2枚のアルバム制作、2本のツアーを経て

──TRUSTRICKはデビューから1年足らずでフルアルバムを2枚リリースし、2本ツアーを回るというなかなかのハイペースで活動していますが、その精力的な活動もあり「TRUSTRICK」という名前になじみが出てきたように感じます。お客さんはもちろん、お2人の中でもTRUSTRICKというものが固まってきたんじゃないかなと。

神田沙也加（Vo）　それはありますね。お互いつかんできたかも。

──ツアーも1本目と2本目では、観客の順応度がだいぶ違ったように感じました。

神田　1本目のツアーは私にとって人生初ツアーだったので未知なところが多くて。2本目のツアーはスタートする前に同じメンバーで単発のライブが何度かやれたこともあって、すごく地に足が着いた感じで落ち着いてできました。

──2本目のツアーの最終公演では新曲「未来形Answer」も初披露されました（参照：TRUSTRICKツアー千秋楽で新曲披露、夏のライブ×2も決定）。その際にも告知されましたけど、シングル「FLYING FAFNIR」に続く2つ目のアニメタイアップということで。

神田　やりました！（笑） アニソンユニットのつもりはないんですけど、2作続くとそう見えちゃいますよね。

──作曲は「FLYING FAFNIR」が神田さん、そして今作は神田さんとBillyさんの共作と、アニソンの場合はアニメに造詣の深い神田さんの出番という。

Billy（G）　あははは（笑）。そういう流れができてきましたね。

神田　アニソンになると神田が出てくる（笑）。

神田沙也加のヲタ道

──神田さんのアニメオタク、ゲームオタクぶりは一部では有名ですが、ここで改めてルーツを明かしてもらってもいいですか？ テレビやラジオでアニメについて話しているのを聞いていると、どうもこの人はガチだぞと感じていて。

神田　家系的には突然変異で（笑）、誰もそういう趣味を持ってる人はいなかったんですけど、たぶん1人っ子だったのが大きいんですよね。誰かと会話したい願望がありながらも、人見知りだから、シミュレーションゲームとかで会話したかったんですよ。

Billy　ヤバいヤバいヤバい（笑）。

神田　でも、つまるところそういうことなんですよ。きっかけは。

──シミュレーションゲームがヲタ道の入口になったと。

神田　そうですね。恋愛シミュレーションゲーム。小学校4年生ぐらいのときに「ときめきメモリアル」にどっぷりハマって。そのあと「To Heart」に行って……。

Billy　早熟だね。

神田　アニメはもちろんその前から、「美少女戦士セーラームーン」とかみんなが通るものは観ていました。ただ、なんとかごっこみたいなことをやるときに、クオリティにすっごいこだわる子供だったから全然噛み合わないんですよ。「ちょっと！ ちゃんとやってよ！」みたいな（笑）。

──「ままごとじゃねえんだよ！」って幼稚園児が（笑）。

Billy　はははははは（笑）。でもなんかわかる！ その頃から完璧主義だったんだね。

神田　うまくコミュニケーションがとれなくて。だから恋愛シミュレーションゲームはコミュニケーションツールですよ。でもゲームはそんなに何種類もグラフィックはないし、声がなければただの“ペラ絵”なんじゃないかと思って。じゃあこの声は誰なんだと考えたのが声優に興味を持ったきっかけなんです。説明書に「CV：○○」って書いてあるのを見て「あ、この人はこの役もやってるんだ」って。

──アニメはどんなものを観てきましたか？

神田　「美少女戦士セーラームーン」から始まって、「魔法騎士レイアース」「カードキャプターさくら」とか。「サザエさん」とか「クレヨンしんちゃん」も観てましたけど、やっぱり変身モノが好きで……ずっと大人になったら変身できると本気で思ってたんです。わりと最近まで（笑）。ファンタジー系の、非現実的なものに惹かれる傾向はありますね。

──アニメ趣味は1人で掘り進めていった感じですか？

神田　1人ですね。アニメが好きって友達もいたけど、四六時中模倣したり、本気でそれが実在すると信じているのは私だけで。ちょっと異常だったんですよね（笑）。

──声優に興味を持ったのは、10代で歌手デビューするよりも全然前なんですね。芸能活動をやりながら、ヲタ活動も進めていたということですか？

神田　はい。今はみんな自分のことをヲタって誇らしく言うけど、当時は女の子が恋愛シミュレーションゲームをやってるって、堂々と言える感じじゃなかったんですよ。でもグッズやコスを売ってるお店に行けば同じ趣味の子たちがいて。もっとオープンにできる時代がくればいいなと思っていたら……なりましたね（笑）。