フロントマンの悩み

──鈴木さんはソロでのパフォーマンスを大きく「ダンスサイド」「バンドサイド」の2軸で表現されています。生演奏主体のバンドサイドではある意味バンドのフロントマンとしてステージに立っているわけですが、バンドでの表現について理姫さんに聞いてみたいことはありますか？

鈴木　いっぱいあります。最初の頃は手持ち無沙汰でどうしていいかわからなくて。

理姫　ヒマですよね。ボーカルはヒマ。「ヒマだから間奏もっと短くしてくんない？」とか言う（笑）。

鈴木　あははは（笑）。楽器を持ってればいいんですけどね。

理姫　ズルいですよね。ギターとか弾いてる人が、ただ弾いて髪の毛揺れてるだけなのにカッコよく見えるの。

──間持ちする感じが。

理姫　そう。大変なんですよボーカルは。なので私は逆に不動という方法を見つけました。

鈴木　不動カッコいい！ 闇を感じる。

理姫　愛理ちゃんに不動やってほしい！ 絶対カッコいいよ。

鈴木　できないんだってー！ 3秒ぐらいしか持たない（笑）。あとバンドサイドはバンドさんの演奏あってのことではありますけど、歌はすべて1人の声にかかっているからプレッシャーが大きくて。風邪引かないんですか？

理姫　めっちゃ引く。すげえ引く。去年、ツアー初日の4曲目ぐらいで早々に声が出なくなっちゃって、最前のお客さんが心配して泣き始めちゃうっていう（笑）。つらかったです。

鈴木　私もめっちゃ風邪引いちゃうんですよ。風邪引くし鼻炎だし……鼻炎は気を付けていてもどうにもならなかったりするし、グループならメンバー同士で助け合えるけど、歌うのが1人だと心配なんですよ。

理姫　歌がすべて1人の声にかかっているというのは感じつつも、私はそこから目を逸らしながらやってます。

鈴木　大事ですよね、目を逸らすのも。

理姫　そう。考えすぎて闇に落ちていくよりは、あえて放置するという方向性でやってます（笑）。でも大丈夫ですよ。愛理ちゃん歌めっちゃうまいから。

鈴木　いやいやいや、すぐ低音が出なくなっちゃうから。声がこう上がっちゃうんですよ（肺から喉のあたりを指して）。

理姫　わかるわかる！

鈴木　わかります!? あれどうやったらいいのかわかんないんですよ。「15分時間ください」って思いません？

理姫　わかる。呼吸がこのへん（喉元あたりを指して）までしかできないみたいな。

鈴木　めっちゃわかる!! ありますよね。肩凝ってる日とか特に。超萎えるんですよ。別に喉の調子が悪いわけじゃないのに、下のほうがうまく出ないんですよ。

理姫　そうそう。それってたぶん、ただ単に体の中がそわそわしてるだけなんですよ。緊張感とかで。だから緊張しないための策として、アカシックでは1曲目に難しい曲を持ってこないようにしています。ステージに出た瞬間は嫌でも緊張するんですよ。だから1曲目は遊びながらでも歌えるぐらいの曲で始めるのは、解決策としていいなと思ったんですね。徐々に慣らしていけば4曲目ぐらいで大丈夫になってくるから。

鈴木　なるほど。今日話してよかったです。この感じが伝わる人がなかなかいなくて。1人になってからはそれが一番の難関で。℃-uteのときは低いパートを千聖が担当したり、分担があったんですよ。歌割りがないところで落ち着けることができてたんだと思うし、出ないことにも気付かなかった。だから地声から低くしました。普段の話し声から高いのが原因なんじゃないかと言われて、低い声でしゃべる練習をしています。

理姫　私、菅井先生（ハロー！プロジェクトの歌唱指導を担当するボイストレーナー・菅井秀憲氏）のレッスンを一時期受けてたんですよ。菅井先生は愛理ちゃんにはあんまり指導していなかったらしいんです。「あの子はうまいからあんまり必要ない」みたいな。でもそんな悩みがあったんだね。私が菅井先生に相談したときは「それはどこかの体の筋肉が足りてないんだ」って言われました。息が上がっているのと一緒で、それを下に戻す力が必要だって。

遅れてきたハロウィン

──今回はステージ上での初顔合わせとなりますが、どんなライブにしたいですか？

理姫　セットリストはこれから決めるんですけど、「凜（RIN）」を演奏してほしいという声はあるので……。

鈴木　やってほしいし、むしろ一緒に歌いたい……え、贅沢かも！ 今自分で言っておいてドキドキしちゃった（笑）。

──かつてデモで聴いて号泣した歌声とコラボレーションを。この組み合わせだとやっぱり期待してしまいますよね。

鈴木　ヤバいヤバい。大事件。召されちゃう（笑）。

──「凜（RIN）」はもちろんのこと、せっかくなのでもっと共演する場面があればいいなという希望もあります。

理姫　それは思いました。

鈴木　普通の対バンライブにはしたくないですよね。超自由にやりたい。

理姫　アカシックはどれだけクレイジーなことをやっても平気なバンドなんで、愛理ちゃんのクレイジーさを爆発させたいなと勝手に思ってました。

鈴木　対バンと言うよりは「融合！」みたいな感じでやりたいんです。絶対そっちのほうが面白いですよね？

理姫　うん。ファンの方たちも、そっちのほうがびっくりすると思うんです。

鈴木　理姫ちゃんに私の曲を歌ってもらったりするのもアリですよね？

理姫　それは100万回ぐらい練習しないと（笑）。

鈴木　うふ。楽しそう。普通のことはしたくないんですよ。

理姫　変なことがしたい。でも愛理ちゃんが考える変なことのほうが変だと思うので、そこは任せたい。私たちはなんでもやるんで言ってください。

鈴木　ヤバい！

理姫　音楽以外にもなんかあってもいいですよね。トークとか。

鈴木　トークやりたい！ でも私、この間45分のトークで45分押しちゃったんですよ（笑）。

理姫　それはヤバいですね（笑）。

鈴木　誰も止めてくれないんですよ。止めてくれないと私も帰れないので。あと、ライブの日はハロウィンの次の日ですよね？ 1日遅れのハロウィンパーティやりませんか？ 全員仮装して、物投げたり。

理姫　投げたーい。でもハロウィンって何するんだっけ？ 仮装？

鈴木　仮装やってないんですか？ やってそうなのに。

理姫　やってそう？ 私、ハロウィンもやんないし誕生日も祝わないし、何もしないので。

鈴木　やりましょうよ。うふ。遅れてきたハロウィン。

──鈴木さんもアカシックも11月から12月にかけて単独ツアーが予定されていますが、ツアーの前に普段のライブとはまったく違ったステージを期待してよさそうですね。

鈴木　とにかく楽しいライブにしたいです。……わー、すごい楽しみになってきた！

理姫　あはは（笑）。楽しみましょう。

──このライブがきっかけで、のちのちアカシックから鈴木さんへ「凜（RIN）」に続くソロ楽曲を提供、みたいな流れができるといいですね。

理姫　いや、そんな。いつでも書きますよ。

鈴木　マジですか？ 私、今オールグラウンドなんで。

理姫　オールグラウンド？（笑）

鈴木　私が理姫ちゃんの世界に染まっていく感じでいいですか？ 1人になってからまだやってないことが多いので、いろんなことにチャレンジしたいです。まずはライブについて考えないと。一緒にごはん食べて考えましょう？

理姫　愛理ちゃん、ごはん食べてる？

鈴木　食べてますよー！ この前1人でステーキ食べに行ったら、天井からガソリンみたいなのが垂れてきて、1人でテッカテカになって帰ったりしましたよ。

理姫　何それかわいい（笑）。