東京スカパラダイスオーケストラ|“NO BORDER”に広がり続けるトーキョースカの可能性 長谷川白紙と刺激的な創作を振り返る

天国に行ったみたいな気持ちになる

──BiSHのアイナ・ジ・エンドさんが参加した「JUMON feat.アイナ・ジ・エンド(BiSH)」も独特のムードを持った曲ですね。

川上 欣ちゃんが呪文みたいなアラビックな旋律を考えてきて、女性の声が欲しいねってことになって、アイナちゃんだったらバッチリだよなあ、でもまさかやってくれないよなあなんて言いながら。

──セリフとシャウト中心ですがアイナさんの声は抜群の存在感がありますね。

谷中 最高のアジテーターですよね。レコーディングのときもメンバーみんな絶賛してました。アイナちゃんは「こんなに褒められたことないです。レコーディングってこんなに褒めてもらえるものなんですか?」って言ってましたけど。

一同 あはは(笑)。

谷中 こちらがOK出していても、彼女が「もう1回違う感じでやらせてください」って言ってくれたり。でもどのテイクもすごくよくて自分のキャラクターをわかっているなと思いました。素晴らしいです。

──Mr.Childrenの桜井和寿さんが歌っていた「リボン」は今回「Ribbon feat.Moral Distraída」として生まれ変わっています。Moral Distraídaはチリの大所帯バンドなんですね。

NARGO むちゃくちゃ人気者なんですよ。

川上 チリの大きなフェス(2019年3月開催のロラパルーザ・チリ)で知り合って、その後も加藤(隆志 / G)が連絡先を交換してやりとりしてたんです。それでスカパラの曲をスペイン語バージョンでやったら面白いんじゃないかというアイデアを伝えたら彼らもノリノリで。

谷中 何曲か渡したら「リボン」を選んでくれたんだよね。

NARGO 新曲作るくらいの勢いでやってくれました。リズムセクションが変わるとこんなにも変わるのかって。

川上 歌もすごいんだよね。

──スペイン語の発声の気持ちよさを改めて感じます。

谷中 アルバムの最後に入ってるから、この曲で天国に行ったみたいな気持ちになるんですよね(笑)。

音楽を作ることが自分たちのエネルギーになる

──沖さん作曲の「A Touch Of Spring」はピチカート・ファイヴ的なコーラスも入って、どこか“渋谷系”を思わせる曲調です。

川上 沖もそのあたり意識したって言ってました。

NARGO 僕らこういうサウンドも大好きなんでグッときますね。

谷中 自分たちも30年くらい前は周りに渋谷系の人たちがたくさんいて「ああいうのもいいなあ」ってずっと思ってたんで(笑)。

左から川上つよし(B)、谷中敦(B.Sax)、NARGO(Tp)。

──スカパラは当時いわゆる渋谷系ムーブメントとは少し違う場所にいましたよね。

NARGO 初期はフリッパーズ・ギターのライブにスカパラホーンズが参加したり、そういう接点はあったんですよ。

谷中 田島貴男(ORIGINAL LOVE)も元ピチカート・ファイヴだし、当時からクラブやライブハウスでセッションしてたしね。でもスカパラは渋谷系界隈の友達はいっぱいいるけど渋谷系とは思われず、クラブでDJ活動してたけどクラブ系とも思われず。メジャーでもなくアンダーグラウンドでもなく、独自の路線を突き進んでいましたね。

NARGO そういうスタンスが今掲げてる「NO BORDER」というメッセージにつながってるんです。音楽のジャンル分けを壊していくような、そういう集団でいたいという思いがずっとあるので。括られるのが苦手なんですよね。

──このアルバムもスカという芯がありつつ、さまざまな音楽ジャンルの要素を取り入れていますね。共通点としてはどの曲も前向きなところでしょうか。

谷中 そうですね。前しか向けないバンドなので(笑)。

NARGO 特にコロナ禍になってからはホントに前向きなバンドだなとつくづく思いました。とにかくやれることをその瞬間ごとに全力でやろう。そういう思いが常にあるんですよね。メンバーと会うと元気になるし。

──スカパラが常に元気にいられるのはどうしてなんでしょう?

谷中 やっぱり楽しいんでしょうね、音楽作るのもいろんな人たちとコラボするのも。そういうことが自分たちのエネルギーになってる。

NARGO 今は大変な状況ですけどエネルギーが内側に溜まってくるのを感じるんですよ。自分たちの中のエネルギーが増えている気がします。

──現在開催中のツアーも一部公演は延期になりましたが、今後また単独ライブはもちろん、フェスや海外公演などで思い切り演奏できる日が楽しみですね。

NARGO そのときは大変なことになると思います。溜めてきたものが一気に爆発しますよ(笑)。

谷中 感謝しまくりのライブになると思います。感謝しながらみんなで楽しめたらいいですね。

川上洋平([Alexandros]) コメント

「ALMIGHTY~仮面の約束 feat.川上洋平」「多重露光 feat.川上洋平」参加

川上洋平([Alexandros])

スカパラから感じた事

9つの真心と遊び心(悪戯心?)をもって制作に挑むその姿勢は、
間近で見ていて本当に刺激的でワクワクするものでした。
こうやって数々の名曲を今までも育んでいたんだなぁと思うと思わず笑みが溢れ、
レコーディング中も終始笑っていたように思います。
2曲とも本当に大好きです。
参戦する事ができて本当に光栄でした。

スカパラの皆様へ

出だしがこの書き方だと、部外者感が増してとても寂しいですが……。
2020年、コロナ禍真っ只中の夏、僕をあの日の気温よりも熱く迎え入れていただき、本当にありがとうございます。
皆さんのおかげで2020年は正直素敵な思い出の方が勝っています。
一度あの最強なスーツの袖を通したら僕はもう一生スカパラの一員だと勘違いし続けますので、
これからも何卒よろしくお願いします(笑)。

川上洋平(カワカミヨウヘイ)
ロックバンド・[Alexandros]のボーカル&ギター。[Alexandros]は2010年1月にRX-RECORDSから1stアルバム「Where's My Potato?」でデビュー。2014年11月にユニバーサルミュージックとパートナーシップを結んだことを発表した。2015年7月に2度目の日本武道館公演、12月には千葉・幕張メッセ国際展示場でのワンマンライブを成功に収める。2018年8月には千葉・ZOZOマリンスタジアムで野外ワンマンライブ「VIP PARTY 2018」を開催した。2020年にデビュー10周年を迎え、2021年3月にはベストアルバム「Where's My History?」をリリース。バンドから勇退する庄村聡泰(Dr)にとってのラストライブを千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホールで2日間にわたって行う。また、川上は俳優として日本テレビ系ドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」に出演中。

アイナ・ジ・エンド(BiSH) コメント

「JUMON feat.アイナ・ジ・エンド(BiSH)」参加

アイナ・ジ・エンド(BiSH)

スカパラから感じた事

スカパラさんにはツアーに呼んでいただいたり、BiSHの「ロケンロー」という曲でお世話になっていたり、
いつも心強く音楽を楽しい存在にしてくださる先輩で、大好きです!
今回はアジテートという個人的に初めての試みだったのですが、
レコーディングで歌うたびに拍手をしてくれたり、温かく迎えてくださりました。
一人一人が真摯に楽曲に対する想いや熱量を注いでいるのが伝わってきて、
偉大な方ほど一つ一つを丁寧に生きているんだと感じ、
こんな先輩にいつか自分もなれたらいいなと心から思いました。
私もそんなふうに生きていきたいです。
素敵な経験をありがとうございます。

スカパラの皆様へ

スカパラさん、こんなに拙い私を迎え入れてくださり、ありがとうございました。
私にとってとても大事な人生経験となりました。大好きで堪らないです。
邪念なく、音楽を楽しんでいきたいと強く思いました。
これからも、宜しくお願いします。

アイナ・ジ・エンド
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバー。BiSHのダンスの振り付けをほぼ全曲で考案している。天性のハスキーボイスとエモーショナルなパフォーマンス、表現力が高く評価され、MONDO GROSSO、SUGIZO(LUNA SEA)、ジェニーハイほか数々の外部アーティストとのコラボや、企業のテレビCMソングを担当するなど、業界内のファンも多い。自身で作詞・作曲を行ったソロ曲「きえないで」「死にたい夜にかぎって」に加え、BiSHのシングル曲として採用された「リズム」でも作曲を担当している。2021年2月に、全曲の作詞作曲を自身で手がけた初のソロアルバム「THE END」をリリースした。