鶯籠|話題のライブアイドルが取ったメジャーデビューという手段

メジャーデビューがゴールじゃない

PINOCO

──そんな鶯籠は、2019年8月に東京・東京キネマ倶楽部で行われた東名阪ツアーファイナルでキングレコードからメジャーデビューすることを発表しました。PINOCOさんは「自分たちの夢を叶えるための手段として、メジャーデビューという形をとらせていただきました」と話していましたが、どういう思いからこの発言をしたんでしょう?

PINOCO 「ここがゴールじゃない」ということを一番に伝えたかったんです。メジャーデビューしているアイドルグループはほかにもいますが、そこがゴールみたいな感覚になっている人もいると思うんですよ。でも、私たちは名ばかりのメジャーデビューをして、グループの本質的な目標を達成できずに終わってしまうのは嫌で。あくまで1つのスタートとしてメジャーデビューしたいという気持ちでそう発言しました。

──メジャーデビューすることに浮かれるのが普通でもあると思いますが、どうして皆さんは気を引き締めた考え方ができるんでしょうか?

駄好乙 やっぱり計画を立てているからだと思います。多くの人は恣意的な考え方をするし、漠然とした目標のもと漠然と活動しているから躓いて転んで、そして終わっていっちゃうんだと思うんです。プレイヤーはブレちゃいけない。ゲームするときって、ただがむしゃらにやっても勝てないじゃないですか。

──確かに、戦略を立てるのは大切ですよね。

駄好乙 あと僕が思うに、ファンに甘えているアイドルがすごく多い。自分に優しくて、すぐに自分を許してしまうからうまくいかないのかなって。だから僕はできるだけ気が緩まないようにしたいし、鶯籠の活動に全力を注いでいきたいです。

──その先にある具体的な目標については、ほかのインタビューでも明言されていないですよね? あえて公には言わないんですか?

駄好乙

駄好乙 緻密な計算があっても実際にうまくいくかはわからないし、どこかで計算が崩れるかもしれないので、目標を公に言う必要はないのかなと思っていて。あと、大きな目標を急に宣言したとしても現実的に無理じゃないですか。鶯籠ってちょっと現実的なんです。

──未来がどうなっていくか、わからない部分もあるとは思いますけど、ファンの人たちは同じ目標に向かって応援していきたいと思いますよ。

駄好乙 ファンと一緒に未来を想像することはいいことだと思います。もちろん、私たちの頭の中で計画はできていますし。

──その目標を公にするときが来るかもしれないと。鶯籠はライブをメインに活動しているグループですが、会場のキャパが大きくなっていったり、お客さんの熱狂を感じたり、いといろと自信や手応えを感じているんじゃないですか?

駄好乙 そうですね。でも、それは目に見えてわかる結果ですよね。ファンの方に「すごいね」とか「歌うまいね」という声をいただくこともあって、とてもうれしいし、ありがたいんですけど、その言葉にすがるのは甘えだと思うんですよ。常に気が緩むのを許しちゃいけないというか、結果が返ってきたとしても、飾りぐらいにしか思ってはいけないと考えています。

ギリギリのラインを攻めていきたい

点点

──2月19日にはメジャーデビューシングル「FLY HIGHER AGAIN」がリリースされますが、Type-A盤のBlu-rayに収録予定だったミュージックビデオが過激な内容のためコンプライアンス的にNGとなり、制作中止になってしまったそうですね。どういった内容の作品になる予定だったんですか?

駄好乙 ナイフが出てきたり、血が出てきたりとか。15禁くらいになるようなことなのかな? 自分たちとしては、全然過激なことをやっているつもりはなかったんですけど。

ばんぱいあ まさかボツになるとは思っていなかったのでびっくりしていて。死ぬかと思うような撮影をした分、すごくショックですね。ガチでリアルなもの撮らないと意味ないと思っていたし、がんばったんです。今までの鶯籠のMVはわりとキレイな内容のものが多かったので。

からあげ 撮影、ホントにがんばったよね!

──今までのMVとはだいぶ印象の違う作品になる予定だったんですね。

駄好乙 だってメジャー1stシングルですよ! これでスベったら元も子もないじゃないですか。どうにか押し通して公開したいです。僕が好きなアーティストのMVや、すごいと思うMVは撮影だからって容赦していないし、そういう作品って人の心を打つと思うんですよ。「FLY HIGHER AGAIN」のMVもそういうものになる予定で、人の葛藤を最大限に表現した作品だったんです。

──社会の受け取り方が、昔に比べて変わってきているのは大きいですよね。それは表現する人たちの戦いでもあると思います。制限があるけれども、そこを壊していけるかという。

ばんぱいあ そうですね。最近はホントに規制が厳しくて、つまらないですもんね。

駄好乙 僕のTwitterアカウントも1回凍結しましたからね。ショックでしたよ。鶯籠のYouTubeチャンネルがそうなるわけにはいかないので、どうにかギリギリのラインを攻めていきたいと思います。

──その一方で「FLY HIGHER AGAIN」の歌詞はふなっしーが担当していて、そのギャップがすごいというか、意外性にあふれています。

鶯籠

駄好乙 ふなっしーはバンドをやっていて、とてもカッコいいんです。ふなっしーのオリジナル曲にはTHE ALFEEの高見沢俊彦さんも携わっていて。僕、ALFEEが好きなんですよ。そんなつながりもあって、ふなっしーが歌詞を書いてくれたことが個人的に超うれしかったです。あと、鶯籠の楽曲にはすごく多面性があって。例えばジャズしか好きじゃない人が鶯籠の曲を聴いて、ほかのジャンルを好きになる可能性もあると思う。鶯籠の曲には頭に残る歌詞も多いですし。

──これから鶯籠をどんなグループにしていきたいと考えていますか?

駄好乙 鶯籠のライブはバンドセットが多いんですけど、幅広いジャンルの中で生きていきたくて。どんどんコーラス隊が増えていって、自分たちですら想像がつかないくらいの規模感になってきているんです。それも目標から逆算した結果なので、これからどういうグループにしていきたいかを今言うのはやっぱり違うかなと思います。まだまだ全国に流布できていないですし、まず全国的なグループになることが重要。そのためのメジャーデビューだし、地方遠征を重ねていきたいです。そして、僕的には鶯籠は何歳になっても続けられるグループでありたいと思っています。やっぱりアイドルってある程度の年齢になると、みんな辞めちゃうじゃないですか。それって慣習のようなもので、鶯籠はアイドルという括りにとらわれずに、ずっと続けられていればいいなと思っています。