VivaOla「Juliet is the moon」特集|1stフルアルバムで紡ぐ1つの物語(フィクション)“韓国生まれ、東京育ち”共通のルーツを持つYonYonとのクロストーク

韓国生まれ、東京育ちのR&Bシンガーソングライター / プロデューサー・VivaOlaが9月1日に1stフルアルバム「Juliet is the moon」をリリースした。

「Juliet is the moon」は、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」を題材に制作された1枚。収録曲10曲を通して、1つのストーリーを紡いでいく作品となっている。またアルバムにはフィーチャリングゲストとしてZIN、YonYon、Sagiri Sól、プロデューサーとしてnonomi、KRICK、starRoといった面々が参加している。

音楽ナタリーでは、アルバム収録曲のうち「Love you bad」でコラボしたVivaOlaとYonYonにインタビュー。ともに韓国生まれ、東京育ちというルーツを持つ2人にお互いの印象や楽曲制作の背景を語ってもらった。また、特集の後半にはVivaOlaが「Juliet is the moon」について語る単独インタビューも掲載する。

取材・文 / 天野史彬撮影 / 森好弘

VivaOla×YonYon インタビュー

共通のルーツを持つ2人

──まずはお二人の関係性から教えていただけますか?

VivaOla

VivaOla 昔からの知り合いというわけではなくて。「Love you bad」は女性ボーカルに歌ってもらいたいと思って、マネージャーに何名か候補を挙げてもらった中にYonYonさんの名前があったんです。SIRUPさんとのコラボ曲「Mirror」もよく聴いていたので、気になって連絡を取ってもらい歌っていただくことになりました。

YonYon ありがとうございます(笑)。

VivaOla 今年出た「The Light, The Water」(YonYonが3月にリリースした初の音源集)も好きで聴いていたんです。

YonYon VivaOlaくんとの共演は今回が初めてだったんですけど、同じルーツを持っているアーティストの方と一緒にやってみたいと思い、参加することにしました。最近、日本語と韓国語を織り交ぜて歌う方が増えてきていて、いろいろと音源をチェックしていた時期にお声がかかったので、流れがよかったなと思います。こうやって人を引き寄せるんだなって。

──YonYonさんはこれまでの活動を通してさまざまな人とつながってきた印象がありますが、そこに「流れ」というのは感じるものですか?

YonYon

YonYon すごく感じます。私はどんなことも口にすれば実現すると思っていて。できる・できないは置いておいて、とりあえずやりたいことを人に言いまくるってことを普段からやっているんです。例えば「The Link」という日本と韓国をつなぐ音楽プロジェクトを以前やっていたんですが、最初からそのプロジェクトをやりたかったというより、「日本と韓国のアーティストをかけ合わせて面白いことができないかな」といろんな人に相談していたら、賛同してくれる人が集まって実現したんです。やっぱり「人は寄り添って人」なので、そういう関係性は大事にしたいですね。

VivaOla 初めて直接お会いしたのはレコーディングのときだったんですけど、そこでお互いのルーツの話になったんです。僕とYonYonさんは、バックグラウンドがすごく似ていてつながりを感じました。

YonYon レコーディングって雰囲気がとても大事なんですけど、どうしても初対面だと緊張することが多くて。雑談しているうちに学生時代の話になったんです。VivaOlaくんは日本でインターナショナルスクール、私は韓国学校に通っていて。学校で韓国人の友達と会話するときって、3カ国語を使うんですよ。英語と日本語と韓国語を1文に全部混ぜる、みたいな。「そんなことあったよね」みたいな会話を通して、自然と緊張がほぐれていきました。

VivaOla 僕は音楽を仕事としてやっていく中で、そういう人間関係をあんまり期待していなかったんです。音楽家同士、一番わかりやすいのは「あのジャンルが好きなんだ」「あのアーティストが好きなんだ」みたいな音楽への愛だなと思っていたんですけど、YonYonさんとはそれを超えた純度の高い話ができた。だからこそ、レコーディングはお互いにストイックにぶつかり合えたのかもしれないです。

YonYon 本当にストイックだったよね(笑)。お互いに譲れないものがあるからぶつかりまくって。VivaOlaくんはこだわりポイントがたくさんあって、例えば息遣い1つとっても「ああ、こういう見方があるんだな」と発見することが多かったです。特に、シンガーとして重要視すべきポイントを勉強させてもらいました。予想以上にレコーディングに時間がかかってしまったんですけど、いろいろな歌い方をトライできて楽しかったです。

VivaOla レコーディング後のごはんがおいしかったですね(笑)。

YonYon ね(笑)。タイ料理、いっぱい食べちゃって。

YonYonが「Juliet is the moon」を聴いて感じたこと

──「Juliet is the moon」は全10曲を通して1つの物語を綴るコンセプトアルバムで、その中の1曲「Love you bad」にYonYonさんが参加されたわけですが、YonYonさんのパートのリリックに関しては、どのように書かれたんですか?

YonYon

YonYon 最初にオファーを受けたときに、「Love you bad」というタイトルと、VivaOlaくんのパートの歌詞が送られてきました。男女のラブストーリーで出会って間もなく好きすぎてピークになる時期……言うなれば、倦怠期になる前の段階を書いた曲だとのことで、最初はそこを自分なりに汲み取って歌詞を書いていきました。でも、その段階ではアルバム全体の流れまではイメージできていなかったせいか、なんとなく歌詞に違和感を感じてしまって。後日、VivaOlaくんから「実はこのアルバムは、男女が出会ってから別れるまでの人生の一連の流れを書こうと思っているんです」と教えてもらって。そこでほかの収録曲の歌詞を全部送ってもらって、一通りチェックをしてから自分のパートを一部書き直したことで、納得のいく歌詞に仕上がりました。

──YonYonさんは、「Juliet is the moon」というアルバムの物語の全体像を見たときに、どんな印象を受けましたか?

YonYon うーん……「生涯、人生を共に生きていきたい」と思えるような運命の人に出会うまでの過程には、出会いと別れがずっとあるじゃないですか。アルバムのあとがきに「あなたが愛するのは、月ですか? 太陽ですか?」という言葉がありますけど、自分にとっての「太陽的な人」を見極められるようになるまでの成長の物語なんだと思っています。