音楽ナタリー Power Push - 和島あみ×金廣真悟(グッドモーニングアメリカ)

「人生はやり直さなくていい」バンドマンから17歳シンガーへの贈り物

「ホリプロ×ポニーキャニオン 次世代アニソンシンガーオーディション」のグランプリに輝いた北海道・倶知安町出身の17歳シンガー・和島あみが、メジャーデビューシングル「幻想ドライブ」をリリースする。

表題曲「幻想ドライブ」は、現在放送中のアニメ「迷家-マヨイガ-」のオープニング主題歌としてオンエアされているナンバー。作曲を金廣真悟(グッドモーニングアメリカ)、作詞を東京かくれんぼ、編曲をebaが担当している。音楽ナタリーでは和島のメジャーデビューを記念して、彼女と金廣の対談をセッティング。シングル制作にまつわるトークのほか、現役の高校生である和島が金廣にどんな高校生活を送っていたか質問するなど、2人はさまざまな話題を語り合った。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 小坂茂雄

最初にハマったのは「けいおん!」

──和島さんはアニソンシンガーに憧れて「ホリプロ×ポニーキャニオン 次世代アニソンシンガーオーディション」に応募したわけですが、どういうアニメがお好きなんですか?

左から、金廣真悟、和島あみ。

和島あみ 最初にハマったアニメが「けいおん!」なんです。確か小学校6年生のときです。

金廣真悟 え、「けいおん!」が放送されていたときはまだ小学生!?

和島 はい。「けいおん!」をきっかけにいろんなアニメを観るようになってだんだん自分の好みがわかってきたのですが、私は女の子がたくさんいて、男の子が1人だけっていう設定のアニメが好きみたいで。

金廣 男子が喜びそうな設定だけど、女の子でもそういうアニメにハマるんですね。

和島 いろいろな視点で楽しめるんですよ。男の子目線で「女の子がいっぱいでうらやましい」とも思うし、男の子が照れてるところを見て「カワイイな」とも思うし。

──金廣さんはどんなアニメが好きですか?

金廣 僕は「カウボーイビバップ」とか「ルパン」の1stシーズンとか、そういうハードボイルドっぽい感じの雰囲気のアニメが好きなんですよね。あとは「ふしぎの海のナディア」みたいなファンタジーも。でも最近「日常」をアニメで観てから「こういう雰囲気のアニメも悪くないぞ」って思うようになっちゃいましたね(笑)。

──和島さんがアニメを観ていく中で感じるアニソンの魅力ってどういうところですか?

和島 アニメを観ているとアニソンの歌詞とキャラクターの気持ちがハマるときがあって。だいたい7話か8話にそういう瞬間が訪れるんです。アニソンってそれ単体でも魅力的ですが、作品としっかりリンクした曲に出会うと特別な思い入れを持ってその曲と接することができるなって。

金廣 確かにあとからストーリーを示唆する歌詞に気付いたときとか、すごくテンションが上がりますね。あと、僕が好きなのはアニメの本編にエンディングテーマがクロスフェードで入ってくる感じ。「機動戦士ガンダムSEED」なんかはその演出がけっこうドンピシャで鳥肌が立つことがありました。

グドモ第2章の始まりのタイミングに

──和島さんのメジャーデビュー曲「幻想ドライブ」は、金廣さんにとって初めての提供曲と伺っています。なぜこのタイミングで楽曲提供を?

和島あみ

金廣 実はこれまで提供曲のオファーを全部断ってたんですよね。でもこのお話をいただいたのがちょうど去年の11月頃で、なんかいろんなことをやってみたいなと思ってた時期で。自分に与えられたチャンスなんじゃないかと思って、書いてみることにしたんです。

──ちょうどグッドモーニングアメリカが東京・日本武道館でワンマンライブを実施した頃ですね(参照:大仁田厚とファイヤーも!グッドモーニングアメリカ、夢の武道館に立つ)。

金廣 そうそう。ちょうど時期的にもよかったんですよ。武道館でのライブがバンドにとって “第1章の終わり”というか、一区切りだと思っていて。ここから第2章だってタイミングだったし、武道館のライブ後に少し時間があって、今回の曲の制作は自分での中でもリフレッシュしながら取り組めたこともあっていい楽曲が書けたなと思ってます。

──和島さんが「幻想ドライブ」を初めて聴いたときの印象はどういうものでしたか?

和島 すごく好みの曲だ!って興奮しました。「幻想ドライブ」のデモを聴いたのは、私がオーディションでグランプリに決まった直後だったんですけど、聴きながらアニメのオープニング映像が浮かんでくるような疾走感があって。妄想が膨らみました。

金廣 僕はこの曲に対して不思議な気持ちを抱いているんですよね。自分が書いた曲に違う人の歌詞が乗ることも初めてだし、まだ慣れてなくて。

──金廣さんは和島さんの歌が入った「幻想ドライブ」を聴いてどう思いましたか?

金廣 歌はドンピシャでした。最初に違う人が歌った仮歌の音源も聴かせてもらってたんですけど、和島さんの声のほうが曲に合ってたんです。すごくフィットしてたからうれしかったですね。

──金廣さんは、和島さんのシンガーとしての魅力はどんなところにあると思いますか?

金廣真悟

金廣 やっぱり声だと思います。僕は和島さんのこれまでの生い立ちとか「人と接するのが苦手だ」みたいなことも把握してたんですけど、ちゃんと声とか歌い方にそのバックボーンが出てることに驚いて。すごくいいシンガーだなって思ったし、僕が書いた曲にも合ってるなと思いました。

和島 私はもともと自分の声が嫌だった時期があったんです。周りの人より低いこととか。でも今は私の歌を褒めてくれる人がいて、歌に出会えてよかったなって思えるようになったんです。

金廣 すごくいい声だよ。声は持って生まれたものだし、そこはポジティブにとらえていいと思う。

メジャーデビューシングル「幻想ドライブ」 / 2015年5月3日発売 / ポニーキャニオン
初回限定盤 [CD+DVD] / 1800円 / PCCG-01517
通常盤 [CD] / 1350円 / PCCG-70315
期間生産限定アニメジャケット盤 [CD+DVD] 1800円 / PCCG-01516
CD収録曲
  1. 幻想ドライブ
  2. キミへ
  3. 幻想ドライブ(Instrumental)
  4. キミへ(Instrumental)
DVD(初回限定盤)
  • 「幻想ドライブ」ミュージックビデオ
DVD(期間限定アニメジャケット盤)
  • アニメ「迷家-マヨイガ-」ノンクレジットオープニング映像
和島あみ(ワジマアミ)

和島あみ

北海道・倶知安出身のシンガー。2016年に実施されたオーディション「ホリプロ×ポニーキャニオン 次世代アニソンシンガーオーディション」で、応募総数10041名の中からグランプリを獲得した。同年5月、アニメ「迷家-マヨイガ-」のオープニング主題歌「幻想ドライブ」をシングルリリースし、メジャーデビューを果たす。

グッドモーニングアメリカ

グッドモーニングアメリカ

金廣真悟(Vo, G)、渡邊幸一(G, Cho)、たなしん(B, Cho)、ペギ(Dr, Cho)からなる4人組バンド。2001年に前身バンドfor better, for worseを結成し、2007年より現在のバンド名に変更。for better, for worse時代は英語詞だったが、バンド名変更を機に日本語詞へと切り替え、サウンドもよりポップさを増す方向へ転換した。2008年より現在の編成で活動を開始し、自主企画の開催や作品のリリースを積極的に行う。2012年冬には初のワンマンツアーを成功に収め、2013年5月に1stフルアルバム「未来へのスパイラル」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2014年5月にはテレビアニメ「ドラゴンボール改」のエンディングテーマに採用された「拝啓、ツラツストラ」をシングルとしてリリースした。同年10月に2ndフルアルバム「inトーキョーシティ」を発表し、2015年8月にテレビアニメ「ドラゴンボール超(スーパー)」のエンディングテーマ「ハローハローハロー」をシングルリリース。今作よりコロムビア内のロックレーベル・TRIADに移籍した。10月には3rdフルアルバム「グッドモーニングアメリカ」を発表。11月に初の東京・日本武道館単独公演を行った。