ジュディマリが好きな人にも響くカバーになればいいな

──アルバムではもう1曲、ジュディマリのカバー「LOVER SOUL」を佐久間さんがプロデュースしています。この曲を選んだ理由は？

星花　今回はカバー曲にも挑戦してみようかって最初に決めたとき、「佐久間さんにプロデュースしていただけるんなら、ジュディマリじゃない？」って話になって。この曲を選んだのは、究極の愛の歌だなって思っていたから。私の中で「LOVER SOUL」は冬の曲のイメージが強かったし、リリースタイミングにもピッタリだと思ったし。

──佐久間さんにこの曲をカバーすると伝えたとき、どういう反応でした？

星花　「また難しいの選んだね」って。

川合　「よりによってこれか！」みたいな。

星花　ジュディマリの「LOVER SOUL」をプロデュースしていた佐久間さんが、私たちのカバーでもプロデューサーで、同じ曲を2度佐久間さんがプロデュースしてるっていうのが面白ポイントの1つかなって（笑）。

──ジュディマリと同じバンド編成で同じ北海道出身、しかも同じく佐久間さんプロデュースということで、比較されることは絶対に避けられないと思うんです。そこは気にならなかった？

星花　全く。むしろ、この曲をカバーすることでSavannaというバンドがわかりやすくなるのかなって思いました。このバンド編成でやってる以上そこは意識せざるを得ない部分だし、私たちの目指してるところってジュディマリみたいなバンドだし、むしろジュディマリを追い越してもっとカッコいいバンドになりたいって強く思ってたし。ジュディマリが好きな人は今でもたくさんいると思うんですけど、そういう人たちにも響くカバーになればいいなっていう思いを込めてます。あとはぶっちゃけ話題になるかなって（笑）。ちょっと面白くないですか？ ジュディマリっぽいって言われてるバンドが本当にジュディマリをカバーしたら。

──アレンジはほかのオリジナル曲と同じく、非常にシンプルですね。

川合　最初はいろいろ悩んで、なかなか決められなかったんです。でも、佐久間さんと相談して基本的には原曲どおりで勝負するっていう方向性が決まって。その中でちょっとだけアプローチを変えていくことになったんです。

星花　原曲が完璧すぎて手のつけようがないですもんね。カバーしようとして、初めて佐久間さんが言ってた「難しいの選んだね」って言葉の本当の意味がわかりました。だから、あえてシンプルにすることで私たちらしさが出せたと思うし、結果オーライでしたね。

どの曲もキラキラしてるのに泥臭さが感じられる

──佐久間さんがかかわった曲以外では、Savannaがセルフプロデュースに挑戦しています。今回どの曲にも言えることなんですが、音数が少なくてシンプルなのにキラキラしたサウンドになっていると思いました。

星花　今までだったらピアノとかストリングスとかを入れようってすぐに考えてたんですけど、今回は「自分の担当楽器をいかに追求できるか。まずは自分の担当楽器だけを使って1枚作ろう。それでダメなら何か別の楽器を入れてもいいけど、まずはそこで勝負してみない？」って話になって。

──ギターのダビングも少ないし、非常にライブに近いサウンドですよね。

小野　例えばCDではピアノが入ってる曲も、ライブでは僕ら4人で演奏するからピアノが聞こえない。だから、CDを聴いてからライブに来た人は、頭の中でピアノを鳴らして補完してるんじゃないかと思うんです。そういうこともあって、なるべくCDでのアレンジとライブでのアレンジを一緒にしてみたいなっていう気持ちがあって、今回はライブでは再現できないだろうっていう音はあまり入れないように意識しました。

──そういう意図があったんですね。で、今回特に驚いたのが2曲目の「それなり」のイントロ部分で、「あ、この音もギターなんだ」ってあとで気付いて。

小野　ギターの音色とか弾き方とかを工夫することで、頭の中では鳴ってるギター以外のサウンドに近づけることはできると思います。「それなり」の中に入ってる雨が降ってるような音も、ギターでやってみようと。今回はどの曲も、上モノはギターだけなんです。

星花　どの曲もキラキラしてるのに泥臭さが感じられるのは、そのせいかもしれないですね。