バンドマンの17歳とシンガーの17歳

和島　金廣さんのような大人になるにはどんな高校生活を過ごせばいいんですか？

金廣　高校生の頃かあ。僕、中学2年のときにバンドを始めたんだけど、高校に入ってからは吹奏楽部に入って部活の練習に励んでたんですよね。それである日、高校の3年間が吹奏楽で終わっちゃいそうな気がして「バンドやりたいから部活辞めます」って顧問の先生に言ったのが高校2年生のとき。その先生に「夢を追っても叶うとは限らない」みたいなことを言われて「絶対バンドマンになってやるぞ」って思ったんです。

和島　そのときから曲は書いていたんですか？

金廣　曲は中2からずっと書いてましたね。もともと曲が作りたくてギターを弾きながら歌ってましたから。

和島　どんなことを考えて17歳を過ごしていたんですか？

金廣　「バンドをやりたい」って気持ちはあったけど、それ以外はホントに普通の高校生だったと思います。確か携帯電話を持ち始めたばっかりの頃で、僕は男子校に通っていたから彼女を作りたくてしょうがなかった（笑）。とにかく楽しく過ごしていたんですよね。高校2、3年の頃は。特に悩みもなかったし。

──バンド活動をする中で「将来音楽でメシを食っていこう」といった思いはあったんですか？

金廣　なかったですね。ただ先生にムカついたから絶対叶えてやるぞとは思ってたんですけど、それは衝動に近い感情でしたから。なので当時は「バンドマンになるために、こういうことをしていこう」みたいなビジョンとか、計算も一切なかったんです。

和島　もともと私は学校が嫌いだったんですけど、4月に東京に引っ越して来て、こっちの学校に入ったら、環境が変わったからか楽しいって思えてきて。

金廣　好きな授業は？

和島　国語です（笑）。作文を書くのが好きで。

金廣　じゃあそのうち歌詞とかも書けるようになるといいですね。

和島　挑戦できるなら歌詞も書いてみたいと思ってるんですけど、今は何も知識がない状態ですからいろいろと不安で。音楽を仕事にするにしても、基礎的な学力は最低限いるんじゃないかなって思うので、勉強もしっかりしようと思ってます。

金廣　すごくいいことだと思うよ。

和島　金廣さんの書く詞は、普通に生きてて遭遇する日常がすごく上手に切り取られてるなって思うんです。だから共感しやすいのかなって。どんなことを考えながら歌詞を書くんですか？

金廣　いろいろありますけど、例えば今日電車に乗ってたら隣に立ってた人が「日本人は米を食べろ」ってずっと言ってて。僕はそういう出来事があったら周りの人の反応を見て、僕が感じたことを歌詞にしたりするんですよね。日常で「ハッ」と何かに気付く瞬間とか、自分が深層心理にあったことが日常の何かとリンクする瞬間とかがあるから。歌詞もやっぱり縁みたいなものだと僕は思うんです。その縁をつかめるかつかめないかは自分次第なんだけど、僕はちょっとした日常の出会いも大事にしたいって思っていて。

和島　こういう大人になりたいです。

金廣　あははは。僕よりもっとしっかりした大人はたくさんいるよ（笑）。

──これからメジャーデビューを果たす和島さんに向けて、金廣さんから何かアドバイスはありますか？

金廣　うーん、そうですね……。和島さんは高校生だけどすでに仕事もしなきゃいけなくて、きっと僕が過ごしてきた高校生活とは全然違う毎日を過ごすことになると思うけど、やりたいことをなんでもやってほしいですね。友達との交友関係や勉強をおろそかにせず、仕事もやるのってきっと大変だけど、高校の頃の思い出とか友達とかが一生の財産にもなったりするから。

和島　がんばります！

金廣　もしやりたいことが音楽にかかわることだったら、なんでも周りの大人に頼っていいから。例えば鼻歌を録音して「これをもとに曲を作ってください」って言ったら、やってくれると思うし（笑）。和島さんは1万人のうちの1位に選ばれた実力と才能を持ってると思うから、これからどうなっていくのかすごく楽しみです。だから自分がやりたいことを大切にして、これからも突き進んでほしいですね。