヤーはまだまだ多くの話題を引っ提げて続いていきますね。
渡辺 まさにこれからですね。11月9日からはミュージカル(「アリス・イン・ワンダーランド」)が始まりますし、クリスマスイブには大阪でディナーショー、来年1月1日には渋谷公会堂でライブがあります。そして来年の春からは47都道府県ツアーを初めてやるんですよ。ライブハウスが中心になると思うんですけど。
杉本 そうなんですか。すごい!
渡辺 どっか観に来てね。共演とかもしてみたいですよね。共演することで、この曲のオリジナルがライブで再現できるわけだから。それも皆さんに聴いてもらいたいですもんね。
杉本・奥野・河邉 ぜひよろしくお願いいたします!
渡辺 じゃ、今度スタジオでリハーサルしましょうか(笑)。
杉本・奥野・河邉 あははは(笑)。ぜひぜひ!
- ニューシングル「夢ってどんな色してるの」 / 2014年10月29日発売 / EPICレコードジャパン
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1500円 / ESCL-4303~4
- 通常盤 [CD] / 1000円 / ESCL-4305
CD収録曲
- 夢ってどんな色してるの
- どこにいても
初回限定盤DVD収録内容
- 「夢ってどんな色してるの」ミュージックビデオ
渡辺美里(ワタナベミサト)
1985年5月にシングル「I'm free」でデビュー。翌1986年1月にリリースした4thシングル「My Revolution」が大ヒットを記録する。同年8月には西武ライオンズ球場でのコンサートを実施。女性ソロシンガーとして日本初のスタジアム公演を成功させ、以降20年連続公演を達成した。2006年からは「美里祭り」と題して山中湖や横浜港、熊本城など全国各地で野外コンサートを開催している。2014年4月にデビュー30周年に向けた記念シングル第1弾として、大江千里とコラボしたシングル「ここから」を発表。10月29日にはWEAVERとコラボした「夢ってどんな色してるの」をリリース。2015年5月より、全国47都道府県ライブツアーを実施する。
WEAVER(ウィーバー)
杉本雄治(Vo, Piano)、奥野翔太(B)、河邉徹(Dr)の3人からなる神戸出身のスリーピースピアノバンド。2004年に高校の同級生同士で結成され、2007年に現在の編成に。2009年10月に配信限定シングル「白朝夢」でメジャーデビュー。2010年2月にメジャー1stミニアルバム「Tapestry」を、同年8月と9月に亀田誠治をプロデューサーに迎えたアルバム「新世界創造記」を前編と後編に分けて発表した。その後もコンスタントにリリースとライブを重ねる中、3人とも2014年1月末から半年間のロンドン留学を経験する。6月には初のベストアルバム「ID」をリリースし、9月から10月にかけて、「ID」を引っ提げたツアーを開催した。2015年にライブハウスツアーの開催と、シングルをリリースすることが決定している。