どんな理由であれ辞めたら負け

──会長とshyouさんは、KenKenさんの音楽や活動についてどう感じていますか？

shyou　俺らの音楽を「0から作ってる」って言ってくれたけど、KenKenは元からあるバンドをサポートしながら、同じことをやってると思う。自分が新たに加わることで、また0から作り直して今までになかった価値を生み出すっていうか。そのパワーはすごいし、ほかにおらへん存在ですよ。

KenKen　あざーっす!!

shyou　俺らの曲に参加してもらったこともあるけど、まったく違うものになるんだよね。あれは驚いた。

会長　RIZEのKenKenを見ると「激しい音楽をやる人」って思うけど、実はファンキーな演奏も間を持たせた16ビートもめちゃくちゃうまいでしょ。スラップもできるし味のあるフレーズもこなせる。しかも「本当はドラムのほうが得意なんだ」とか言うし（笑）。それってさ、どんなバンドでも好奇心と向上心を持って面白がって参加するうちに、どんどん武器を増やしていったんだろうね。

──あと、打首と韻シストについての解説も、すごくわかりやすかったです。

KenKen　それはベーシストだからだと思う。今もいろんなバンドで活動してるけど、なぜ俺を呼んでくれたのかってことはすごい考える。だって、俺よりうまい人はたくさんいるもん。でもKenKenを選んだってことは、俺の中の何かを求められているわけでしょ。今そのバンドはどんな音を作っていて、何がよくて何が足りないか、どうしてKenKenが必要なのか、って。あとね、解散しそうなバンドを助けるのが好きだから、絶対になんとかしてやろうってすげえ燃える。

会長　解散とは違うけど、Dragon Ashもそうだもんね。

KenKen　あのピンチを助けられたのは、自分の人生の中でもかなりデカいことだったね。最近は「アイツが来たらなんとかしてくれるんじゃねーか」ってポジションになれているのがすごいうれしい。やっぱりバンドは絶対ブレるんだけど、続けないといけないんだよ。どんな理由であれ辞めたら負け。みんな自分たちが作った曲が大好きだし、解散して演奏できなくなるのは自分の子供に会えないのと一緒でしょ？ そんな寂しいことないじゃん。

shyou　KenKenはこれからどんな活動がしたいとかって目標はあるの？

KenKen　フックアップじゃないけど、つなげて持ち上げるのが好きなんだよね。どうしても今は音楽業界自体がフワフワしてるから、いいバンドマンが一丸となって盛り上げないとシーンがダメになっちゃうし、キッズが迷っちゃうでしょ。例えば最近だと山岸竜之介っていうホントにすごいギター少年がいてさ、ああいう子をちゃんと評価できる大人じゃないといけないんだよ。「音楽家って超カッコいいんだぜ」ってことをもっと明確に子供たちに見せてあげないといけない。このフワフワした感じが悪いほうに進まないようにしないと。みんな自分のことで精一杯だからこそさ、俺みたいな人間ががんばることで、ちょっとでも変えられれば幸せだしね。

KenKenは、現代のセレクトショップ

──年末にはお三方そろってのイベントもあるんですよね。

KenKen　そうそう、12月30日が俺の誕生日だから、毎年イベントやってるんですよ。韻シストにはいつも来てもらってるんだけど、今年からはついに打首も参戦ということで。もうね、俺はステージ立たずに酒飲みながらずっと観ていたいよ（笑）。

shyou　わかる（笑）。ぜひ現場に来てほしいね。

KenKen　そうだね。絶対に現場至上主義じゃないといけないと思うし、ネットで観て満足してたらダメだよ。でも逆にね、こういう話をネットで読んでもらえるのはいいことでもあってさ。今って、大人の力技で売れたバンドなんてみんな気付いちゃうわけじゃん。Twitterとかで個人がなんでも言えるのはそういうことで、逆に言えばいいものを作れば自然と知られる世の中になったんだよ。アルバム作るのはみんなが思ってる以上に大変だし、魂削ってるからこそ、手を抜いた音はすぐにわかるもん。

会長　わかるね。なんでこれやり直さなかったんだろうって思う。その違いがわかる人が、Twitterとかで紹介できる時代なんだよね。だからKenKenは、現代のセレクトショップなのかな。

KenKen　すぐ炎上するけどね（笑）。言いたいこと言っちゃうから。

shyou　だからこそ信頼できるんだよ。

KenKen　まあ、みんなそれぞれ信頼できる人を見つけてさ、その人のリコメンドにもっと耳を傾ければいいと思う。それが今の時代のリアルだと思うんだよね。すいません、おかわりくださーい!!