Uruがさまざまな感情に寄り添ったCMソング&映画主題歌を語る (2/2)

「フィラメント」で描いたのは「灯し続けていれば見えてくる希望」

──映画「おいしくて泣くとき」の主題歌「フィラメント」についてもお聞かせください。映画の原作は森沢明夫さんの同名小説で、Uruさんが森沢明夫さん原作の映画の主題歌を手がけられるのは2016年の「夏美のホタル」の以来2度目となります。「夏美のホタル」の主題歌「星の中の君」はUruさんのデビュー曲だったこともあり、特別な思いがあるかと思いますが、オファーを受けた際にはどんなお気持ちでしたか?

「夏美のホタル」は私のデビュー曲を主題歌にしていただいた作品なのでとても思い入れがあって大切な作品なのですが、その森沢さんの作品をもう一度担当させていただけるということで本当にうれしかったですし、過去の私に負けないようにいい曲を作りたい!と思いました。

──映画のストーリーなどに触れて、どのようなことを感じ、それをどう楽曲に反映させようと思いましたか?

とにかく、心也も夕花もすごくすごくまっすぐで、いつその環境に心が折れてもおかしくない状況にもかかわらず心を奮い立たせている姿に胸を打たれながら原作や脚本を読ませていただきました。心に残るシーンがたくさんあって、ページの端をたくさん折って、歌詞を書くときに何度か読み返したりしましたが、一読者でもある私が一番感じたことをそのまま歌詞に書こうと思って進めていきました。

──映画「おいしくて泣くとき」には、悲しみや弱さ、誰かを思う温かさなど、さまざまな感情が描かれています。Uruさんの「フィラメント」の中にはそのどれもが含まれているように感じましたが、その中で特に強く描きたかった心の動きはどの部分でしょうか?

苦しいことや悲しいことがあっても、心を腐らせることなく、どんなに暗闇でも強い風が吹いても、小さな灯りだけは心の中に灯し続けようとする姿から本当に勇気をもらったので、私以外の方がこの作品に触れたときに、きっと同じ感情を共有できるだろうなと。本当は泣きたいし弱音を吐きたい中で、どうにか自分を奮い立たせようと前向きな言葉を口にする姿に本当に胸を打たれました。

──タイトルになっている「フィラメント」という言葉は歌詞の中にはありませんが、“点いては消える街灯”や“心許ない灯り”といった描写が、登場人物たちの心情と重なっているように感じます。「フィラメント」を楽曲のモチーフにした理由と、そこに込めた思いをお聞かせください。

電球の中の光や熱を発する部分の名前なのですが、この「フィラメント」がないと灯りを灯すことができない中で、どんなに小さくても灯し続けていれば何か見えてくるという希望を書きたいと思いました。暗くても、結局は自分が自分で足元を照らし続けていければ歩けるし、どこかにたどり着けたりするんだよなと、、、。

Uru「フィラメント」配信ジャケット

Uru「フィラメント」配信ジャケット

──静かな歌い出しから、コーラスが重なり盛り上がる後半部分、ピアノと声だけになるラストパートなど、ドラマチックなボーカルアレンジも印象的です。レコーディングはどのように進みましたか?

映画の登場人物たちを思い浮かべながら歌いました。サビがずっと高音なので、感情を入れすぎると聴き苦しくなってしまう点なども考慮しつつ、、、どうやったら歌詞がスッと心に届いてくれるか考えながら歌いました。

──映画の感想を教えてください。ご自身の主題歌が流れたとき、どのようなことを感じましたか?

何度泣いたかわからないくらい涙しました。「おいしくて泣くとき」という印象的なタイトルですが、その「おいしくて」という言葉には「うれしくて」とか「ありがとう」とか「よかった」とかいろんな感情が含まれているんだなと思いながら、ラストシーンでは大号泣でした。

映画の世界観や伝えたいものを損なわないような曲が作れたかとか、違和感はないかとか、そういったことばかりを考えてしまいますが、こんな素晴らしい映画の主題歌を歌わせていただいて本当にありがとうございました、という気持ちでした。

──歌の主人公は「10年前」と「10年後」の自分に思いを馳せています。10年という年月は、人を思いがけない場所へ導くものだと思いますが、Uruさんご自身は10年前を振り返って、何を感じますか? また、10年後はどんな未来をイメージしていますか?

「10年前」はまだデビューもしておらず、音楽の道を志しながらも同じ気持ちを持ち続けることの難しさとか、周りと自分を比べて落ち込んでばかりいたときだったと思うので、今こんな形で「10年前」に志していたことを叶えられているということがとても不思議ですし、周りの方への感謝の気持ちでいっぱいになります。「タイムマシーン」があったら教えてあげたいです。笑

「10年後」、どうですかね!! 今目の前にあることをとにかく一生懸命に丁寧にと思っているので、それが10年後につながっていたらいいなと思います。

この春、Uruが愛情を注ぐのは?

──最後にUruさんの近況と、これからのご予定をお聞かせください。暖かさが増すこの季節、どうお過ごしですか? 春ならではの楽しみがあれば、ぜひ教えてください。

去年初めて育てたお花の種を秋に収穫したのですが、この春に種蒔きをします。それがまた芽を出して、双葉になって、、、、花を咲かせるという流れをお世話しながら観察するのが楽しみです。お水だけじゃなくて肥料を与えたりとか、ちょっとかわいそうだけれど心を鬼にして摘心したりすると横に茎が増えて風に強くなるとか、いろんなことを学んだので今年の春も愛情たっぷり育てていこうと思います。つい「おはよう」とか話しかけちゃいます。笑

プロフィール

Uru(ウル)

2013年に活動を開始したシンガーソングライター。オリジナル楽曲のほか、J-POPを中心にさまざまなジャンルの楽曲をカバーし、YouTubeで発表して話題を集める。2016年3月に東京・キリスト品川教会 グローリア・チャペルで初の単独ライブを実施。6月にシングル「星の中の君」でSony Music Associated Recordsからメジャーデビューを果たした。以降、ドラマや映画などさまざまな作品とタイアップした楽曲を多数発表している。2021年11月にはデビュー前からの念願であった東京・東京国際フォーラム ホールAでの単独公演「Uru Live 2021『To You』」を成功させた。2025年3月に「キリン 午後の紅茶」CMソングの「春 ~Destiny~」、4月に映画「おいしくて泣くとき」主題歌の「フィラメント」と、配信シングルを2作連続でリリースする。