共通点は“昭和感”

──西川さんも水樹さんもすごく熱い反面、冷静な視点も持っていて、セルフプロデュースに長けた方だと思うんです。だからこそ今回のレコーディングもスムーズにいったのかな、という気がします。

水樹　私は今回どこまで自分を出していいのか、最初は探っていた部分もあったんです。まさにその一歩引くっていう性格もあって。でも西川さんはそのあたりもすぐにわかってくださって「遠慮しないでガンガンきていいんだよ」って言ってくださって。だからすごく気持ちよく歌わせていただくことができました。お互いが譲り合っていたらあの形にはならなかったと思います。

──今回のコラボを通して、性格的に相手が自分と似てると感じた部分はどこでしたか？

水樹　どこでしょう……？ ふふふ（笑）。

西川　どうなんだろうね。

水樹　何に対しても一度こうと決めたらもう一直線！というところはもしかしたら近いのかもしれません。

西川　そうですね。

水樹　例えば自分のライブの初日に照準を定めて何カ月もトレーニングを続けるところとか。どんなにお仕事が詰まっていても、必ずそれをやってからじゃないと寝ないとか。そういう自分を追い込んでいく感じは似ているのかもしれないです。やると決めたら中途半端は絶対嫌だから。自分に負けたくないっていうところがすごくあって。

──ちょっと昭和のスポ根みたいな感じですね。

西川　そうなんです。昭和っていうと古くさいイメージだし、理不尽なことも山ほどあったんですけど、でもそれが大事だったりするんですよ。例えば理由はよくわからないけど「やれ」って言われて、そのときは「なんでこんなことやらなきゃいけないんだろう」と思うけど、しばらくすると「ああ、そういうことだったのか」って、自分の理解力が上がったときに初めて意味がわかる。そういうことはやっぱりたくさんあるんです。

水樹　絶対にありますよね。

西川　やっぱりこうやって1人で立ってると、自分が物事を動かしてるって錯覚しがちなんですけど、実はそうじゃなくていろんな人に支えられた上で、我々は神輿に乗せてもらってるわけですからね。

ビデオクリップはストーリー仕立て

──ところで今回ビデオクリップも相当大掛かりなものを作っているそうですね。

水樹　すごいことになってます！

──このインタビューをしている今はまだ制作中ということですが、単に歌ってるだけでの内容ではなく？

水樹　ないんです。歌ってるのはCMスポットだけで、本編では歌っていなくて（笑）。

西川　そうですね。最終的に歌ってる場面は一切なくなっちゃいました。

──えっ、じゃあ映像ではお2人は何をしてるんですか？

西川　2人のドラマみたいなものを何か1つの物語を通して描けないかなっていうことで、ストーリー仕立てになっていて。

水樹　映画みたいな感じです。

西川　作ってたら10分くらいのショートムービーになってしまって（笑）。

──曲は3分強なのに（笑）。

水樹　セリフもありますし、演技もしてますし、西川さんはすごいアクションシーンもあるんです。

コラボを通して自分自身を確かめる

──今回のプロジェクトはかなり手応えもあったようですし、今後いろんな形で発展していくといいですね。

水樹　はい！ 機会があったらぜひまた何か2人でやらせていただけるとうれしいです。

西川　そうそう。本当にできたらいいですよね。

──このコラボは、お2人にとっても刺激的な経験になったみたいですね。

水樹　はい。やっぱり普段ほかのアーティストの方の現場に入ることってまずないですから、本当にすべてが新鮮で。それに西川さんのチームの皆さんの、ものづくりに対しての本気をものすごく感じて……。いいものを作るためには命がけ！というスタイルは、うちのチームと本当に共通してると思いました。新しいことを吸収しつつ、今までの自分のスタイルをもう一度振り返る機会になって……。本当に貴重なコラボレーションでした！

西川　そうですね。僕も水樹さんを通して自分自身が今立ってる場所を確かめることができたというか。だから一過性のものじゃなくて、この2人でまた何か新しいことができたらいいですよね。これで終わりじゃないだろうっていう感覚を僕自身は勝手に感じてるので、これを踏まえて、また次につなげていけたらいいなとすごく思ってます。