今の4人だから歌えるライブアンセムを
──新曲「FLYASDUST」は4人体制になってから初めてリリースされる音源ですよね。
おうひ はい。これまでリリースとツアーはセットでやることが多かったから、約1年ぐらいリリースがなくて寂しかったです。
ちむら 「今のTOKYOてふてふはこの4人です」というのを強く打ち出すためにも、早く新曲が欲しいという気持ちがずっとあって。もちろん、どの曲を歌っても今のてふてふを届けることはできると自負してますが、どうしても7人でいたとき、5人でいたときの歌がちらつく瞬間って、私たち自身も蜃気楼たちにもあるんじゃないかなと思っていたから。
らすと 私は新曲が出るまでずっと不安でした。4人になってしまって大丈夫なのかな、自分自身やっていけるのかな……って。今の4人の曲が作られることで早く安心したかったんですよね。だから「新曲まだですか?」ってずっと待ってた。
今村 ぜん君。の活動も止まっている時期がある中で、ここまで新曲を作らなかったのはけっこう異例でした。基本的には新曲を作ってツアーを回る、というのがコドモメンタルのルーティンだったから。これは自分でも気付いていなかったことで後付けの説明になっちゃうかもしれないけど、TOKYOてふてふのライブをたくさん観て、すでにある楽曲たちを今の4人が自分たちのものにするのを待っていたのかな。もっと言えば、自分たちのものにしたうえで、それをお客さんとも共有できているところを見たかった。それが確認できて、初めて新曲が必要になるような気がして。
らすと てふてふの曲たちをちゃんと自分のものにできたってことですよね?
今村 できてるよ。カッコいいライブするようになったよね、あなたたちは。でもここからもっとよくなるには、TOKYOてふてふにとってのライブアンセムみたいなものが欲しいな、と思って作ったのが「FLYASDUST」。曲調は似てないけど、ぜん君。にとっての「Cult Scream」のような曲があったらいいなって。
ちむら めちゃくちゃカッコいいし、いっぱい泣ける曲だと思いました。てふてふの等身大を歌った曲です。強さとかカッコいい一面だけじゃなくて、ちゃんと弱さまでさらけ出せる曲。
神狩 さっき話してた“愛されたい願望がある”ところもちゃんと書かれてる(笑)。
──4人になることで歌割りや曲の中の役割に変化が生じるようなことはありましたか?
ちむら 歌割りは今までと違う感覚がありました。おうひさんのあとにらすちゃんが歌う順番とか珍しいと思ったし、あとは落ちサビを自分が担当したり。それぞれの得意分野や新しい魅力が今までと違う感じで表れてると思う。
らすと 普段からAメロの最初を割り当てられることは多いけど、「FLYASDUST」の場合は最初だけじゃなくて、曲の最後の歌割りも私だったので驚いて。今まで曲の最後を締めるようなタイプじゃないのかもと思っていたから、この曲を全部背負い込む気持ちで歌いました。
ちむら らすちゃんの「どこまでも翔べるように。そう君が望んでくれるならば」のところ好き。今まで以上に力強くて「頼もしい!」と思った。こんならすちゃん初めてかも。
おうひ 私はその逆で、これまではけっこう激しい部分を担当してきたけど、今回は静かめなところを歌う役割なので驚きました。静かなところを息遣いまで含めて聴かせる、みたいなアプローチは苦手だったからけっこう苦労しました。
ちむら この曲のおうひさんのビブラート、めっちゃきれいだよ。いつもはバックの音がドカドカ鳴っているところを力強く歌ってくれてる印象だけど、この曲ではいつもと違うおうひさんの魅力が出てると思う。
神狩 新鮮な感じはあるけど、今まで自分たちがやってきたことの積み重ねが表れているような感覚もあって。個人的には、全員で歌ったあとに私1人で「“全部”僕にちょうだい」と歌うところは、一番力を入れて歌いました。
らすと 神狩ちゃんって、素の状態では「全部僕にちょうだい」って言えない性格じゃん。
神狩 うん。
らすと それを1人で堂々と歌ってるのがめっちゃカッコいい。
神狩 普段言えないことも歌だったら言えるからさ。しかも強めに(笑)。
今村 あまりこういうことは本人たちに言わないようにしてるけど、「FLYASDUST」は今の4人がガチっとハマってようやくできた曲。おうひがいなかったらそもそもTOKYOてふてふをやっていないし、らすとが以前作詞した「teardrop」という曲を何度も散歩しながら聴いて手応えを感じたから「FLYASDUST」の最初と最後を任せられると思ったし、曲の根本にはこのグループの申し子でもある詩文の存在が強く影響してる。それとこの曲は歌うのがかなり難しくて、神狩こはく世會に難しい部分を任せられないと成立しない部分もあって。
神狩 レコーディング、めっちゃ難しかったです。
今村 それでこの曲が完成したあと、ぜん君。の(如月)愛海ちゃんが「『FLYASDUST』いい曲だねって言ってたのも印象的で。
一同 えー!?
今村 普段あまり誰かの曲を褒めないタイプなのに、たまに言ってくるんだよね。だからこの曲、自信持っていいと思うよ。
結成当初に掲げた目標のZeppへ
──今年12月29日にZepp Shinjuku(TOKYO)で、このグループにとって最大規模のワンマンが開催されることが告知されています。今、皆さんはZeppでのライブに向けてどういう気持ちですか?
おうひ 結成当初に7人で「どこに立ってみたい?」という話をしたとき、最初に出てきたのが「Zeppでライブがしたい」だったんですよ。だから、結成当初から1つの目標としていたライブが控えていて、すごく楽しみにしています。
らすと なぜZeppが出てきたかと言うと、私たちが初めてぜん君。さんのライブを観に行ったのがZepp DiverCity(TOKYO)だったんですよね。だから、まずはそこに追いつかなきゃいけないというのがTOKYOてふてふの目標だったし、今は追いつくだけじゃなくて追い越すくらいの勢いを持たないといけないなと思っています。
ちむら Zeppにただ立つだけじゃなくて「ここに立つべくして立つアーティストなんだ」ということを示せるライブにしないといけないな、と気合いを入れてます。ライブまでの道のりも大事にしなければならないし、当日は集まってきたみんなを楽しませ、私たちの未来まで含めて誇らしいTOKYOてふてふを見せつけられるよう、がんばります。
神狩 たぶん今年もライブをしてたらあっという間にZepp当日を迎えちゃう1年になると思うから、1つひとつのライブを大切に、着実に成長していかなきゃいけないなと思ってます。まずは目の前のライブに集中することも大事なので、今回ってるぜん君。さんとのツアーを大事に、「今のTOKYOてふてふはすごいグループなんだ」というのを観に来てくれる人たち1人ひとりに伝えていけるようなライブを続けていきます。
ちむら ライブで「生きててよかった」と思える瞬間って、蜃気楼と目を合わせたときに「今きっと同じ感情でいてくれてる」と実感するときなんですよね。それって、本当はライブの会場とか規模感は関係なく、1対1の関係のものだと思う。Zeppのように広い会場だとメンバーとの距離が遠くなっちゃうと感じる人もいるかもしれないけど、音楽を通じた1対1の関係は変わらないと思ってるから。遠くの人でも目を合わせにいくし、なんなら音は同じ空間にいれば絶対届くものだし。だからZeppにはこれまで関わってくれたいろんな人に来てもらって、一緒にてふてふのライブを楽しんでもらいたいです。
公演情報
TOKYOてふてふ最大規模 Zepp Shinjukuワンマン公演
2025年12月29日(月)東京都 Zepp Shinjuku(TOKYO)
プロフィール
TOKYOてふてふ(トーキョーテフテフ)
楪おうひ、めありらすと、ちむら詩文、神狩こはく世會からなるグループ。2020年12月に結成され、2021年1月にデビュー曲「innocence soar」、同年6月に1stシングル「tokyo tragedy」を発表。2022年3月に初のワンマンライブ「虚歪」、6月より全国ツアー「act 5 tour 2022」を開催。2025年2月にニューシングル「FLYASDUST」をリリースした。