ナタリー PowerPush - Violent is Savanna

札幌出身4人組バンドが放つ 多彩な顔を持った両A面シングル

2010年10月、片寄明人(Great 3)プロデュースによるシングル「OH LOVE YOU」でメジャーデビューを果たした、札幌出身の男女4人組バンドViolent is Savanna。彼らの2ndシングル「アワイロサクラチル / リフレインチューマー」が、早くも発売された。

今作では「アワイロサクラチル」をaikoやいきものがかりとの仕事で知られる島田昌典が、「リフレインチューマー」を前作から引き続き片寄明人がプロデュース。前作以上にバンドのさまざまな表情が感じられる仕上がりとなっている。

今回ナタリーでは、Violent is Savannaのメンバー4人にインタビューを実施。バンドの成り立ちから新曲制作秘話、これまで制作に携わったプロデューサーたちの魅力まで、興味深い話題をたっぷり訊いた。

取材・文/西廣智一

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Savannaは想像を超える楽しみ方ができるバンド

──Violent is Savannaはどのようにして結成されたんですか?

星花(Vo) 「TEENS' MUSIC FESTIVAL」に出たいがために、2004年に私と(川合)栄次でバンドを作って。ギターは小野(貴博)を誘って、あと別のドラマーで大会に出たんです。で、「TEENS' MUSIC FESTIVAL」が終わってさぁどうするってときにこのままバンドを続けていこうと決めて、工藤(竜之介)を迎えて今の4人が揃ったんです。

川合栄次(B) 僕はそれまでまったくバンド経験もなくて。ひとりで宅録してニヤニヤしてたっていう、一種のひきこもりだったんです(笑)。で、星花とは中学校の同級生で1年に1回ぐらい遊ぶくらいの仲で、たまたまうちに来たときに「ちょっと今、音楽やってんだ。聴いてよ」って自分の曲を聴かせたら「意外といいじゃん。アタシに歌わせてよ」っていう話になって。歌ってもらったらすごく良いのができたので、「一緒にバンドやってみない?」っていうことに。

──最初はどういう音楽をやろうと思ってましたか?

星花 これっていうのはなかったけど、栄次から上がってきた曲に詞をつけて1曲を完成させていく作業が楽しくて、ただただ夢中でやってたような気がしますね。

──なるほど。川合さんは曲作りの面で、このバンドをどういう方向に持っていきたいと考えてましたか?

川合 最初はとりあえず何も考えないで、ただ自分から出てくる曲を持っていってました。でも、例えばBLANKEY JET CITYみたいな曲を作っていっても、Savannaでやってみると全然BLANKEY JET CITYっぽくない、まったく別のものになる。そういう想像を超える楽しみ方ができるバンドなので、あまり意図してこういう曲を作ってみましたっていうのはないんです。

星花 「こうなるだろうな」って予想を見事に裏切ってくるよね(笑)。もちろん悪いほうに転がるときもあるけど、それも含めてバンドとして楽しいところかな。

まずは自分らが住んでるところの人たちに知ってもらおう

──メジャーデビューまで5年以上にわたって札幌を拠点に活動してたんですよね。地元に根付いた活動を続けていたのには、何か理由があったんですか?

星花 いや、ないですね(笑)。早く上京したかったけど、まずは北海道、自分らが住んでるところの人たちに知ってもらおうっていう気持ちが強かったかな。たまたま生まれ育った場所で同い年ぐらいの人たちが集まって音楽をやった、そこが北海道だったってだけなんです。

──北海道を拠点にしながら、北海道以外の土地でもライブ活動は行っていたんですよね?

星花 たまにしてました。でも、それじゃあ意味がないと思って、そのうちやらなくなっちゃって。

川合 単発だと忘れられちゃうから。

星花 そう。次のライブもいつになるかわからない、そんなバンドはなかなか注目してもらえないし。

──確かにそうですね。でも北海道でキャリアを積んだことは、確実に自分たちの実になったのでは?

川合 かなり大きいですね。そういった部分はライブや曲作りにも影響を与えてると思います。

壮大でドラマチックな曲を目指した「アワイロサクラチル」

──そして、昨年10月にシングル「OH LOVE YOU」で待望のメジャーデビューを果たして、今回2ndシングル「アワイロサクラチル / リフレインチューマー」がリリースされるわけですが。今作の1曲目「アワイロサクラチル」は、ストリングスを大胆に取り入れた楽曲ですね。

星花 「アワイロサクラチル」は札幌で活動してた頃にできた曲なんですよ。

川合 ゲームで言うならば「ファイナルファンタジー」シリーズみたいな、すごく壮大でドラマチックな曲を作りたくて。でも当時のアレンジは今と違って、ストリングスはもちろんピアノも入ってませんでした。

星花 最初はこの4人でライブでやれることを形にする前提で曲作りをしてたんですけど、アレンジを何回やり直してもしっくりこなくて、どうすることがこの曲にとって一番良いのかわからなくなってしまって。ところが今回、島田昌典さんにアレンジをお任せしたら、完成したものが「これだ! この曲はこうなりたかったんだろうな」という仕上がりで、とてもうれしかったですね。

──星花さんはこの曲の歌詞を書くときに、何をイメージしましたか?

星花 どこか切ないんだけど、切なさの中にも人のあたたかさが見えたり、その人の風景が浮かんでくるようなメロディだったから、歌詞としては情景がきちんと浮かんでひとつの物語として読んでも違和感ないようなものにしたくて。曲としてもひとつの作品だし、歌詞としてもひとつの作品として成立するようなものにしたいなと思ってました。でも、以前はサウンドが歌詞とメロディになかなか追いつかなくて。

──島田さんのアレンジがみなさんのイメージを超えていたと。

川合 僕らの想像を超えるようなものになってたんですけど、でもきっとどこかでこういうものを求めてたんじゃないかな、と勝手に思ってます。

小野貴博(G) 今思い出したんですけど、確かこの曲で「じゃあ俺がピアノ弾くよ」みたいなことを冗談めかしく言ってた気がします(笑)。実際、島田さんから返ってきたアレンジに自分が欲してた音が全部鳴ってたし、ストリングスが入ることで今までの僕らにはないグルーヴが出ていて、仕上がりは本当に予想外でしたね。

工藤竜之介(Dr) これは間違いないなと思えたし、聴いたらストレートに感動しましたね。それと同時に、もっとドラムをがんばろうと思って(笑)。すごく本気にさせてくれるアレンジだなって思いました。

──歌を盛り立てるアレンジの後ろで、ギターやリズム隊の主張も強く感じられて。

小野 僕、アコースティックギターがすごく苦手なんですけど、この曲には絶対にアコギが必要だと思って、島田さんにレコーディングで弾くギターをお借りして練習したんです。とにかく練習しないと完成しない曲だと思ったので、そういう部分が音に主張として出たのかも(笑)。

──今回のシングルでは、2曲ともアコギがかなりフィーチャーされていますが、そういう意味では小野さんにとっては挑戦の多いレコーディングでしたか?

小野 そうですね。最初は本当にどうしていいかわからなかったんですよ。でも、「アワイロサクラチル」を録ってからなんとなく理解できた気がして。「リフレインチューマー」でも、この曲にはこの弾き方だっていうのを片寄(明人)さんが教えてくれたら、結構弾けるようになりました(笑)。でも、アコギは本当に難しいですね。

ニューシングル「アワイロサクラチル/リフレインチューマー」 / 2011年2月9日発売 / 800円(税込) / cutting edge / CTCR-40326

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CD収録曲
  1. アワイロサクラチル
  2. リフレインチューマー
  3. アワイロサクラチル -instrumental-
  4. リフレインチューマー -instrumental-
Violent is Savanna(ばいおれんといずさばんな)

星花(Vo)、小野貴博(G)、川合栄次(B)、工藤竜之介(Dr)からなる札幌出身の4ピースバンド。2004年に星花と川合を中心に結成され、同年「TEENS' MUSIC FESTIVAL 2004」北海道大会にて優勝し、渋谷公会堂(現・渋谷C.C.Lemonホール)で行われた全国大会に出場を果たす。2005年に工藤が加入し現メンバーとなり、以後地元・札幌を中心に精力的なライブ活動を続ける。2010年5月に北海道TSUTAYA限定1曲入りシングル「OH LOVE YOU」をリリース。オリコンインディーズチャートで全国2位を獲得したほか、北海道地区別オリコンウィークリーチャートでは4位を記録。同年10月に、同曲を含むシングル「OH LOVE YOU」でメジャーデビューを果たした。星花のキュートな歌声と独特の詞世界、絶妙なバンドアンサンブルが魅力。2011年1月には、iTunesが選出する今年もっともブレイクが期待できる新人アーティスト10組「Japan Sound of 2011」に選ばれるなど、2011年もっとも飛躍が期待されるロックバンドである。