登場人物30人が人生をやり直す

──この取材をさせていただいている時点でアニメ「迷家-マヨイガ-」は、まだ1話が放送されたばかりです。お二人ともオンエアはご覧になりましたか？

和島　もちろんです！

金廣　僕も見ました。1話のバスの中で登場人物たちが合唱する歌がめっちゃ気になってるんですよね。

和島　「運の悪いヒポポタマス」って題名の歌ですよね。とっても悲惨な歌詞の。

金廣　そう。なんか楽し気な雰囲気で歌ってたけど、絶対にストーリーにもつながってくるなと思ってワクワクしてます。

──オープニング主題歌を書く段階で、金廣さんはアニメのストーリーや設定をどの程度知らされていたんですか？

金廣　それが意外と知らされていないんです。最初はアニメの題名だって、まだ決まってない段階でした。

──楽曲制作にあたっては、どのようなオファーがあったんですか？

金廣　最初に「オーディションのグランプリを獲った方のデビュー曲です」という枠組みを知らされていて。それとこの曲はアニメのオープニング主題歌になるので、ざっくりとしたアニメの設定と曲の雰囲気や構成の指定がありました。

和島　私はレコーディング前にシナリオを読ませていただきました。なのでアニメのシナリオもある程度把握したうえで、どうやって歌うかいろいろ考えてレコーディングに臨んでいます。

金廣　1話の時点ではこのあとどういう展開にもなり得るな、と思ったんだけど、これから先どうなるのかな？

和島　「迷家-マヨイガ-」の登場人物は人生をやり直したくなった人たちなんですけど、これから先のストーリーはそれぞれ1人ひとりが「なぜ人生をやり直したくなったのか」というところに向き合っていくというか……。

金廣　なるほどね。

和島　自分に向き合える子もいれば、向き合えない子もいるかもしれないんですけど。すごく考えさせられる内容だし、これからどんどん面白くなっていくと思います。

金廣　アニメの主要キャラが30人もいて全然覚えられていないんだけど、いろんなエピソードが飛び出してきそうで楽しみですね。

「やり直さなくてよかった」って思う日が来る

──先ほどレーベルのスタッフさんに、アニメのストーリーと、「幻想ドライブ」の歌詞と、和島さんのこれまでの生い立ちが偶然にもリンクしているという話を伺いまして。

和島　私はまだ17年生きてるだけなんですけど、人生をやり直したいって思うことが何回もあって。自分の声にコンプレックスを持っていたし、中学生のときは引きこもりだったこともありますし。だから最初にアニメの資料をもらったとき、アニメの登場人物たちと自分が重なって見えて、こんなことあるんだって驚きました。

──「幻想ドライブ」の歌詞は「未来があるから」という一節で終わっています。和島さん自身がメジャーデビューという夢を叶えたように、前向きなメッセージが込められた楽曲ですよね。

和島　今回オーディションに受かって、生きててよかったなって思うし、どんな人にも未来があるんだって思えたんです。それでデビュー曲としていただいた「幻想ドライブ」の歌詞には、私が思っていることが言葉になっている感覚があって。

金廣　きっといつか「やり直さなくてよかった」って思うときが来ると思うんですよね。挫折とか、コンプレックスがあったから今の自分があるって気付くと思うし、ネガティブなことも全部自分の財産になるから。