上田麗奈|1人きりの戦いを終わらせて生み出した「リテラチュア」

老舗の喫茶店で流れているBGMのような

──もう1つのカップリング曲「たより」は作詞、作曲ともにChimaさんです。方向性としては「花の雨」と同じですが、「たより」のほうがよりしっとりしていますね。

実は「マネージャーさんへの思いを伝えたい」とChimaさんにカップリング曲の作曲をお願いしたところ、この2曲が上がってきて「どっちにしますか?」という状況だったんです。だからどちらも同じテーマで書かれた曲なんですけど、どちらもいい曲だったので選べなくて。うちのボスに……あ、ボスというのはディレクターさんなんですけど、そのボスに「2曲とも入れさせてください」とお願いしたんです。

──もともと2曲入りシングルの予定だったんですか?

そうですそうです。

──よかったですね、3曲収録できて。

本当に。「たより」もすごく気に入っている曲なので。イメージとしては、駅前のチェーン店というよりは、ちょっと小道に入ったところにある、おじいちゃんがやっている老舗の喫茶店で流れているBGMのような、素朴な感じで。

──バックの演奏もピアノとアコギだけで、歌詞もシンプルですよね。

上田麗奈

うんうん。Chimaさんに作っていただいたカップリング曲のどちらかを、7月に予定されていた1stライブで初出しで歌おうという話になって、その歌うほうの歌詞を自分で書くことにしたんです。で、「アンコールの1曲目に合いそうな曲はどっちかな?」という基準で「花の雨」が選ばれたので、もう一方の「たより」の作詞はChimaさんにお願いしたんです。そしたらとてもChimaさんらしい、女性らしさもあり、明るくて、でも軽すぎないというめちゃくちゃ素敵な歌詞を書いてくださいました。

──カップリングの2曲を通じて、ポジティブな空気に浸ることができます。

うれしい。「たより」のレコーディングでも「君に会えたことがうれしい」というポジティブな気持ちを大事にしていたので。「リテラチュア」は1曲を通してかなり感情の波があったんですけど、「花の雨」と「たより」は一定の感情をゆるやかに押し出していくようなイメージで歌ったので、頭を使わずに聴ける曲になったかなと思っています。特に「たより」はレコーディングもすごく早く終わって、たぶん3、4テイクしか録っていないんですよ。ただ、ハミングのパートだけは苦戦したというか、肺活量が足りなくて途中で息切れしちゃって(笑)。

──ははは(笑)。

でも、それ以外はさらっと歌えましたね。やっぱり楽器が少なくて、余計な音が聞こえなかったぶん歌いやすかったんじゃないかなあ。普段、無音の中でしゃべることに慣れているので。

もう自分1人の戦いじゃないから

──先ほど「7月に予定されていた1stライブ」とおっしゃいましたが、その「上田麗奈 1st LIVE Imagination Colors」の振替公演が、2021年3月14日に開催されることが決まりましたね。

まだ状況次第でどうなるかわからないところもあるんですけど、どんな雰囲気のステージセットにしましょうかとか、ざっくりした話し合いはできているので、そこに向けてがんばりたいです。あと、今回で私のライブは最初で最後と思っていただいたほうが、たぶんいいと思います。必ずしもこれが最後になると決まったわけではないんですけど……。

──この先、たくさんライブをやっていく感じではないと?

今のところは、そう思ってくださっていたほうが、のちのちハッピーになれるんじゃないかなって。なので、来年3月14日に都合がつきそうな方は、ぜひ。

──「Empathy」のインタビューで「7月にワンマンライブが予定されていますね」とお話を振ったら「不安です」と即答されましたね。

ええ(笑)。

──そのライブが残念なことに延期になってしまったわけですが、延期になったことで気持ちに変化が起きたりは?

正直、延期が決まったときは少しホッとしてしまったんですよ。でも、まだ不安もいっぱいあるけど、今言ったようにステージセットの案とかを見せてもらって、ちょっとずつ形になっていくのがわかると、なんとかなりそうな気がしてくるというか。もう自分1人の戦いじゃないから。

ライブ情報

上田麗奈 1st LIVE Imagination Colors

2021年3月14日(日)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

上田麗奈

※記事初出時、内容の一部に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。


2020年10月30日更新