TOKYOてふてふ|相反する要素を力に東京の空を舞う

キーワードは「相反する」

──オーディションのときからTOKYOてふてふには「翔び堕ちル、夢と現実の狭間ノ街並みト」というコンセプトが掲げられていました。皆さんはこのコンセプトをどう捉えているんでしょうか?

楪おうひ

おうひ 東京という都会には蝶々が飛んでいる姿をあまり見かけないと思うんです。TOKYOてふてふというグループは東京と蝶々という相反する要素をかけ合わせたところに魅力があるのかなと思っていて。コンセプトにある「夢と現実」も相反する要素ですよね。

 私たちのデビュー曲「innocence soar」のタイトルは、直訳すると「無垢が飛ぶ」という意味なんです。これも私は相反する要素だと思っていて、この「無垢が飛ぶ」というのを実際にはあり得ないこと、と解釈しています。「飛ぶ」というのは成虫になってからようやくできることなので、本当に無垢のままで飛び立つことはできないんじゃないかなって。

詩文 TOKYOてふてふのキーワードが「相反する」だよね。でもこの矛盾した要素、矛盾する感情が実は人間らしいものなんだと思うんです。例えば愛しているがゆえに憎しみを持ってしまったり、嫌いな人のことが気になってしまったり。そういう人間らしい思いを表現するのが私たちTOKYOてふてふというグループの特徴だと思います。

こはく世會 私はコロナ禍でデビューしたこともTOKYOてふてふらしいのかもしれないと思っています。自然の少ない都会で飛ぶ蝶と、コロナ禍の逆境でデビューする私たち、なんだか共通しているんじゃないかなって。

めありらすと

らすと そういえば衣装も白黒だから、相反する色だよね。

のんの おー、確かに!

ウイネ 考えたことなかった。

おうひ パフォーマンスとしては、てふてふはけっこうダンスにこだわっているグループだと思います。「てふてふ」という言葉はふわふわしているけど、ライブのときのダンスはキレのある動きが特徴的だと思います。

 ダンスに関してはのんのを中心にみんなで特訓しているところだよね。

──振り付けを担当しているのんのさんはTOKYOてふてふのダンスをどう意識して考えているんですか?

十叶のんの

のんの こういうグループで歌う曲って常にセンターにいる子が歌っているイメージがあるんですが、例えば「innocence soar」に関してはシンプルに左から順番に歌う、みたいなフォーメーションを組んでいます。ちょっと変わっているけど最初なのでなじみやすく、みたいなことを意識したのが「innocence soar」の振り付けですね。

 のんのは歌詞に沿ってかわいい振り付けを考えてくれるよね。サビの蝶が飛ぶような振り付け、難しいけど大好き。

のんの ありがとう。それと1人ひとりの見せ場は作ろうと意識しているかな。あとライブで声が出せなくても盛り上がれるように皆さんにクラップで参加してもらうところを用意したり。7人で円を作ってクラップするところは、ぜひお客さんも一緒になってクラップをしてほしいです。

水の中で“翔び堕ちル”

──「innocence soar」はすでにミュージックビデオが公開されていて、のんのさんが話したダンスの見どころなども映像で確認できます。初めてのMV撮影、どうでしたか?

のんの 東京の街をバックにビルの屋上で撮影したんですが、気温が1℃くらいしかなくて(笑)。めちゃくちゃ寒かったんですけど、私は楽しくて仕方なくて、ずっと興奮していた気がする。

 のんのはずっとテンション高かったね。

のんの 自分は今、すごく特別なことをしているんだ!って気持ちだったんだよ。MVを撮るなんて、夢のような瞬間だったので。

おうひ バンドの撮影をしているときものんのはずっと同じテンションだったからね。

セツナウイネ

ウイネ おうひだけ水の中で撮影をするシーンがあったんですけど、その撮影にはみんなも応援に行ったんだよね。

おうひ 服を着たまま水に入る経験なんてこれまでになかったから、どうやって演じればいいのか戸惑いました。TOKYOてふてふのコンセプトに「翔び堕ちル」という言葉があるから、水の中ではあるんですけど、堕ちていくイメージを持ちながら潜りました(笑)。

らすと 別室でモニターを観ながらみんなで「がんばれー!」って念を送っていたんだよ。

のんの 見守ってました。

おうひ 私はみんなの代表だ!みたいな気持ちで責任を持って撮影に臨みました。すごくいい感じで映っていてよかったな。

人間の二面性を表す「double」

──2月には2ndシングル「double」が配信されました。先ほどTOKYOてふてふのキーワードとして「相反する」という言葉も出てきましたが、「double」という曲もその相反する要素を含んだ曲だと思います。

らすと 「double」は後悔や絶望をしながらも前を向いて歩かなきゃいけない、笑顔でいなきゃいけない自分みたいな、人間の二面性を表現した曲だと思います。「double」に出てくる「君」という存在は自分自身だなあってすごく思う。

ウイネ 歌い出しの歌詞が「翔び落ちる夢の未来」という言葉なんです。私たちが歌う「翔び堕ちる」先がどのような未来なのか、それは誰にもわからないし、決して明るいことばかりではないかもしれない。マイナスの要素すら私たちは内包して前に進むからこそ、そこに思いがちゃんと込められるのかな、と私は感じています。

神狩こはく世會

こはく世會 サビメロの歌詞、最初は「翔び落ちる 夢の未来 希望はいつも曖昧 泣きじゃくる子供みたい 迷い歩きだす…」なんですけど、最後は「翔び落ちる 夢の果てに 希望が其処に無くとも 泣きじゃくる 子供みたい 君に、歩きだす…」に変わっているんですよね。1曲の中でちゃんとストーリーが描かれていて、最初に歌詞を読んだときに感動しました。

詩文 おうひのウィスパーボイスの言葉もすごくいいよね。

おうひ 「あなたはあなたでいてください あなたのために生きてください」という言葉だね。私が前半を担当して、後半をこはく世會が担当してる。ウィスパーボイスだけど、この曲で伝えたいことの芯がこの言葉には込められていると思って、すごく歌い方に気を遣いました。

──ウィスパーボイスだけじゃなく、ポエトリーっぽく歌うパートもありますよね。

 ポエトリーの部分は私とウイネと世會が担当していて、3人ですごく練習しました。私が歌うパートは、曲の登場人物が抱いている後悔の念をちゃんと声に込められるようにすごく意識しています。

ウイネ 私のパートは人に寄り添えるように歌うところだったので、自分の身に当てはめて、どういう風に声をかけてもらったらいいか、すごく考えました。聴いた人に「1人じゃない」って思ってもらいたいな。

こはく世會 歌とは違う感覚で、ポエトリーのほうがよりダイレクトに感情を届けやすいから、たくさん練習しました。

逢琉参

 それと間奏でヴィヴァルディの「春」が入るのがすごく好き。曲調がいきなりガラッと変わるんですよ。

のんの 1回聴いたら忘れられないよね。いきなりクラシックが鳴るなんて。

ウイネ 「春」なのもすごいいいよね。前向きな感じだし、聴いていて気持ちよくなる。

おうひ こうやって振り返ってみると、「double」はTOKYOてふてふの表現の幅を広げてくれた1曲ですね。この曲があることで、ここから先もいろんなことに挑戦できるようになった気がします。

初ワンマンに向けて10曲以上増やす

──3月13日には東京・Veats Shibuyaにて初めてのワンマンライブが開催される予定です。デビュー曲が配信されたのが1月ですから、ワンマン開催までが早いですよね。

おうひ 今のところ持ち曲が2曲だけなので、これから10曲以上増える予定です(笑)。

 大変そうだけど、めちゃくちゃ楽しみです。

ちむら詩文

詩文 みんな「やってやるぞ!」って感じで燃えてるよね。

──昨年末すでにお披露目ライブは行われていますが、ステージに立ってみた感想はいかがでしたか?

おうひ 去年はずーっとレッスンと配信しかやってこなかったから、お客さんを目の前にしたライブというのが全然違うものだということに驚きました。パフォーマンス中の気持ちの入り方も違うし、お客さんと目が合うから、今聴いてくれている人がどういう気持ちなのかが表情で伝わるんですよね。

のんの すごく目で訴えかけちゃった。「盛り上がって!」という気持ちを目に込めて。

詩文 お客さんに歌で思いを伝えるというのはみんなの課題だから、ライブという場所でどうTOKYOてふてふを伝えるかはみんながみんな、それぞれ心がけているところだと思う。

 お披露目ライブのときは皆さん初めて聴く曲ばかりだから、どう盛り上がっていいかもわからなかったかもしれないけど、先日ぜん君。さんのオープニングアクトでライブをさせてもらったとき、少しだけクラップの音が大きくなった気がしたんです。「innocence soar」の全員が手を挙げて歌うパートでは、お客さんの中でも何人も手を挙げてくれていて、これがライブを続けていくうちにどんどん増えていくのがすごく楽しみになりました。

ウイネ オープニングアクトと違ってワンマンは私たちを観に来てくれるわけだから、全員手を挙げてほしいよね。

らすと 声を出せないのがつらいくらいのライブにしたいな。

こはく世會 そのためにはまず私たちが全力でやらないといけないので、今はライブに向けてがんばっています。

おうひ 初ワンマンでお客さんが初めて聴く曲もたくさんあると思うんですが、それでも盛り上がってもらえるよう、私たちの持っているものをすべてぶつけるライブにしたいです。

ライブ情報

TOKYOてふてふ「初ワンマン〜虚歪〜」

2021年3月13日(土)東京都 Veats Shibuya

TOKYOてふてふ