“ガンコじじい”って言われる

──3曲目に収録されている「Chewing girl」はVALSHEさんの作詞・作曲ですが、生々しい感情がそのまま出ていて非常に興味深かったです。

ありがとうございます（笑）。この曲はコミカルに振り切ってみたんですよね。今まで自分が作詞・作曲を手がけた曲って、シリアスでダークなものが多かったんです。「V.D.」を出したことで気持ち的にひと区切りついたところもあったし、自分で作る楽曲に関しても新しい要素を加えてみたいなと思って。この歌詞は同性の方とのやりとりを曲にしてるんですよ。（女性同士より）むしろ男女間で起きうることかもしれないですけど……。

──気持ちがスレ違う恋人同士のストーリーにも聞こえますよね、確かに。

コンセプトは“感情論と理論”なんです。平行線をたどる関係というか（笑）。自分はどっちのタイプだろう？って当てはめながら聴いても楽しいんじゃないかなって。

──VALSHEさんはどっちのタイプだと思います？

自分は理論派ですね。感情論で来る人とはなかなか交われないので。たぶん、向こうにも理解してもらえないだろうし。“ガンコじじい”って言われることもありますからね（笑）。

──（笑）。理論的に考えつつ、「ここは譲れない」というところもあるっていう。

そうですね。理論派の人というのは、順序立てて考えるじゃないですか。感情論の人はそれをペンッ！って崩しちゃうんですよね。そのときの感覚を“悲鳴”で表現してるんですよ、この曲では。レコーディングでもリアルに悲鳴を上げて、鬱憤を晴らしてました（笑）。とは言いながら歌詞にもある通り、いないと気になるしさみしいんですよね（笑）。

歌謡曲のカバーアルバムを出すのが夢

──今回のシングルは特典もすごく面白いですよね。まず初回限定盤AのDVDに収録される「ばる散歩 ～川越編～」という映像ですが。これって、VALSHEさんが川越を散歩してるってことですか？

そうなんです（笑）。今までの特典映像ってしっかり作り込んだものが多かったんですけど、今回はユルいことをやってみようと思って。初めて実写でロケしたんですけど、ホントに川越を散歩してるだけなんですよ。お店に入ったり、いろいろ体験したり……。

──もともと散歩好きですからね、VALSHEさん。

はい（笑）。川越のレトロな街並みもすごくよかったんですよ。そこにナレーションを入れて、番組っぽくしてるっていう。ぜひ、ユルい感じで観てほしいですね。

──そして初回限定盤Bにはラジオ音源「VALSHE RADIO」とカバーが収録されていて。今回のカバー曲はテレサ・テンの「つぐない」ですが、この選曲も渋いですね。

「つぐない」を歌った経緯については「VALSHE RADIO」で語っているんですけど、自分自身が大好きだから選ばせてもらったのは間違いなくて。しっかり気持ちを込めて歌わせてもらいました。

──もしかして歌謡曲好きなんですか？

そうなんですよ。もともと歌が好きになったのも、親の影響が大きいですからね。お母さんが聴いてたり、歌ったりしていたのが、80年代の歌謡曲だったので。松田聖子さん、高橋真梨子さん、中森明菜さんとか。歌謡曲のカバーアルバムを出すのが個人的な夢ですね。

──そしてシングルリリース後には、購入者対象のイベントが東京、大阪、名古屋で開催されます。どんなイベントになりそうですか？

まず、前回の「LIVE THE JOKER」（昨年11月に東京・赤坂ACTシアターで行われた初ライブ）はすごく限定的なものだったと思うんですよ。ファンクラブの方々を対象にしたライブだったし、「最初に会っておきたい人に会う」という感じだったので。それは最良の形で実現できたと思うんですが、今回は「Butterfly Core」「V.D.」以降に興味を持ってくれた人を含めて、皆さんを招待したいと思って。なんて言うか、皆さんの中でVALSHEのイメージだけが膨らんでる気がするんですよね。だから「VALSHEはどういう人なのか？ どういうライブをするのか？」ということを垣間見られるようなイベントにしたいな、と。そうすることで、すでにVALSHEと会っている人たちとの温度差を解消できたらいいなと思うし。今回は東名阪のイベントだし、自分自身も楽しみですね。

VALSHEからナタリー読者へのメッセージ。