バレーボウイズ|親父の思い出を歌に変えて

歌詞は親父の武勇伝から

──バレーボウイズは歌謡曲テイストの楽曲が特徴ですよね。なぜこういうテイストの楽曲をやっているんでしょうか?

ネギ 聞かれると思って考えてみたんですけど、僕の両親の影響かなと思います。僕は嵐の曲がすごく好きで、嵐の曲っておかんが昔聴いていたアーティストが作詞作曲していることが多いんですよ。だからメロディラインは間接的におかんの影響かなって。歌詞は親父の青春時代の話が元になっています。

──青春時代の話というのは?

左からネギ(Vo, G)、前田流星(Vo)。

ネギ 親父は僕に青臭くてカッコいいのに誰も見てない武勇伝を聞かせてくれるんですよ。例えば、学祭がこのまま終わったら面白くないと思って、勝手に放送室に忍び込んで、内側から鍵をかけて「今からフォークダンスをします」ってアナウンスをして曲を流したとか。そんで本当にみんな校庭でフォークダンスを踊り出して、親父は1人でそれを放送室から見てたらしくて。みんなからしたら誰がそれを仕掛けたかもわからんままなわけですよ。そんな武勇伝を親父が俺に話したから、今は俺と親父の2人だけがその事実を知っているんですけど。親父はそういう話をすごく誇らしげに話してくれるから、その気持ちの行き場はここなんじゃないかって思って、歌詞にしています。

──それ、お父さんも知ってるんですか?

ネギ 知らないと思います(笑)。ライブも学祭に来たっきりやし。

流星 なんかいい話やな。そうやったんや。

──もともとネギさんはこういう懐かしいサウンドの楽曲を作るのが得意だったんですか?

ネギ いや、僕はいろんなテイストの曲を作っていて、全部をバレーボウイズでやってるわけじゃないんですよ。バレーボウイズに使う曲がこういう感じっていうだけで。僕がいろんな曲を持ってきて、その中でみんながやりたいと思うのがこういう曲なんです。なんと言うか、親父のバイブス的なものにハマるのがこういう曲なんでしょうね。最近の僕は「もし親父だったらこうするだろうな」って思うような行動を無意識のうちに取ってしまってるんですよ。バレーボウイズのメンバーも「親父と波長が合うやろうな」っていうメンバーを自然に集めていて。実際に会わせたことはないけど(笑)。

流星 たくさんあるネギちゃんの曲の中から、バレーボウイズっぽいと思うものを選んでいたはずやったのにネギちゃんの親父らしい曲を自然と選んでいたのかもな(笑)。

ネバヤンを見ていて「懐かしい感じの曲がイケそう」と気付いた

──今の話で言うと、ネギさんのお父さんっぽさがバレーボウイズらしさなのかなと思うんですが、自分たちで「バレーボウイズと言えばこういう音楽だ」っていうのがわかってきたのはいつ頃なんですか?

ネギ うーん、「TOKYO BIG UP!」に出るタイミングで、新しい曲をやろうってなって、選んだ曲からかなあ。僕は曲を作っているだけで、バレーボウイズらしさを作ってくれているのはほかのメンバーなんでわからないんですけど。

──歌謡曲っぽい曲で道を切り開いていった最近のアーティストだとnever young beachやYogee New Waves、台風クラブなんかが挙げられると思うんですが、それについてはどう思っていますか?

ネギ 正直に話すと、ネバヤンとか、いわゆる“現代のシティポップ”として人気を集めているバンドが出てきたときに「うわ、めっちゃカッコいい!」と思って、それに引っ張られた感じはある気がします。いろんなジャンルの曲をストックしている中に、歌謡曲っぽいものもあって、彼らの姿を見て「懐かしい感じの曲がイケそう」って思えたんですよね。今回のアルバムで言うと「アイドル」みたいな曲が今の時代に刺さるのかもって。でもバレーボウイズほど歌謡曲に寄せて合唱しているバンドはいなかったから、これでやってみようと思いました。

──流星さんはもともとこういうテイストの曲は好きだった?

左から前田流星(Vo)、ネギ(Vo, G)。

流星 ネギちゃんの弾き語りが好きでよく観に行っていたんですよ。僕が開催したイベントに出てもらうこともあったし。なんかネギちゃんは聴いていて“歌いたくなる歌”を歌ってるんですよね。そこが好きでした。僕はTHE BLUE HEARTS、忌野清志郎さん、浅川マキさんが好きですね。洋楽だとRed hot chili peppersが特に好きです。

ネギ 流星は洋楽も詳しいよな。海外のインディーにも詳しいし。アンテナ張ってるよなあ。

流星 なんか気になって調べちゃうんですよ。最近は浅川マキを知って感激したんですけど、もう亡くなってました。

──ネギさんのルーツとしては何を聴いてきたんですか?

ネギ 自分らの周りのバンドももちろん好きなんですけど、有名どころで言うとCHAGE and ASKA、スピッツ、尾崎豊、浜田省吾、嵐、ZARDとかが好きです。一番好きなのはチャゲアスで、ステージ上でのパフォーマンスも最高なんですよ。ASKAがめちゃくちゃカッコよくてCHAGEが飛んだり跳ねたりしてるみたいな! でもCHAGEのハモりがすごくキレイでいい仕事をしてるのにみんなASKAを見てるみたいな。あの絵が好きでしたね。

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滾ったバンドが好き

バレーボウイズ「バレーボウイズ」
2017年11月8日発売 / Octave
バレーボウイズ「バレーボウイズ」

[CD]
2160円 / OTCD-6244

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収録曲
  1. アイドル
  2. きんいろかがやく
  3. 卒業(album ver.)
  4. シアワセ
  5. 真夜中のレコォド
  6. ビーチバレイ
  7. 7月の嘘
  8. マツリ(アコースティック)

ライブ情報

バレーボウイズクラブ×HOLIDAY! RECORDS Presents「ブルーハワイ」
  • 2017年12月24日(日)京都府 京都VOXhall / 十八番 / 和音堂
    OPEN 12:30 / START 13:00
    出演者
    バレーボウイズ / THE FULL TEENZ / SUPER SHANGHAI BAND / てら / ARSKN / AFRICA / Acidclank / Crispy Camera Club / unizzz... / Lucle,Too / 浪漫革命 / and more
    出店:HOLIDAY! RECORDS / カレーボウイズクラブ
バレーボウイズ
バレーボウイズ
前田流星(Vo)とネギ(Vo, G)を中心に結成された男女混声7人組バンド。メンバー全員が京都府京都市左京区民で、京都精華大学の在学生や卒業生。昭和歌謡テイストなメロディといなたい歌詞、哀愁を帯びたギターサウンド、複数人で歌う“合唱”のスタイルが特徴で、京都精華大学の学園祭「木野祭」出演のために2015年に結成され、2016年に現体制となる。2017年にavex、DUM-DUM LLP、HOT STUFF、lute、ULTRA-VYBEがタッグを組んで行ったライブオーディション「TOKYO BIG UP!」でグランプリを獲得。同年夏には「FUJI ROCK FESTIVAL 2017」にROOKIE A GO-GO枠で初出演を果たした。2017年11月に1stアルバム「バレーボウイズ」をリリース。これを記念して12月24日に京都・三条の京都VOXhall、十八番、和音堂にて、サーキットイベント「ブルーハワイ」をHOLIDAY! RECORDSとタッグを組んで開催する。