UNIONEは最後のチャンス

──一度あきらめた音楽の道ですが、2015年にUNIONEを結成して、2016年にデビューのチャンスを手に入れましたよね。

音楽活動をやめようと思っても、歌うことは好きだったんです。シンガーのイベントに誘われて出たり、シンガー仲間とカラオケに行ったりして。その中にUNIONEのメンバーもいたんですね。趣味で音楽をやってるのは楽しいと思ってた中、嘘みたいな話ですけどカラオケをしているときにスカウトされて、デビューすることになったんです。声をかけられたときには、これが最後のチャンスだと思って。

──UNIONEに賭けてみようと。

ええ。自分がやりたいことをやるのが音楽だってカッコ付けて、いろんな話を蹴っていたことを後悔していた時期だったんです。もし、自分の本意ではないことを一生懸命やってたら、違ったものが見えたかもしれないって。だから、この機会に改めて一生懸命音楽をやってみよう、向き合ってみようと思ったのがきっかけとなってUNIONEが動き出したんです。

──いろんな変遷があってUNIONEのJINがあると。

そうですね。以前は自分が目指す音楽をやることを重視してたんですけど、UNIONEとしてやるべき音楽を考えるようになりました。今はボーカルグループの一員ですけど、歌詞も書きたいし、セットリスト作りや演出もすべてやりたいと思ってます。でも、あくまでも主体はUNIONE。どうやったらUNIONEがいい見え方をするか、いいグループになるかを考えてます。

──なるほど。JINさんのボーカリストとしてのスタンスはどういうものですか？

グループの基盤を作る役割だったり、曲の中で安心感を与える存在であるべきだと思ってます。ロックやR&B、韓国の音楽……今まで影響を受けた音楽を咀嚼して「これがUNIONEの歌なんだ」と思わせる部分を率先して出さなきゃいけないと思っていて。中でもUNIONEはロックの要素が少ないので、そこは僕が出していくようにしています。

──役割がはっきり決まっているんですね。さて、紆余曲折を経てついに1stアルバムがリリースされました。

手応えはあります。初めてのアルバムなんですけど、メジャーデビューシングルから今まで、1枚のシングルを作るのに20～30曲の候補曲をレコーディングしてて。その中からシングルとして出せるのはほんの一握りなんです。だけどアルバムでは今まで世に出せなかった曲や、今まで披露できなかったUNIONEの歌声を入れることができた。

──ええ。

今まで明るくて楽しい、かわいくてフレッシュで……みたいな部分を中心に見せてきたんですけど、そうではない部分を出せたと思ってます。UNIONEの幅広さを表現した1枚になったので、悔いはないです。

──ちなみにグループとして一番の挑戦だった曲はなんですか？

オープニングを飾る「Dramatic」は、これまで披露していないメンバーの歌声が楽しめる曲になってます。ロックテイストのサウンドと、クールなボーカルが味わえる、新しいUNIONEの顔が見える曲ですね。シングルだったり、僕らの今までのイメージに近い曲のほうが1曲目としては無難だとは思ったんですけど、新しいUNIONEを見せたいと思って選びました。

目標とする武道館ライブ、海外展開に向かって

──アルバムのレコーディングに際して、JINさんがボーカリストとして心がけたことはありますか？

僕はいろんな音楽に影響を受けて、感動して、心を動かされて勇気付けられてきたんです。自分も音楽で人の心を動かしたい、誰かを支えたいと思って歌い始めたのでレコーディング中もそこを意識しました。僕みたいに、本当に歌1つで人生が変わることがあると思うんです。あとは、いろんな経験を通して培ったものを、曲ごとに表現するのが僕らボーカリストの務めだと思って歌いました。

──ところで、K-POPグループのカバー映像をYouTubeでよく発表されていますよね。すごいクオリティが高くて毎回驚いています。

僕が韓国のアーティストの曲を聴いたときに、いわゆるアイドルグループが歌ってる曲がアーティスティックだなと思ったんです。すごく音楽的だし、メンバーそれぞれに才能があって、タレント性があって……そういう人たちの曲をカバーすることで僕らが得ることもありそうだなと。あと、ボーカルグループである僕らが、ダンスボーカルグループの曲をカバーするのも面白いんじゃないかと。

──曲のセレクトはどなたが？

みんなで意見を出し合って決めています。韓国語パートのレクチャーとかは僕が提案しています。みんな歌が好きなので楽しんでやってますし、いい形で自分たちのいろんな部分を出せている企画ですね。

──今後の更新も楽しみにしてます。

ありがとうございます。

──さて、UNIONEの目標をデビュー時に伺ったとき、武道館ライブとおっしゃっていました。その夢は昨年イベント出演という形で叶いました。

はい。デビューしたときから武道館でライブをしたいと口にしていたものの、実際はまったくイメージが湧いていなかったんです。でもイベントでステージに立ったときに、建物自体にすごくパワーを感じて。霊的なものかもしれないんですけど、いるだけで力がみなぎってきたんです。パワースポットってこういうところなんだろうなって感じました。それで、たくさんのアーティストが立ってきた舞台で、僕らも自分たちのファンに囲まれて歌いたい、ワンマンライブをしたいと決意を新たにしました。

──今後UNIONEとして挑戦したいことは？

いろいろあります。自分の可能性って自分が思っている以上にあるんじゃないかと、ここ1、2年で感じていて。例えば「ロンディ」のミュージックビデオで演技をしてみたり、インタビュアーの仕事をしてみたり、ラジオのレギュラー番組を持ったり、歌以外の仕事にも挑戦する中で新しい自分を発見することができた。いろんなことをやることで、UNIONEの幅が広がることってたくさんあるんです。それと、アジアを含め海外でUNIONEを認知してもらえるような活動をしたいですね。そのための準備をしっかりしていきたいなと思います。音楽が世界共通言語であることは自分自身が一番わかってるので。