MONGOL800×WANIMAインタビュー|両思いで影響を与えあう2組の魅力が詰まった「愛彌々」完成 (2/3)

コロナ明けに必要なものは愛

──歌詞はキヨサクさんとKENTAさんの共作ですが、どうやって書き進めていったんですか?

キヨサク 歌詞もKENTAが作った叩き台があって、スタジオに入ってから「こっちのほうがいいんじゃない?」と提案して整えて。

KENTA コロナ明けに必要なものは愛なんじゃないかと思ったので、それを5人で伝えたいなと思いました。そこで、「キヨサクさんだったらこう歌うかな?」とイメージしながら作って、僕がベースを弾いているときはキヨサクさんが歌って、キヨサクさんがベースを弾いているときは僕が歌ってという役割もしっかり決めていった結果、モンパチとWANIMAのより一層の愛が詰まった内容になったと思います。

──不思議ですよね、ちゃんとどっちのバンドの曲にも聞こえるし。

KENTA モンパチもWANIMAも島育ち。僕とKO-SHINは熊本の天草、モンパチのお二人は沖縄、FUJIくんは……日本という島で(笑)。

FUJI デカい! じゃあ全員日本でいい(笑)。

KENTA (笑)。そういう島国育ちの5人による、ここでしか味わえない音楽やリズム感だと思います。

キヨサク サウンド以外にも、島育ちならではの空気感まで詰め込まれているような。

KENTA そう。だから、この曲を聴くと日本人みんなが懐かしいと感じるんじゃないかな。この曲を通して、その芯の部分が届いたらいいなと思います。

──この曲が2022年に届けられるというのが、個人的にはグッとくるポイントだと思いました。今回のスプリットEPではお互いに楽曲提供をしていますが、WANIMAがモンパチに提供した「てぃんがーら」はどういうイメージで作ったんですか?

KENTA 「てぃんがーら」は沖縄弁で天の川という意味で、WANIMAはこれまで恋愛の曲を歌ってこなかった。この歳になってどんどん歌っていきたいなと思ったときに、キヨサクさんの声で、サッシさんが叩くドラムで甘酸っぱい恋愛の曲を歌ってほしいなという思いから、まずWANIMAの3人で作ってキヨサクさんにお投げしました。

キヨサク シンプルにいい歌という印象を受けましたし、最初はタイトルが付いていなかったんですけど、「てぃんがーら」というのはいい着地点だなと思いました。二人称で進行する甘酸っぱい歌詞なんですけど、そういう歌がこれまでWANIMAになかったのがちょっと意外で。せっかくいい歌なので、まず俺らを使って試してもらいつつ、あとでWANIMAも歌ったほうがいいんじゃないかな。たぶん、お客さん喜ぶと思うし。

MONGOL800

MONGOL800

KENTA この曲は本当に僕にとって、恋愛の曲を書くうえで前を向けた曲でもあったので、そういう曲をお二人がこうやってパワーアップさせてくれて、改めてモンパチの本気を感じました。僕はモンパチに「てぃんがーら」のミュージックビデオを作ってほしい。

高里 俺ら2人だけで?

キヨサク そこはもう、今をときめく女優さんに出てもらって。

KENTA 誰がいいですかねえ。先日テレビ番組でこの曲の説明をしたときに、森高千里さんが「わあ、素敵!」と言ってくださったので、森高さん出ていただけないかな(笑)。

キヨサク (笑)。でも、ちゃんとストーリー仕立てにすればハマると思うよね。

WANIMA感と沖縄感の融合

──モンパチからWANIMAには「LAST PARADISE」を書き下ろしています。

キヨサク リード曲としてコラボ色の強い「愛彌々」があるので、自分から渡すものはいい意味でわかりやすく、シンプルでストレートなバンドサウンドにして、それをWANIMAがどう料理するのかを楽しみにしていました。あと、「モンパチとやる=沖縄のエッセンスを自分たちも背負って歌いたい」というKENTAからのリクエストもあったから、「LAST PARADISE」=沖縄というイメージのもと、WANIMAが歌っても沖縄ならではな言葉がきれいに響くようにというのは少し心がけて。なので、前半の歌詞は渡すタイミングで追加したものなんです。

KENTA 沖縄のことを僕らが歌う、しかもモンパチから曲をいただいてとなると、沖縄の花とか地名を入れてほしくて。最初にデモを送ってもらった段階から、広大なスタジアムでみんなが歌っているイメージが湧いたし、そこにサーッと吹き抜ける風もイメージできた。かつ、アイリッシュパンクみたいな雰囲気もあったので、軽快に歌えたらいいなと思っていました。ただ、いただいたデモのよさを損いたくなくて、最初は一旦3人で忠実にコピーして、そのあとに3人で出せる音にこだわって完成させていきました。

FUJI サウンド面に関しては、この楽曲のカラーに合わせて「自分だったらどうするか?」というのを少し足したぐらいで。早い段階でできあがっていたと思います。

KO-SHIN 最初に聴いたときから沖縄感もすごくあったんですけど、不思議とWANIMA感もしっかり備わっていて。なので、そこまでアレンジにこだわるのではなく、WANIMAなりに演奏したらすんなりこの感じにまとまりました。爽快さの中にも哀愁感があって、シンプルでありつついろいろ凝縮されている曲だなという印象です。

──さらに、スプリットEPにはお互いの既存楽曲のカバーも収められています。WANIMAが「rainbow」を選んでいますが、その理由は?

KENTA 過去に僕らはいろいろなモンパチの曲をコピーしてきたので、今回のスプリットEPのためにどの曲をカバーするか相談したときに、候補曲の中に「rainbow」が入っていて。僕自身すごく思い入れの強い曲で、以前僕ら3人が行き詰まってスタジオにこもっていた時期に、ちょうど「rainbow」のMVが公開されたんです。すごくシンプルで誰が聴いても間違いなく届く歌やなと思い、すぐにキヨサクさんに「すごくいい曲、ありがとうございます!」と連絡したことがあったんです。それを思い出し、今回3人で出す音にこだわりながらカバーさせてもらいました。

WANIMA

WANIMA

KO-SHIN 土台というか、元からすごくいい曲なので、そこを崩さずにWANIMAとして表現するためにどうするかと考えたんですけど、実際に3人でやってみるとすんなりこの形にたどり着きました。録ってみると、不思議とWANIMAの曲になりましたね。

FUJI 原曲がすごく優しいサウンドで、これをWANIMAがカバーしたらどういうサウンドになるんだろう?といろいろ想像しながら準備していたんですが、2人(KENTA、KO-SHIN)がもとになるアレンジを作ってくれて。かなり力強いロックサウンドだったので、自分もバラードとは真逆の音作りで臨みました。そういう意味では曲の色味をすごく重視した、WANIMAなりの「rainbow」の表現ができたかなと思います。