ブルーハーツになりたかった
加藤 慎也くんは3ピースのバンド形式にこだわりがあると思うんだけど、影響を受けたギターバンドはいるの?
石原 バンドを始めたときはブルーハーツ(THE BLUE HEARTS)になりたかったですね。めちゃくちゃ好きだったし、僕もあんなふうに人の心を動かしたいと思ってて。
加藤 世代的には離れてるよね。親の影響?
石原 友達ですね。その友達から尾崎豊さんやマイケル・ジャクソンを教えてもらって。ただブルーハーツみたいになりたいと思っても僕の声で歌うとなんだか薄っぺらくなっちゃって、僕にはできないと思ったんです。それから歌もののロックをたくさん聴いて、アジカンさん(ASIAN KUNG-FU GENERATION)とか聴き始めてから意識が変わりました。
加藤 声は変えられないもんね。
石原 でも今はどんな声でも出せるようになりたいし、ブルーハーツみたいな熱い曲もやってみたいですけどね。
谷中 歌詞の面ですごいと思う人はいた?
石原 aikoさんですね。あと大江千里さんや椎名林檎さん、RIP SLYMEさんも。韻を踏むのが好きなのはRIP SLYMEさんの影響です。
加藤 ヒップホップの影響も当たり前にあるんだよね。面白いなあ。
Saucy DogのAメロへのこだわり
──この曲をよく聴くと、同じサビのフレーズでも1番と2番では微妙に歌い方を変えたりしていますね。
石原 「メロディを変えていいならこんな感じで歌いたいんですけど」って、今回いろいろ提案させてもらいました。
加藤 Aメロは慎也くんが持ってきてくれたんだよね。
谷中 沖(祐市 / Key)がインストで作ったのとは全然違うメロディで。
──それで作曲クレジットに沖さんと石原さんの名前が並んでいるんですね。
加藤 実はアレンジしているときからAメロはちょっと気になってたんですよ。沖さんが書いたインストバージョンとしてのメロディはバッチリなんですけど、歌が入ると音域や言葉数が変わって、Bメロからサビにかけての印象もずいぶん変わるんです。それで谷中さんが書いた歌詞を受けて慎也くんが新しいメロディを考えてくれて。こういうメロディってボーカリストじゃないと出てこないんですよね。
──石原さんはどういう発想でこのAメロを?
石原 最初にいただいていたメロディは明るくてキャッチーな感じだったんですけど、歌詞をハメるのがちょっと難しいなと感じて、自分なりに歌ってみたバージョンを「これどうですかね?」と聴いてもらったんです。僕的にはコードの流れの中を縫っていくニュアンスで作ってみました。
加藤 僕は以前からSaucy DogのAメロへのこだわりを感じていて。だから今回Aメロを慎也くんに任せたことで楽曲の方向性が定まったなと思ってます。
石原 確かにAメロのハードルは自分の中で上げてますね。いいAメロができたらサビはもっといいのを作らなきゃならなくて、結果、曲全体がよくなると思うので。
言われれば言われるほどうれしい
──Aメロのほかにも石原さんがアイデアを出した箇所はあるんですか?
谷中 たくさん出してくれたよね。遠慮しないで言ってもらえてよかった。
石原 間奏のあと「寄りかかってよ」のところ、先に楽器が来てからボーカルが入ったらいいんじゃないですか、とか。
加藤 最初はボーカル、楽器の順だったんだよね。
石原 あと譜割も「ぼくのとこかーらじゃないと」にするか「ぼくのとーこからじゃないと」にするかみたいな話をしましたよね。
加藤 ちょっと引っかかる感じがするけど、それがいいか悪いかって話だったよね。
石原 加藤さんから「ラスサビでホーンと絡むから『かー』で伸ばしたほうがいい」って意見をもらって「確かに!」と思って。
──かなりいろんな提案をしてるんですね。
加藤 慎也くんは「VIVA LA ROCK」のときも亀田誠治(B)さんに襲いかかってたんで(笑)。
石原 あはは、言ってました(笑)。「ラスサビのところもうちょっと熱く来てほしいです」とか。
──大先輩にも物怖じせず?
石原 実際はもうちょっと柔らかい感じでしたけどね(笑)。でも本当は回りくどいことなしでもっと直球で投げていいんですよね。今回のスカパラさんとのレコーディングで実感しました。歌い出しを「ベースとキーボードとボーカルで始めるのどうですか?」って言ったら、川上(つよし / B)さんがすごくうれしそうに弾いてくれてたし。
加藤 最終的にはピアノだけになったけど、いろいろ試行錯誤したんだよね。
石原 思い付いたら言ってしまうタイプなんで。
加藤 そうじゃないと面白くないからね。そこは山陰魂で(笑)。俺も慎也くんと同い年くらいの頃に初めてスカパラとセッションして、当時サポートだったけど思ったことは言わなきゃと思ってた。今、逆の立場になってわかるけど、そういうの言われれば言われるほどうれしいんだよね。
体を鳴らして歌ってるんだ
──そうした試行錯誤が実を結び、完成した楽曲は素晴らしい仕上がりになりました。
谷中 めちゃくちゃいいですよね。慎也くんのボーカルもSaucy Dogとは違う一面が出てる気がする。
石原 はい、新しい挑戦をさせてもらいました。“未来型石原慎也”じゃないですけど(笑)、今までやってこなかったことができたと思います。
谷中 管楽器がたくさん鳴ってる中で歌う感覚は普段とはやっぱり違った?
石原 まったく別物ですね。
加藤 うるさくなかった?
石原 心地よかったです(笑)。
加藤 慎也くんの歌と欣ちゃん(茂木欣一 / Dr)のスネアの掛け合いもスリリングだったよね。しかも慎也くんはライブの現場で鍛えられてるから、9人の音圧に負けない存在感が出せてる。トラックダウンのときにも声のローの成分がちゃんとあって、体を鳴らして歌ってるんだなって感じてました。
石原 肺活量はチューバで鍛えられました(笑)。
──石原さんは今回の経験を自分のバンドに生かせる部分はありそうですか?
石原 めちゃくちゃあります! このレコーディングのあと自分たちの曲を2曲録ったんですけど、「メロディはもっと自由でいい」「歌詞のハメ方ももっと自由でいいんだ」と思いながら作ることができたんで。やれることはまだまだあるんですよね。スカパラの皆さんからたくさん吸収させてもらいました。
ライブ情報
東京スカパラダイスオーケストラ TOUR 「Traveling Ska JAMboree 2022-2023」
- 2022年11月11日(金)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ - 2022年11月12日(土)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ / Saucy Dog - 2022年11月16日(水)愛知県 Zepp Nagoya
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ / ザ・クロマニヨンズ - 2022年11月17日(木)愛知県 Zepp Nagoya
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ / Mr.Children - 2022年12月3日(土)大阪府 なんばHatch
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ - 2022年12月4日(日)大阪府 なんばHatch
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ / Creepy Nuts - 2022年12月15日(木)福岡県 Zepp Fukuoka
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ / SUPER BEAVER - 2022年12月16日(金)福岡県 Zepp Fukuoka
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ - 2022年12月24日(土)北海道 Zepp Sapporo
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ - 2022年12月25日(日)北海道 Zepp Sapporo
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ / ORANGE RANGE - 2023年1月19日(木)大阪府 Zepp Osaka Bayside
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ / The Birthday - 2023年1月21日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ / 尾崎世界観 - 2023年1月22日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ - 2023年1月28日(土)宮城県 SENDAI GIGS
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ - 2023年1月29日(日)宮城県 SENDAI GIGS
<出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ / and more
プロフィール
東京スカパラダイスオーケストラ(トウキョウスカパラダイスオーケストラ)
NARGO(Tp)、北原雅彦(Tb)、GAMO(Tenor Sax)、谷中敦(Baritone Sax)、沖祐市(Key)、川上つよし(B)、加藤隆志(G)、大森はじめ(Perc)、茂木欣一(Dr)からなるスカバンド。1989年のデビュー以降、インストゥルメンタルバンドとしての確固たる地位を築く中、日本国内に留まることなく世界31カ国での公演を果たし、世界最大級の音楽フェスにも多数出演。2021年8月には「東京2020オリンピック競技大会」の閉会式でライブパフォーマンスを披露した。2022年3月には映画「ウェディング・ハイ」の主題歌を表題曲とするシングル「君にサチアレ」を発売し、4月よりツアー「BEST OF LUCK」を開催。7月に幾田りらをゲストボーカルに迎えたニューシングル「Free Free Free feat.幾田りら」を、11月には石原慎也(Saucy Dog)が参加するシングル「紋白蝶 feat.石原慎也(Saucy Dog)」を配信リリースした。11月より、ツアー「Traveling Ska JAMboree 2022-2023」を開催。
TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA (@tokyoskaj) | Twitter
Saucy Dog(サウシードッグ)
石原慎也(Vo, G)、秋澤和貴(B)、せとゆいか(Dr, Cho)からなるスリーピースバンド。2013年11月に結成され、2016年8月より現在の体制で活動をスタートさせる。「MASH FIGHT!vol.5」でグランプリを受賞。2017年5月に初の全国流通作品となる1stミニアルバム「カントリーロード」をリリース。2019年4月に大阪・大阪城音楽堂、東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)でワンマンライブ、2021年2月に初の東京・日本武道館単独公演を開催。同年8月にライブBlu-ray / DVD「『send for you』2021.2.5日本武道館」と5thミニアルバム「レイジーサンデー」を同時リリースした。2022年6月には初のアリーナツアーを実施し、成功を収めた。同年7月に6thミニアルバム「サニーボトル」を発表。同年10月から12月にかけて対バンツアー、2023年1月から5月にかけてホールツアーを控えている。