アーティスト業と俳優業

──トミタさんも真野さんもソロで活動されていて、音楽活動も演技もやられて……と、いくつも共通点がありますね。アーティスト業と俳優業を並行することで、それぞれの活動によい“相互作用”が生まれたりするものですか？

トミタ　そうですね。私は演技は今回が初めてだったけど、るみちゃんを演じる上で大事にしていた「表情を豊かに」っていう意識は、ライブでも重要なポイントになるなって気付きました。あとすごく勉強になったのは、スタッフさんが前に何人いようと、恥ずかしがることが一番恥ずかしいことなんだなっていうこと。今オンエアを観ていて、画面の中の自分がちょっとでも恥ずかしがってるとわかっちゃう。それがわかってしまうことが、一番恥ずかしいんですよ。「思い切る」っていう気持ちは今後のライブでも生かせるものだなって思いました。るみちゃんがすごく個性的で不思議なキャラクターだったこともあって、だいぶ振り切れるようになったと思います。

真野　私は最近よく、ハロプロ時代からファンでいてくれる方に「真野ちゃんが活躍してるけど、真野ちゃんじゃない」っていうことをよく言われるんです。自分では「なんで？」って思っていたんですけど、お芝居の中では違う職業をしていたり違うキャラクターの女の子として存在しているから、確かに自分じゃないんですよね。そんなことを考えたときに、みんなの前に立つ「真野恵里菜」の中で、どの真野恵里菜が一番自分自身に近いかなって思ったら、ライブをやっている自分なんですよね。ライブっていうと、歌うことは好きだったけど得意ではなくて、どこかに不安があったんです。でも、お芝居を本格的に始めたことによって新たに曲の世界観が見えたりして、どんどんライブが楽しくなってきたんですよ。最近は「ライブやりたい」ってよく言ってます（笑）。お芝居だと気持ちを抑えなきゃいけない場面もあるけど、ライブだったら思いっきり弾けられるし。いろんな表情も出せるし、自分の空間にできるなって。今後しーちゃんも聞かれるようになると思うけど、取材とかで「お芝居と歌、どっちが好きですか？」ってよく質問されるんです。だけど、そこは比べられないなって思います。どっちも魅力があるし、どっちもやりたい自分がいるんですよね。

──トミタさん、これからも演技を続けていきたいですか？

トミタ　チャンスがあればどんどんやっていきたいです。何よりも、今回の「るみちゃんの事象」の現場がすごく明るい、楽しい現場だったから、これからもっといろんな現場を体験してみたいなって思えました。

るみちゃんらしさが詰まってる

──このドラマの主題歌「17歳の歌」は「るみちゃんの事象」原作者の原克玄さんが作詞をされているんですよね。先生から詞を先にもらったんですか？

トミタ　いや、曲が先なんです。先生に歌詞を書いてもらえるなんて思ってなかったけど「頼むのはタダだし」と思って曲ができたあとにお願いしてみたら、まさかのOKが出まして。しかも、先生から上がってきたもので一発OKだったんです。

真野　えー、すごい。

トミタ　直すところがまったくなくて。歌いづらい言葉とか、発声しづらい言葉があったら言おうって思っていたんですけど、歌入れしても気持ちよく歌えたんです。天才ですよ、あの方。「作詞は初めてだ」っておっしゃっていたけど、言葉遊びも十分に盛り込まれているし……だから、なんだか悔しかったです（笑）。

真野　うん、言葉遊びが面白いなって思った。

──トミタさん、歌詞を初めて読んだときの感想を教えてもらえますか？

トミタ　「雨が止んだら 虹をかけよう 恋する気持ちに カレーをかけよう」っていうふうに始まるんですけど、2つめのフレーズからもう“るみちゃんワールド”なんですよね。「るみちゃん、お前がいいこと言うなよ（笑）」って思わずツッコみたくなっちゃうような、素敵な言葉も入ってるし……かと思えばそのすぐあとにまったくわけのわからないフレーズが来て、いい言葉をすべて撤回してしまったり（笑）。あとサビの歌詞が覚えやすいですよね。すべてひっくるめて、るみちゃんらしさが詰まってて……もうとにかく素晴らしいなって思いました。

──では、トミタさんはどんなことを意識して作曲したんですか？

トミタ　みんなの耳に残ればいいなって。作ったときは、この曲がドラマの主題歌になることは決まっていなかったんです。なので、もし主題歌として使ってもらえるなら、元気な、アニメっぽい感じがいいのかなってイメージして作曲しました。キャッチーで耳なじみがあるメロディにしたかったから、サビにドレミファソラシドの音階を入れてみたんですよ。そうしたらみんな覚えやすいかなと思って。

──ちなみに「17歳の歌」を歌うときって、るみちゃんになりきって歌っているんですか？

真野　私もそれ気になった。

トミタ　そうですね。これに関してはダンスの力が大きくて、ダンスがあるからるみちゃんになった気持ちで歌えてると思います。もし動きがフリーだったら、るみちゃんになりきれるか不安。振りがなかったら、トミタ栞になっちゃうかもしれないです。

──レコーディングは順調に進みました？

トミタ　実はもともとレコーディングする予定だった日にテンションが全然上がらなくて、後日録り直したんです。高いテンションが何より大事とされる曲だなって思っていたから。

──それはご自身で判断したんですか？

トミタ　そうですね。「今日はなんか上がらないな」って思ったので。でもスタッフさんも、声を聴いてすぐに同じことを思ったみたいです。

──そうだったんですね。真野さんはこの曲を聴いて、どんな感想を持ちましたか？

真野　「ライブで観たいな」って思いました。絶対盛り上がりますよね！ お客さんがしーちゃんと一緒に歌う感じになるんだろうなあと思って。

トミタ　なんか、すぐにライブを思い浮かべるところとか、やっぱり私と似てる（笑）。この間ライブで初披露したんですけど、今回初めての試みとしてダンサーさんに入ってもらったんですよ。ダンサーさんと3人で踊ったら、お客さんが「振り付けを覚えたい」って思ってくれたみたいで。それがすごくうれしかったです。同じ振りをみんなで踊れるライブって、絶対楽しいですよね。