音楽ナタリー Power Push - Uru
YouTubeシンガー、メジャーという新舞台に向ける思い
画面の中の自分が自分じゃないみたい
──こういったYouTubeでの活動をきっかけに、デビューすることになって。
はい。デビューが決まってもしばらくは「ホントなのかな?」って思ってたんですけど、実際にCDが完成して、形になったものを見て実感しました。先日もミュージックビデオを観たんですけど、画面の中の自分が自分じゃないみたいに感じたりして。ちょっと不思議でした。
──メジャーデビューに先駆け、今年の3月にはキリスト品川教会 グローリア・チャペルでワンマンライブを行いましたが、実際に人前で歌ってみていかがでしたか。
ほぼ初めてのライブだったのでやっぱり緊張しました。そんな私を見たお客さんも緊張していて(笑)。でもYouTubeの画面を通してじゃなく、生の歌を届けているといううれしさはすごくありました。
──そしてシングル「星の中の君」でデビューされるわけですが、表題曲が映画「夏美のホタル」の主題歌に使用されるというのはどういう経緯だったんですか。
曲の世界観が映画にマッチするということで、映画の制作の方に気に入っていただけて。今は非公開にしているんですが、この曲は以前からYouTubeにもアップしていたオリジナル曲なんです。私の中でもすごく大切な曲なので、この曲でデビューできるだけでなく、映画の主題歌にも使用していただけてうれしいです。
──以前から応援していたファンの中には、「あの曲でデビューするんだ!」と思った方もいるのではないでしょうか。
そうですね。喜んでくださる方もいると思います。もともと「星の中の君」はピアニストの方が私に作ってくれた曲なんですけど、その人もYouTubeを観て私に連絡をくださって……という経緯だったので、ホントにいろんなご縁を感じています。ずっと歌ってきた曲で気持ちの入れ方も定まっていたこともあり、レコーディングでの歌入れもわりとスムーズでした。
感謝の気持ちのありがたさ
──Uruさんの声は聴き手に規模の大きな景色をイメージさせてくれるような力があって、「星の中の君」はまさにそういうスケール感と神秘性に満ちた1曲ですね。Uruさんの中にある、歌を歌うときの信念とはどういうものですか。
歌詞の世界観は大事にしたいなと思っています。
──Uruさんはカバー曲に対してもそうですけど、歌というものに対峙するときの敬意みたいなもの、神聖さみたいなものをすごく感じるんですよね。
そうですね。自分に対して厳しくなって、何度も歌を録り直すこともあります。うまく歌えないと本当にいやになります。歌うことを1回お休みしたこともありました。生活と音楽、どっちも中途半端になってしまったことがあって。音楽に全力を注ぎたいけど、それだけじゃ生きていけない。だけど人の曲は大切に歌いたいので、納得のいくまでやりたくて。そのバランスが難しくなってしまったときがあったんです。
──Uruさんの中にある基準というのは、聴き手に対してもそうだし、曲に対してもそうだし、オリジナルを歌ってる人に対する礼儀みたいなものでもあるんでしょうね。
最初はショートバージョンでカバーしていた曲もあったんですけど、曲を1曲作るのってすごく大変なことなんだって、自分も曲を作ってみてわかって。だから1つひとつの歌詞や歌い回しも、自分の中で出せるベストで歌いたいんです。
──こだわりが強いからこそ、音楽と向き合えないこともあったということなんでしょうね。ちなみにどのくらいの期間お休みしたんですか。
1カ月以上、何もしない時期がありました。自分の歌も聴きたくなくて、音楽自体をシャットダウンしていて。音楽の道に進みたいとは思うんですけど、何をしたらいいのか、どうしたらいいのかわからなくなって。気持ちだけが先走って結果が付いてこないから、葛藤していたんです。
──そんな1カ月が過ぎて、どんな思いで乗り越えたんですか。
短いときは3日に1本ぐらいのスパンで動画をアップしていた私が何も言わずにお休みしていたので、皆さん心配してコメントを投稿してくれて。そのときに頂いたメッセージが心に響きました。私も今まではお客さん側の立場だったんですけど、ライブとかでよくアーティストの方が、お客さんへの感謝の気持ちを口にするじゃないですか。いざ自分が経験してみると、ホントにありがたいことだなって実感しました。
次のページ » 「こういう切ない恋をしてるの?」
- デビューシングル「星の中の君」/ 2016年6月15日発売 / Sony Music Associated Records
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1800円 / AICL-3119~20
- 通常盤 [CD] / 1200円 / AICL-3121
CD収録曲
- 星の中の君
- WORKAHOLIC
- すなお
- 星の中の君 -instrumental-
- WORKAHOLIC -instrumental-
- すなお -instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
- 「星の中の君」MUSIC VIDEO
Uru Live「SS」
- 2016年9月10日(土)
- 東京都 東京グローブ座
- 2016年9月11日(日)
- 東京都 東京グローブ座
Uru(ウル)
2013年に活動を開始した女性シンガー。オリジナル楽曲のほか、J-POPを中心にさまざまなジャンルの楽曲をカバーし、YouTubeで発表している。楽曲の歌唱・演奏のほか動画の撮影や編集も1人で行い、これまでに100本の動画を公開。総再生回数は4400万回以上、チャンネル登録者は14万人以上を記録している。2016年3月には東京・キリスト品川教会 グローリア・チャペルで初の単独ライブを実施。6月にはSony Music Associated Recordsからメジャーデビューシングル「星の中の君」をリリースした。